難波賢二のe-bikeアラウンド
この夏にオススメしたいe-bike×SUP秘境巡り
2022年7月14日 08:05
短い梅雨が明けると猛暑が襲来した日本列島。3年ぶりに行動制限のない夏を迎えますが、今回は暑い夏が予報されるなか、とっておきの夏のe-bike遊びをご紹介します。それがe-bikeでSUP秘境巡りです。
SUPとは?
みなさんはSUP(サップ)という乗り物をご存じでしょうか? 「Stand Up Paddleboard(スタンド・アップ・パドルボード)」の略で、池や入り江で板の上に浮かんでいる姿をテレビなどでもご覧になった人も多いと思います。普通のサーフボードよりも幅があって静止した状態でも立っていられるボードをパドルで漕いで進むスポーツです。この数年、世界中で人気急上昇中の新感覚マリン系アクティビティです。
アクティビティと聞くと、「e-bikeだってスポーツなのに、さらにアクティビティまで楽しむってどれだけ体育系なの?」と思われるかもしれません。しかし、SUPの魅力はパドルで漕いでなくても、単純に水上に浮かんでいることを楽しむ。板の上に寝転がってゆったりした時間を過ごす。凪いだ入り江ならヨガや釣り、読書も楽しめるマルチパーパスなアクティビティなのです。実は筆者は、e-bike同様にSUP歴も10年以上楽しんでいるベテランなのです。
SUPはハワイが発祥という説もあります。しかし、SUPの歴史は非常に浅く、スポーツとして認知され始めたのがアメリカでもこの15年くらいのことです。当初はサーフボードを太くしたグラスファイバー製のハードボードが人気でしたが、最近ではインフレータブル式(エアー注入式)SUPが凪いだ池や入り江ではシェア半分ぐらいを分ける勢いになっています。
e-bike同様に日本はSUPに適している
波に乗ろうと思ったり、早く進みたい場合はハードボードの性能が圧倒的でしょう。しかし、クルマに積んで現地で膨らませて乗れるインフレータブル式は、その手軽さや浮力もあってお気軽なSUPには最適です。インフレータブル式といっても、カンカンに空気を入れたロードバイクのタイヤよりも硬さがあるので、普通に乗ることができるでしょう。
インフレータブル式のSUPですが、この数年で技術革新が進んでよりコンパクトになっています。飲食店の宅配デリバリーバッグぐらいの感覚で背負えるモデルが数多く登場しています。ちなみに、筆者が愛用しているのは「RED PADDLE CO.」というブランドのコンパクトモデル。
とはいえ、装備重量は10kg弱になります。人力のMTBやクロスバイクで背負って移動するのはかなり大変なのですが、e-bikeならばラクラクなのです。コロナ禍になる前から、e-bike×SUPライフを続けていましたが、久しぶりに行動制限のない夏を迎えましたので、ぜひみなさんにも体験してほしいと思っています。
外洋に面した日本列島はSUP遊びに適した入り江が多数あるのは想像しやすいでしょう。問題はアクセス方法。素敵な入り江はクルマでのアクセスが厳しい道の先にあったりします。関東ならアクセスのよい三浦半島や伊豆半島、関西なら和歌山でも姫路でも牛窓にかけての海岸沿いに魅力的な場所があります。そして、誰も住んでいないような場所にひっそりと美しい鏡のような水面を持つ入り江が佇んでいます。
なぜe-bike×SUPがオススメなのか
まだ太陽が上りきっていない時間にとっておきの入り江をe-bikeで訪れる。電動コンプレッサーなどでSUPを膨らませて(人力でSUPを膨らませるのは筋トレレベルの運動です)、自分だけの時間を楽しむ。日々のストレスから開放された素敵な時間が存在しても良いのでしょうか? と思うほどに素晴らしい体験です。
とある一例をご紹介します。昨年はコロナ禍での自粛で記事にしなかったのですが、伊豆にあるMERIDA X BASEでステップインのe-bike「e-PASPORT CC 400 EQ」をレンタルして、西伊豆の入り江に行ってみました。目的地付近までトランポして、最後の数kmをe-bikeに乗って行く遊び方もできますし、クルマで行けるなら入り江まで進んでそこからはe-bikeで動いて入り江ホッピングをしたり。凪の日ならばe-bikeとSUPのケースをゴール地点に停めておき、SUPで沖に出てゴールまで向かったりいろいろな遊び方ができます。
今回の西伊豆の入り江は、SUP愛好家の人にはかなり有名な場所です。クルマで普通に入れることをご存じの人も多いでしょう。しかし、e-bikeを組み合わせることで、クルマでは入っていけない入り江ホッピングができるのであれば、e-bikeにますます興味が沸くのではないでしょうか。
パワフルなe-bikeの積載性を活かせば、1日分の飲み物や食べ物、シュノーケリングゴーグルとヘリノックスチェアとテーブルなどを装着して移動すれば、秘境の入り江に自分だけの空間が完成です。暑くなったら海に入ってシュノーケリング、疲れたら椅子でまったり、遊びたいならSUP、飽きたら次の入り江に移動できます。これこそがニューノーマルな新しい自分時間といえるのではないでしょうか。
e-bike自体が超楽しいアクティビティなのに、そこにSUPを組み合わせると可能性が無限大となります。今回レンタルしたメリダ「ePASSPORT CC 400 EQ」(2022年モデルからはカラー変更)でしたが、コンパクトなドライブユニットのシマノSTEPS「E6180シリーズ」と相まって、跨ぎやすい性能も加わっており、SUPの運びやすさもあらためて実感。リアキャリアにもパニアバッグで荷物をたっぷり積載し、荷物たっぷりで移動でしても到着して疲れて体力が削られる心配もないのがe-bike。
e-bikeオーナーならば、コンパクトなSUPとライフジャケット、電動コンプレッサーを購入すればすぐに始められます。ただし、海とSUPについての基礎的な知識は必要になります。まずはe-bikeでSUPレンタルを行なっているショップ(湘南や伊豆、和歌山などに多数あります)のツアーに参加して乗り方をしっかり勉強するのが必須です。板の上で立てなくてもよいのですが、板からの落ち方はしっかり勉強しないと浅瀬で大怪我をしてしまいます。慣れて来たら、風のない日にアクセスしやすい入り江を目指してみるのがよいでしょう。SUPは1枚でも良いので、複数名で遊びに行くことが安全を考えてもオススメです。