藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

心配性の災害対策グッズその6 「クレベリンスプレー」

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です

 「家庭内パンデミック」に見舞われた経験はあるだろうか。夫婦と現在高校生を筆頭とする娘3人とで暮らす我が家では、過去16年の間に残念ながら何度かそのような状況に陥ったことがある。

 子どもたちを看護すべき親までが倒れる「家庭内パンデミック」というもの、控えめに言っても地獄的で、「それ」に対処し、また避ける手立てを学習している間に子どもたちが大きくなってしまった次第だ。

 思うに毎回、主に原因となったのは、おそらくノロウイルスだったのだと思う。「おそらく」、と確信的に言えないのは、ウイルスを採取してまでの確定診断が出たことはついぞないからだ。

 でもだいたいの端緒はパターン化していて、それはいつもある日突然、誰かによりゲリラ的に発生するマーライオン嘔吐によって口火が切られる。幼い頃から集団生活させている子どもたちの場合もう瞬く間に広がる。保育士の先生やら学校の先生も倒れたという報をも追って聞くとなれば、「うちに来るのも、もう時間の問題だ……」と観念せざるを得ないのであった。

 とはいえ指をくわえて諦めてばかりもいられない。一家全滅したら仕事を始め四方八方詰む。というところで、ノロウイルスのほかインフルエンザウイルスも跋扈しだす秋冬になると、我が家には「クレベリンスプレー」が毎年スタンバイ、家庭内に入り込む感染元となりそうないろいろにひそかに噴霧されていくことと相成る。

 経験的に家に学童がいる場合、「家庭内パンデミック」のもととして、きわめてあやしい存在は学校の「上履き」というものである。詳細はこの記事にゆずるが、「クレベリンスプレー」での靴底噴霧というのはごく簡単なひと手間なので、おすすめだ。

クレベリンスプレー
メーカー名大幸薬品
製品名クレベリンスプレー
実売価格1,423円

 家族が共用するトイレの掃除にも「クレベリンスプレー」は欠かせない。とはいえ凝った掃除道具類はその他要せず、ただスプレーしてトイレットペーパーで拭き取る作業をドアノブ、水洗レバー、便座、蓋裏、便器縁、足元床に施し、便器内部にもシューシューして出る、というだけのことである。

 この流れを、家族の誰かが病臥する前のうちから習慣化しておけるといい。正直なところ小中高校などのトイレにもこういった道具が存在し、せめて「便器内部にシュッシュ」くらいの作業が各自に根づけば、学校内での感染もだいぶ防げるのではないかと思うのだがどうか。

 「クレベリンスプレー」は特許技術により有効濃度が維持された「二酸化塩素」の効果で、ウイルスをはじめ健康被害の原因となる細菌やカビを酸化して除去することのできる独特な製品である。

 従来より身近な存在である「次亜塩素酸ナトリウム」、いわゆる塩素系漂白剤よりも薄い濃度でも効果が見込まれ、かつ独特な臭いなども少なく済むので、使用後の「濯ぎ洗い」のできない水回り以外の空間、例えばトイレのような狭い場所や、玄関、普通の居室などでも比較的使いやすい特性をぜひ活かしたいところだ。途方に暮れがちな嘔吐物の処理自体にも使えるので、小さな子どものいる家には置いておいて損はないと思う。

 ところで今回「災害対策グッズ」の枠にこれを入れたのは、災害時のトイレ事情の壮絶さを聞くだに、各家庭にこういった備えを持つこと、使用する習慣を得ることは、有事の公衆衛生状態を多少でも上向ける効果があるのではないかと考えるからである。

 まずは家庭という最小単位の「社会」でのパンデミックを予防、ないしは広げないようにする術を身につけてはどうだろうか。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして17年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は家事サービス、商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、中3、小5、小1の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。