難波賢二のe-bikeアラウンド

新幹線で行く手ぶらe-bike旅。軽井沢プリンススキー場のe-MTBレンタルを満喫してきた!!

東京駅から新幹線で最短61分で到着。誰でも知っている国内有数のリゾート地といえば、軽井沢。そして、駅には軽井沢プリンスホテルスキー場が隣接しています。なんと! その軽井沢プリンスホテルスキー場とシマノがタッグを組んで、グリーンシーズンに10台のレンタルe-bikeを常設することになりました。

前回の連載記事で、最近の筆者は新幹線駅に愛車を置いてe-bikeライフを楽しんでいるとお伝えしました。そんななか、新幹線でアクセス抜群の軽井沢で、手ぶらで最新e-bikeをレンタルできるといいます。e-bikeが楽しめるなんて行かない理由はありません。さっそくe-bike部・清水氏と一緒に行ってきました!

今回の舞台は軽井沢へ

アクセス抜群の軽井沢でのe-bikeレンタルが可能

ご存じのように避暑地の軽井沢は、クルマだとシーズンによっては渋滞に巻き込まれます。今回はお盆休み明けに行きましたが、筆者はクルマで渋滞にハマってしまい……新幹線移動の清水氏を待たせてしまいました。東京駅からかつて長野新幹線と呼ばれていた北陸新幹線に乗るのがオススメです(軽井沢に停車しない列車もあるのでご注意を)。

軽井沢駅までは約1時間。渋滞とは無縁の北陸新幹線がオススメ

本題に戻りますが、レンタルe-bikeの貸し出しは軽井沢プリンスホテル ウエストエリアのアクティビティホールとなっています。駅からは20分ほどの道のりです。ショッピングプラザとホテルの中庭を抜けていけますが迷いやすいので、軽井沢プリンスショッピングプラザのトランジットモールでアクティビティレセプション行きのバスに乗ると便利でしょう。

10台のe-MTBを導入。アクティビティホールでレンタルできます

ミヤタ「RIDGE-RUNNER」(2台)、BESV「TRS2 AM」(4台)、KONA「EL HAKUNA」(4台)の計10台が用意されています。いずれもシマノSTEPSのドライブユニットを搭載しています。

ドライブユニットはシマノSTEPS

宿泊者以外でもレンタルが可能で、時間は9:30~16:00まで。料金は1時間2,500円、3時間7,500円(一般料金※宿泊者料金もあり)となっています。ヘルメットとエルボー&ニープロテクターのレンタル料も含まれています。ちなみにe-MTBコースの利用時は、安全のためにプロテクターの装着は必須となっています。

ヘルメットやプロテクターなどもレンタル料金に含まれています
e-MTBコースを走る場合はヘルメットに加えてプロテクター類を装着

軽井沢プリンスホテルスキー場×シマノの本気。e-MTBの常設コースも

軽井沢プリンスホテルウエストと隣接し、さらにホテルイーストと日帰り用駐車場があり、横幅のある広大なスキー場が、グリーンシーズンはe-MTBの常設コースとなります。初心者と上級者コースに分けられており、今シーズンは約2.3kmの初心者コースのみ走行可能ですが、来期以降は上級者コースもオープン予定です。今回は特別にすべてのコースを走らせてもらったので、それぞれのコースをご紹介しましょう。

まずは初心者コースから。レンタル受付のアクティビティホール前のテストコースでレッスンを受けて出発します。ロングのルートを取ると、スキー場を直登し、林道を走り、ゲレンデ部分を下ります。全長約2.3km・約20分ほどのコースですが、スキー場なので急勾配。e-bikeならではのコースで、トルクとレスポンスのあるシマノSTEPSのドライブユニットの持ち味を体感できるコースとなっています。

トルクとレスポンスのあるシマノSTEPSのドライブユニットですいすい上って行けます

意外に路面は滑りやすくスピードを出して油断すると、ベテランでもヒヤリとする砂利の浮いたヒルクライムやゲレンデのダウンヒルですが、MTB初心者でも走れるレベルです。e-MTBらしさを体験するには最適ですし、すでにe-MTBに乗っている人でも楽しめるでしょう。コース表記では1周約20分となっていますが、ゆっくり喋りながら景色の良いポイントで立ち止まったりすると、30分以上はかかる感じのルート。

上級者コースも走ってみた

来年からオープン予定の上級者コースも走ってみました。スキー場頂上まで一気に上って、スキー場やその間にある遊歩道を走って下るルートとなります。正直、人力MTBだとあまり上りたくない斜度ですが、e-bikeなら少し汗をかくぐらいです。そして、標高のあるヒルクライムなので、ライド中も登頂後も名峰・浅間山の絶景が広がります。山頂は360°に近いパノラマが広がる場所で、グリーンシーズンも歩行者用にリフトが運行しているため、山頂にカフェも営業してします(夏季限定)。

上級コースはかなりの斜度。走りごたえもあります
8月31日までの夏季限定でしたが、山頂ではカフェも営業していました
展望台からは浅間山の絶景が広がります

上級者コースの下りルートは、遊歩道のスイッチバックやゲレンデ内に作られたコーナーを走るルート。上級者周回ルートも設定されていますが、ルート内にはハイカーもいるので、ダウンヒルコースのように全力でスピードを出せませんが、スイッチバックはMTB上級者でも十分楽しめるものでしょう。とはいえ、来シーズンのオープン時には変更の可能性もあるためご参考までに。

e-MTB以外のレンタルも可能。軽井沢の観光サイクリングへ

e-MTBコースを走るだけではなく、レンタルe-bikeで観光へ繰り出すことも可能。坂道の多い軽井沢の人混みを避けて、静かな「本物の軽井沢」を楽しみ尽くすのに最適かもしれません。コースを走った後に軽井沢の周辺散策へと繰り出してみました。

旧軽井沢銀座は混雑しています

実は軽井沢プリンスホテルは、かつて自転車メーカーの新製品発表会の定番スポットで、筆者も何度となく試乗に訪れたことがあります。周辺ルートについてはある程度知り尽くしている場所でしたが、e-bikeで走るのは初。降雪地帯らしく、路肩が広めの道路なので自転車で走るには快適です。しかし、アップダウンがずっと続くため初心者には辛く、幹線道路は交通量も多いのです。

そして、交通量の少ない一般車両走行可能な別荘エリアの公道は、路肩に苔が生えていたりするので、ロードバイクでは危険という印象を持っていました。しかし、e-bikeで走る場合は完全に別世界が待っていました。個人的には今回一番の驚きです。

まずは旧軽井沢エリアへ。幹線道路を上って行くとハイシーズンで交通量が多いですが、旧軽井沢エリアの1本裏へ向かうと喧騒はどこへやら。徒歩で訪れる人が格段に減るのです。そして、e-bikeなのでレンタル軽快車では行けないような坂道が広がるエリアへも気軽に走って行けます。グルメの名店も豊富ですが、ハイシーズンのランチタイムはどこも混雑するため、クルマだと駐車場の出入りも大変ですが、e-bikeならばお目当てのお店を変えて巡ったり、裏路地で知らないお店に出会ったりという一期一会があります。

喧騒を避けて我々が向かうのは……

ほんの500mほど離れるだけで凛とした空気感のある、いかにも軽井沢らしい森が広がっています。苔で滑りやすい路面や凍結が原因で少し荒れた舗装を走るのにe-MTBのタイヤがちょうど良く、緊張感なく走れます。出会い頭のストップアンドゴーも、上り坂の途中でもe-bikeなので心に余裕を持って止まって譲り合えます。

先ほどの喧騒が嘘のように一気に人がいなくなります
すべりやすい苔が生えていますが、e-MTBなので問題なし
軽井沢ならではの自然を満喫できます

旧軽井沢の奥のほうは、私有地の別荘地エリアが多くなっています。一般車両が走行できる公道と、別荘地エリアの私道が混在しているため、標識をしっかりチェックする必要があります。例えば今回訪れた旧中山道の旧碓氷峠見晴台。長野県と群馬県の県境の場所で人気のスポットですが、普通に旧軽井沢から走って行くと道幅が狭く、途中からは自転車走行禁止となっているので注意しましょう。しかし、走行可能な公道を走ると明治時代から続く別荘エリアのようで、森林と川のせせらぎを感じながらe-bikeの本質を楽しめる時間が待っています。

別荘地エリアの公道を走りながら旧碓氷峠見晴台へ

2日目も軽井沢プリンスホテルを拠点にe-bike観光

e-MTBコースと旧軽井沢散策を楽しんだ翌日は、中軽井沢からかつての中山道の宿場町「追分宿」を目指すことに。いくつかのルートがありますが、別荘地の走行可能な公道を走りつつ、国道18号線ではなく北陸新幹線の線路の南脇を進むルートがオススメです。交通量も少なくキレイな街並みを眺めながら進めます。中軽井沢の手前で国道18号線へ戻ると、かつての内閣総理大臣・近衛文麿の別荘(市村記念館)があります。大正から残る名建築と、軽井沢の歴史が学べる資料館に立ち寄るのもいいでしょう。

別荘地の公道は気持ち良い道が多いのでオススメ
途中で市村記念館にを見学したり

軽井沢町役場を過ぎたら、山のほうへ上って湯川沿いを走ると、旧軽井沢とは違う雰囲気が楽しめます。途中で長倉神社に立ち寄ってお参りし、標高1,000m付近を通る千メートル林道を走って行きます。有名な別荘地の南端を通っている軽井沢と小諸を結ぶ公道で、e-bikeで走るにはちょうど良いワインディングロードが続きます。

e-bikeは寄り道しやすい
気持ちの良い千メートル林道

追分宿は目前ですが、脇道で一般車も入れそうな道があれば散策してみると、e-MTBにぴったりの未舗装路や隠れ家カフェなども発見しました。e-bikeなのでルートを決め過ぎずに走るのがやはり楽しいです。そして、華やかな旧軽井沢エリアとは趣が異なり、追分宿は江戸時代の情緒あふれる街並みが広がっています。こちらもカフェやグルメの名店があります。スマートフォンで検索するのもいいですが、脇道を走って直感に従ってみるのがe-bikeの醍醐味といえるでしょう。

追分宿にやってきました
カフェで一休み

筆者は午後から別の予定があったため、午前中の散策後に清水氏と別れて新幹線で東京へ。実は往路はクルマだったので軽井沢まで渋滞で4時間かかったのが新幹線だと1時間。ハイシーズンの軽井沢は新幹線&手ぶらでe-bikeが最高との結論となりました。

午前中の散策後に清水氏と別れ、筆者は仕事のため東京へ……

その後、清水氏はひとりで鬼押出し園へ足を伸ばしたり、さらに観光を楽しんだそうです。気軽に行き先を変えやすく、カフェも多く休みやすい軽井沢は、e-bikeでの散策を非常に楽しめます。軽井沢慣れした人でも、初めての人でも、今回のルートを参考に自分の地図を作ってみると最高の時間への近道かと思います。軽井沢でのe-bike体験はきっと目から鱗に違いありません。

清水氏は146号線を上って鬼押出し園へ
鬼押出し園を楽しんだそう
その後も牧場で牛と戯れたり、豚丼を食べたり、中軽井沢を散策したそうです。羨ましい

ちなみにシマノによると、軽井沢プリンスホテルだけでなく、今後も日本各地のリゾートなどでe-bikeが体験できる施設を増やすことを考えているそうです。まずは軽井沢プリンスホテルへe-bikeに乗りに行ってみましょう。本当にオススメです。

難波賢二

国際派自転車ジャーナリスト 1979年生まれ。20年近く昔のe-bikeの黎明期よりその動向を取材してきた自転車ジャーナリスト。洋の東西を問わず自転車トレンド全般に詳しく世界の自転車業界に強いコネクションを持つ。MTBの始祖ゲイリー・フィッシャーの結婚式にアジアから唯一招待された人物として知られる。