老師オグチの家電カンフー

シロカの電気圧力鍋新製品に「謎のバグ(?)」を発見!

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
「おうちシェフPRO L」従来の操作性を継承したSP-5D152(右)と、フルドット液晶とダイヤルを搭載したSP-5D151(左)の2タイプで展開される

シロカの広報さんから、「電気圧力鍋の新製品ができたから見にきて」と言われたので行ってきました。

シロカさん(以下同)「電気圧力鍋 おうちシェフシリーズに、5Lの大容量タイプを追加します。去年発売したのが2.4Lのタイプで、発売当初からSNSなどで大容量モデルのご要望をいただいていました。やはり育ち盛りのお子さんがいらっしゃるご家庭や、作り置きのおかずを作られる方だと大容量が欲しいと思われるらしくて」

従来の2.4Lタイプの内鍋(右)と比べ大容量になっているのがわかる。4~6人用で家族で使いやすい

――自分もどうせ作るなら多めに作りたいと思う方ですね。ところで、この2台の違いは何ですか?

「基本機能は同じですが、操作部に違いがあります。ボタンを押してメニューを選択する従来のタイプに加えて、フルドット液晶とダイヤルを搭載したタイプが新たに登場しました」

――ディスプレイが大きくて情報量が多い

「材料とその分量も液晶で確認できます。オートメニューも100種類になりましたので、ジャンルを選んでダイヤル操作で選択できるようにしました。お気に入りのレシピも登録できます」

――押しボタンで選択するよりダイヤルの方が楽ですね。操作性は圧倒的に良くなった

「フルドット液晶は、将来的にIoTを見据えての意味もあります」

ディスプレイにレシピ名が表示され、材料の確認ができる。ダイヤルでメニューが選択できるなど操作性も向上している

――最近のシロカさんは、先々を見据えての製品開発をされていますね。調理機能の特徴は?

「低温と圧力の2段階調理を新たに搭載しました。通常、圧力をかけると一気に高温になり、どうしてもタンパク質が硬くなってしまいますが、先に低温調理をして、最後に圧力をかけることで、それが防げます。貝類などもふっくらしたままぷりぷり感を残すことができるんですよ」

――低温調理は菌の繁殖の問題もあるので、2段階調理でそれを防ぐこともできそうです

「低糖質のごはんが炊ける機能も搭載しました。蒸しかごにお米を入れると、余分な糖質が下に落ちる仕組みです。カットできる糖質は約11%と少なめですが、そのぶん美味しさが確保されているので、毎日食べられるレベルで続けられると思います」

付属の蒸しかごを使った「糖質オフ炊飯」モードも新搭載された。カットできる糖質は約11%と控えめなので、美味しさを損なうことなく続けやすいという

ここで調理していた参鶏湯(サムゲタン)が完成。

――容量が大きくなったことで、鶏も丸ごと調理できるんですね

「毎日やる料理ではないと思いますが、こういったご馳走料理にもお使いいただけます。これも低温&圧力の2段階で調理したものです」

――しっとり味が染みつつも肉がやわらかいですね

容量アップによりサムゲタンも丸鶏のまま調理可能に。「低温&圧力調理」により、お肉が硬くならずしっとりとした仕上がりに

これは覚醒するシロカの象徴なのか!?

――ところで、ディスプレイの端にある小さい顔みたいなのは何ですか?

「これはデザイナーの遊びで、“インフォメーション坊や”です。一応この子がメッセージを喋ってる体になっています」

――これ動かずにずっと出てるだけなんですか?

「ですね」

――時々表情が変わるとかもない?

「はい」

この端っこにあるのは何!? インフォメーション坊やという名前は付いているらしいが、ずっとポカーンとした表情のままで、こちらもポカーンとしてしまう

――「はらぺこあおむし」みたいな感じで、調理過程で動いた方がよくないですか?

「それ、いいですね」

――でも今さら変えられないですもんね。取説に、「液晶の欠陥ではありません。インフォメーション坊やです」って書いた方がいいですよ(笑)。シロカさんって生真面目な印象が強かったのですが、声で操作できる、しゃべる扇風機の「ポチ扇・タマ扇」あたりから、何かが覚醒しつつありますよね

「DC 音声操作 サーキュレーター扇風機 ポチ扇・タマ扇」コロナ禍での話し相手になったと新聞の投書欄にいい話が寄せられたこともあるらしい

「これもなんですけど、ポータブルコードレス扇風機に付属するアロマケースがサルの形状になっているんです」

――なんでサルだったんすかね

「とくに意味はないようですが、なぜかサル一択でした。デザイナー本人の1番好きな動物はゴリラだったんですが、ゴリラはないだろうと」

――なぜか霊長類縛り……。深読みすれば、この扇風機はクリップ式のアタッチメントで、いろいろな所に取り付けられるので、そこは木と木を渡り歩くサルっぽいと言えるかもですが

「じゃあ、それで(笑)」

「ポータブルコードレス扇風機 ANDON(アンドン) FAN」には、好きなアロマオイルを染み込ませることで香りを風とともに楽しめるアロマケースが付属するが、なぜかサル

――このバグ、じゃなかったインフォメーション坊やも、いろいろ深読みする人が出てきそうです。このメニューにしたら表情変わるんじゃないかとか?

「想像をかき立てるものを入れるだけ入れといて、まだその先に答えを用意できていません。次回の製品で抹殺されている可能性もありますが、残すならマジでもうちょっと進化させます」

――次はちょっと表情が変わるだけとか。まぁ、いきなりペラペラしゃべり出してもうっとうしいしので、リアルの生物のようにゆっくり時間をかけて進化していくのがいいんじゃないですかね

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>