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阪神・淡路大震災から30年、まずそろえたい防災用品は? 山善の最新グッズ見てきた
2024年12月12日 12:05
2025年1月は能登半島地震から1年、そして阪神・淡路大震災からはちょうど30年の節目となる。以前8月に発表された「南海トラフ地震臨時情報」を受けて、店頭の防災用品に一時的な品不足が発生するなど、災害を身近に感じた人も少なくない。
一方で、非常用に何を用意したらいいのかわからなかったり、後回しにしてしまっている人もいるのではないだろうか。
家電製品だけでなく防災用品も数多く用意する山善は、すぐ準備できる手ごろなグッズから、1つあると安心なセットまで幅広く展開。今の防災用品はどのように進化し、どんな製品が注目されているのか、防災士の資格を持つ同社の商品企画 小浜成章さんの話を聞いた。
避難用に使いやすい簡易トイレ
小浜さんは、防災用品について、とりあえずその場から逃げるための「一次避難」に持っておきたいものと、安全確保後に避難生活を送るための「二次避難」に役立つもののそれぞれを紹介。
特に能登半島地震において、発生直後から問題とされたのがトイレ。生活に欠かせないものであり、ニオイや衛生面などの不安は心身にすぐ影響しやすいこともあり、震災後や、8月の南海トラフ地震臨時速報後には、簡易トイレの需要が高まったとのこと。二次避難に必須なものであり、ホームセンターの売上では防災バッグの3倍もの額に及ぶとのこと。
山善が12月に発売するのは、多数のトイレが必要となることに備えられる50回分や100回分の大容量タイプ。凝固剤も10gと多めにしたことで、介護にも使いやすいサイズとした。一方で材料の選定などを含めてコストを抑え、価格は100回分「YAK-100」が実売4,980円、50回分「YAK-50」が同2,980円と購入しやすくなっている。
凝固剤と汚物袋だけでなく、家の便器にのせて使う際の便座カバー(便座と汚物袋の間に敷くカバー)や、汚物袋をまとめて捨てるための処理袋もセットにした。
防災士が監修した樹脂製の災害時用トイレ「YKT-12G」も8月に発売した。湿気に弱い段ボール製に比べて頑丈で、折り畳みのため複雑な組み立てが必要なくすぐ使えて、洗えば繰り返し使える点もメリットとしている。収納バッグや汚物袋、凝固剤、処理袋もセットで実売3,980円。
定番の防災バッグ、水害にも耐える長期保存トイレットペーパー
防災グッズとして思い浮かぶものの一つは、様々なアイテムがセットになって1つのカバンに収まった「防災バッグ」。山善でもロングセラーとのことだが、かつての大地震のころに比べた現在の市場変化としては、「家族全員で1つの防災バッグ」ではなく「自分でカスタマイズした1個の防災バッグを家族それぞれが持つ」ことが現実的になっていると説明している。
防災バッグの「YBG-30」は、2016年11月発売以来、販売数170万個を超えるベストセラー。実売4,800円で、1人1個単位でそろえやすい安価なセットとなっている。消費期限が伴う食品や電池などはあえて省くことにより店頭で販売しやすくし、バッグの空いたスペースに季節や性別、年齢に合わせたアイテムを追加してカスタマイズするという利用を提案している。
リュックとして背負うだけでなく、キャリーバッグのように引いて持ち運べる本格的な「YKB-30R」も販売。2023年8月より発売したもので、移動方法に合わせて持ち運び方を選べて、大容量15Lの給水タンクを入れて持ち運べる余裕のサイズとなっている。
いずれのバッグにも含まれているアイテムの、ユニークな活用法も紹介。例えば食品保存などに使うラップは、ねじってひも状にすれば、出血時の止血などにも使えるという。紙皿に巻けば、紙皿の再利用もできる。
マスクは目の部分を覆うことで寝るときのアイマスクにもなる。また、大型ポリ袋は、底の中央部分を切って頭からかぶると防寒着にもなるほか、水を入れて小さな穴をあければシャワーの代用にもなると紹介した。
そのほか、なかなか気が付かなそうな防災用品として、長期保存用のトイレットペーパー「MST-101」がある。トイレットペーパーは水に溶けるため、湿気の多い場所での保管や水害時の使用が難しく、阪神・淡路大震災において被災者が困っていたとのこと。
山善の長期保存用トイレットペーパーは、アルミの真空包装で水害や湿気、カビを防止。包装されていれば水没しても使えて、70mタイプ(実売327円)の場合、1人だと1週間相当の量になる。製造元は丸英製紙。