家電レビュー

マグカップへ直に注いでファミレス気分。シロカのコーヒーメーカーは豆も水も自動計量

シロカ「コーン式全自動コーヒーメーカー カフェばこPRO SC-C251」公式オンラインストア価格は29,700円。カラーは写真のブラックの他にライトグレーも用意されている

あまり勉強や努力はしたくないが、美味しいコーヒーは飲みたい。そんな意識低いコーヒー飲みを、30年ぐらい続けてきました。ハンドドリップもたまにやりますが、普段使うのはやはりコーヒーメーカーです。今回ご紹介するのは、シロカの「コーン式全自動コーヒーメーカー カフェばこPRO SC-C251」です。

最初に主な特徴を列挙しておくと、1.コーン式ミルの採用、2.200gまで豆を入れておける大容量ホッパー、3.水も自動計量される、4.3種類のモードと細かな設定、5.マグカップに直接抽出する「じかマグ」モードの5つとなります。それぞれを見ていきましょう。

雑味を抑えられるコーン式ミル

本製品は名称にもあるとおり、コーン式のミルを搭載しています。コーン式はお高めのミル専用機で使われる方式で、豆を切り刻むことで粒度が均一になりコーヒーの雑味を抑える特徴があります。「どうせ買うならコーン式」と考える人には、有力な選択肢の1つとなるでしょう。

挽き目は本体上部のダイヤルを回すことで調節します。1~5の目盛りが振られていますが段階は無段階です。ちなみにミルの作動音はかなり抑えられており、騒音を気にする人にもおすすめできます。

コーン式ミル
1~5の目盛りが振られているが挽き目の調整は無段階

200gまで豆を入れておける大容量ホッパー

デザインの特徴にもなっているのが、本体上部のホッパー(コーヒー豆の保存場所)です。ファミレスなどに置かれているコーヒーマシンのような形状で200gまで入ります。ホッパーのフタにはゴムのパッキンがあり、密閉することで豆の劣化を防ぎます。その都度コーヒー豆を追加することなく淹れられるのは便利です。

買ってきた豆をざざーっと全部入れられる
ホッパーは透明で外から量が確認できる。豆が見えているうちは補充の必要はなし
フタのゴムパッキン

水も自動計量されて手間なく抽出

給水タンクの容量は830ml(1杯120mlで最大6杯分)。水量は自動計量されるため、その都度手動で計量する必要はありません。とはいえ、必要な量に足りていないと問題が発生するため、その都度目視での確認は必要です。我が家では1回につき最低でも3~4杯分は抽出するので、ほぼ毎回給水が必要となりますが、1杯ずつ入れるような使い方ではかなり便利でしょう。ちなみに、最後の使用から72時間が経過すると、「水かえ確認」がディスプレイに表示され注意を促します(うっとうしければ設定で非表示にできます)。

着脱可能な給水タンク。目盛りは120mlと180mlのそれぞれの杯数が刻まれている。MAXは120mlで6杯、180mlで4杯

抽出温度が選べる。デカフェモードも

抽出モードや抽出量などは、それなりに細かく設定できます。豆の挽き時間(長いほど多くの豆を使うことになる)は、5段階で設定可能。抽出は「豆から」と「粉から」の両方と、「ミルのみ」使用することも可能で、「クリーニング」や「ミルお手入れモード」も用意されています。抽出量は、120mlと180ml、アイスコーヒー用の60mlから選択できます。

特筆すべきは、2種類の温度設定とデカフェモードです。コーヒーの抽出は、温度が高いほどしっかり味が出ますが雑味が出やすく、温度が低いほど雑味が出にくく味自体が弱くなる性質があります。本機では高温が約94℃、低温が約84℃に設定されており、高温の方がより強い味わいとなります。デカフェモードは、カフェインを除去したコーヒー豆(もしくは粉)用に、低温でゆっくり抽出するモードです。

操作・表示部

それでは具体的に使用の手順を見てみましょう。豆や水、サーバーが既にセットされているなら、作業はバスケットにペーパーフィルター(台形型)をセットするのみ。フィルターを付属のバスケットリングで押さえるワンアクションが必要ですが、これにより粉がドリッパーとペーパーフィルターの間に落ちて、コーヒーに粉が混じる事態を防ぐことができます。

各種モードや杯数を選択し、スタートボタンを押すと、豆を挽き、約30秒間の蒸らし工程の後、コーヒーの抽出が始まります。抽出し終えると少し時間をあけ、完了のアラームが鳴ります。抽出されたコーヒーは下部のプレートで保温されます(30分間。保温を強制的にオフにすることはできませんが、この後説明する「じかマグ」モードでは保温されません)。

肝心な味は、コーン式のミルと、均等に湯をかけるシャワードリップの効果でしょうか、雑味がなく仕上がっています。ぜひ同じ豆で高温と低温の両方で淹れてみて味の違いを楽しんでみてください。

バスケットにペーパーフィルターをセット。リングで固定するのがひと手間だが、粉が抽出したコーヒーに入ることがない
抽出量は、120mlと180ml、アイス60ml、じかマグ180ml
「豆から」「粉から」と「ミルのみ」
高温(約94℃)、低温(約84℃)、デカフェモード。数字は豆の挽き時間(5段階)
ガラスサーバーに抽出中

マグカップに直接抽出する「じかマグ」モード

この製品で面白いのは、付属のガラスサーバーを使用せず、マグカップに直接抽出する「じかマグ」モードです。抽出量は固定で180ml。こちらも高温と低温、デカフェの3種類のコースが選べます。

1人でコーヒーを飲むなら、サーバーからカップに注ぐ手間が省けますし、洗うパーツもひとつ減らせます。

直接マグカップに淹れられるのは、ファミレスのドリンクバーにあるコーヒーマシンのようです。豆をたくさん入れておけるホッパーや水の自動計量とともにファミレス気分を味わえる家庭用全自動コーヒーメーカーとなっております。

「じかマグ」モードで抽出中。このモードで淹れるときはバスケット下部にあるレバーを手前に切り替える

従来モデルは、挽きムラが出るとの評価もありましたが、今回はミル刃自体から再設計して改善したとのこと。ホッパーからの豆の流れもスムーズで、深煎りで油分の多い豆でも安定した抽出ができます。ずば抜けて美味しく淹れられるというよりは、ドリッパーの形状(台形)もあり、どんな豆でも安定して美味しさを引き出せる印象です。湯温の2段階調節も、これまで一般的なコーヒーメーカーでしか飲んでこなかった人には、新たなコーヒーの扉を開く機能でしょう。

細かい部分では、ホッパーのフタやバスケットの取り付けに若干の慣れが必要など改善も希望したいところですが、ドリップコーヒーをなるべく楽をして飲みたいという希望には沿えています。

こちらの価格は税込30,000円弱。20,000円の全自動コーヒーメーカーに比べて、味の向上代で5,000円、豆や水の補充・計量がいらないズボラ代で5,000円を上乗せすると思えば、まぁ納得できるお値段ではないでしょうか。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>