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災害に備えて「簡易トイレセット」試したらホントに簡単!
2025年7月4日 08:05
災害はいつどこで起きるかわかりません。近年、日本各地や世界の国々において大規模な自然災害が多発しており、自分の身にも起こり得るものという危機感を持つ必要があります。
もしものときに備えて水や食料を備えている人が多いと思いますが、「トイレ」についてはどうでしょうか。災害時に水や電気などのインフラ供給が停止し、トイレをいつものように使えなくなるのはかなりのストレス。トイレに行く回数を減らそうと水分の摂取を控えると、体調を崩すことも。時には命にかかわる問題なので、水や食料の備蓄と合わせて、トイレ対策も重要です。
対策のひとつとして非常用トイレを自作する方法もありますが、衛生的かつ手軽に使えるのが「簡易トイレセット」。自宅のトイレを簡単に非常用仕様に変更できる防災グッズです。
水なしで使える簡易トイレ60回分のセット! 便利な便器カバー付き
以前からトイレ対策グッズの購入を検討していた筆者は、つい最近、非常用簡易トイレセットを入手しました。防災用品として備えるのが目的ですが、過去に自宅のトイレが詰まって水を流せず、長時間使えなくて困った経験が購入の一番のきっかけです。
購入したのは、小林薬品「RABLISS 非常用簡易トイレセット(60回分)」。セット内容は、凝固剤(高吸水性ポリマー)60個、汚物袋、便器カバー、ごみ袋です。実売価格は2,500円で、1回あたり約42円で使用できます。なお、15年間の長期保存が可能。120回分がセットになっているタイプも販売されています。
この簡易トイレセットを使うと、断水や停電などで水を流せないときに、自宅のトイレを非常用トイレ仕様に変更できます。
使い方はとても簡単です。まず、トイレの便器に透明なビニール製の便器カバーをかぶせて、その上に黒の汚物袋をセットし、便座を下ろして袋を固定します。
そのままいつものように用を足した後、凝固剤を排泄物の上から振りかけ、汚物袋だけを取り外して口を結べば処理完了。汚物袋は黒いので、中身が見えないところが良いと思いました。
汚物袋をすぐに廃棄できない場合、付属の白いごみ袋に入れて保管することも可能です。ごみ袋には、使用済の汚物袋10回分程度を入れられます。
本品を選んだポイントは、便器カバーが付属していたこと。購入する前、さまざまな商品を見て比較検討した際に、凝固剤と汚物袋のセット商品は多く見受けられましたが、便器カバーが付属しているタイプは少なかったように感じました。
便器カバーがあると、汚物袋が直接便器に触れないので、便器内にたまった水が袋の底につかず、取り外すときに不快ではありません。したがって、便器カバーはあった方が便利だと思いました。
本当に固まる? 臭わない? 実際に使ってわかった簡易トイレの実力
簡易トイレセットは、水がなくても使える、排泄物を凝固剤で固めて廃棄できる、臭わない、といったメリットがあります。その実力を確かめるため、また、いざ使うときに焦らないように、練習も兼ねて使用してみました。
成人の1回あたりの排尿量は200~400ml。そこで、尿に見立てた水道水400mlを使い、凝固剤を入れて固まる様子を観察することに。
凝固剤をかけると水がすぐに吸収されて、みるみるうちに結晶化し始めました。
その後も時間の経過とともに、結晶化がどんどん進み……
水は最終的にゼリー状になりました。放っておいても固まるので、手間がかからず、便利でした。固まるまで、時間にすると1分もかからないくらいです。
ちなみに、先に凝固剤を入れた場合、水の量が多い場合(500ml)はどうなるのか試したところ、どちらもしっかり固まりました。なお、水の量が多いと、固まっても少しゆるかったように感じたため、排泄物の量によっては、凝固剤を追加する必要がありそうです。
気になる臭いについては、実際にトイレで使用したところ、不快なアンモニア臭は広がらず、消臭効果がしっかり発揮されていました。使用済の汚物袋をごみ袋に入れてしばらく保管しても、臭い漏れの心配はなさそうです。
それまで自宅のトイレを非常用トイレ仕様で使用したことがなかったので、ビニール袋をかぶせた状態で用を足すのはやや違和感があったものの、ほぼ普段と同じように使えました。
なお、暖房付きの便座を使っている場合、停電すると、当然ですが便座が冷たくなってしまいます。筆者は寒冷地に住んでいるため、災害時に電気の供給が止まることも想定して、簡易トイレセットと一緒に便座カバーも備えています。
使う前に知っておきたい! 簡易トイレセット使用時の注意点
本品の使用の対象物となっているのは、大便、小便、吐しゃ物です。つまり、日常のトイレと同じ用途で使えるのですが、気になるのが大便の処理。というのも、凝固剤に使われている素材が高吸水性ポリマーだからです。
高吸水性ポリマーは、紙オムツやペットシートなどに使われている吸水性に優れた高分子。水分を吸水するとゲル状に固まる性質があり、排泄物に水分がないと固まりません。
そのため、水分が少ないときは、排泄物が浸るくらいの水を加えてから凝固剤をかければOK。水を使うことで、固形物も一緒に固められます。
もっとも注意が必要なのは凝固剤の扱いです。凝固剤を便器の中に直接入れたり、流したりするのはNG。配水管が詰まる原因となるため、くれぐれも注意しましょう。
災害時だけじゃない! 簡易トイレはこんなシーンにも役立つ
簡易トイレと聞くと、防災グッズのイメージが強いですが、災害時のほかにも役立つシーンがあります。トイレが詰まって流せなくなったとき、突然の断水で水道が使えなくなったときなど、日常で起こり得る急なアクシデントを想定して備えおくと心強いです。
また、袋をダンボールにかぶせるだけでも簡易的なトイレを作れるので、自宅のトイレ自体が使えなくなったときでも十分に活用できます。さらに、車で移動中に渋滞にはまってトイレに行けなくなったとき、トイレ設備のない野外でワイルドキャンプをするときなど、自宅外やアウトドアシーンでも活躍しそうです。
トイレに行く回数を1人1日5回とすると、1週間で必要なトイレセットは1人あたり35回分。4人家族なら1週間で140回分が必要です。さて、自分の家族に必要な簡易トイレセットの数はどれくらいでしょうか。
水や食料と同じくらい重要なトイレ対策。非常時・緊急時に備えて、簡易トイレセットもぜひ備蓄品に加えたいものです。