藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

なるべく手間なく大掃除その1「ルックプラス おふろの防カビくん煙剤」

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です

 風呂場にカビはつきもので(ある/あった/ない)。

 読者諸賢の住まいにおいてはいかがだろうか。どこにマルがつくだろう。

 思うに「風呂だもん普通にカビぐらい生えるでしょ(ある)」という方と、「え……うち、無いけど、普通あるもんなの?(ない)」という方とに、わりあいバッキリ分かれるのではないかと思っている。それがいま、2018年の住まい事情なのではないだろうかと。

 じつは今回ご紹介する「ルックプラス おふろの防カビくん煙剤」という商品は、すでにして「え……お風呂場にカビ? 別に……生えて無いけど……」という住まいにおいて、さらにその状態を維持するのに非常に長けた商品である。

メーカー名ライオン
製品名おふろの防カビくん煙剤
実売価格457円

 そもそもなぜ風呂場にカビが生えるのか? といえば、いまそこにカビが「在る」からだ。「在る」カビから天文学的数のカビ胞子が飛び散り、浮遊し、新たな根城を見つけ、そこで繁殖繁茂する。そしてどんどん殖える。

 かつて風呂場はそんな根城となるポイントに満ち満ちていた。それでなくても湿気っているのに内部に木製品があふれていたからだ。内部造作としての壁面、そして風呂桶そのもの、小物の湯桶、足元のすのこ……。今日日高級旅館の「ヒノキ風呂」くらいでしか拝めない風景の廉価版みたいなものは、一般家庭でもそう珍しいものではなかった。そして木板に日々湯垢がつき程よく温まって何かとびしゃびしゃ濡れている状態なのであるからしてカビもよく生えた。生えるのが自然、道理だっただけだ。

 しかし洗い場や壁からモルタル→タイル→プラスチックと風呂場を構成する素材は変化していった。あの黒カビの独壇場だった「目地」をもつ「風呂場のタイル壁」すら今となっては希少種だ。

 もはや築17年にもなんなんとする、我が家の古ぼけた風呂場も例に漏れずプラスチックに囲まれたユニットバスである。職業柄もあり神経質に黒カビへ目を光らせているがためほとんど目視できるカビは無い。

 目視しにくい「浴槽を覆うエプロン裏」やら「外せない24時間換気扇のシロッコファン」あたりがカビに侵されている可能性は多々ある。そしてそんな手も目も届かない重箱の隅の隅であるような場所のカビに容易にリーチできる唯一の道具が、この「ルックプラス おふろの防カビくん煙剤」の「けむり」なのだった。

 くん煙剤、使い方はごく簡単だ。商品パッケージを外して説明書の言いなりに内部に水を注ぎ、換気扇を切った浴室の洗い場あたりにそれを置いて、浴室のドアを閉め、数時間放置するだけだ。

 他メーカーであるが、かの有名な「バルサン」を彷彿とさせられる様子がみられるわけだが、べつに構えなくても大丈夫。ゴキブリ殺しの際には食器を片付け、衣類を仕舞い、などの準備が必要でも「防カビくん煙」の際には逆にカビの生えやすい風呂蓋などの備品を一緒に置いておいていい。そしてくん煙が終わったら浴槽だけ軽く洗えば普通に入浴して構わない。

 このくん煙を施すと、有意に風呂場のカビ生え速度が遅くなることを実感できるはずだ。ちょっとびっくりするほどに。しかし別に目に見えるその壁のカビが突然白く漂白されるわけではないので、そのへんはカビキラーなどの次亜塩素酸ナトリウムを使ってカビ取りしたほうが早いが、別にカビ取りを頑張らなくても定期的にくん煙しているだけでもそこそこの効果が期待できる。けむり、侮れない。

 驚くべきは、カビの隠れた巣窟は足元にではなく、風呂場の「天井」にこそあるということである。というのは「ルックプラス おふろの防カビくん煙剤」の説明書きで知ったことだが、言われてみれば確かに天井に生えたカビからは雨のように自然にその胞子が降り注ぐものであろう。これをも、けむりが叩く。言われてみればなるほどと頭を垂れるしかない、テクノロジーと発想の勝利なのである。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして17年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は家事サービス、商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、中3、小5、小1の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。