神原サリーの家電 HOT TOPICS

もしもの備えにも日常使いにも役立つポータブル電源の使い方

非常時を想定して、ポータブル電源「BN-RF800」を使って「無洗米+ペットボトルの水+釜めしの素」の炊き込みごはんを作ってみました

今年は元日の能登半島地震から始まり、8月には宮崎県沖の地震をきっかけとした「南海トラフ地震臨時情報」の発表、台風や局地的な豪雨に雷雨など、枚挙にいとまがないほどの自然災害の数々に、どんな備えをしておけばいいのか不安になる方も多いことでしょう。

最近よく耳にするようになった言葉「フェーズフリー」は“毎日の生活の中で便利に使えるモノが、災害時には身を守るモノになる”という意味だとのこと。筆者が愛用しているポータブル電源もまさにフェーズフリーだなと思っています。

そこで今回は、東京・広尾に構えるアトリエと千葉県の自宅のそれぞれにポータブル電源を置き、日常使いしながら、もしもに備えている様子をお届けします。

Victorのポータブル電源はコンセントへの常時接続OKで日常使いにぴったり

いつ訪れるかわからない台風や地震などの自然災害ですが、何より停電が起きてしまった際の生活はとても不安ですよね。ポータブル電源があれば、通信機器の充電はもちろんのこと、いつも使っている生活家電がそのまま使えるので頼もしい限りです。

筆者がアトリエや自宅で使っているのは、JVCケンウッドが展開している「Victor(ビクター)」ブランドのポータブル電源です。リン酸鉄系リチウムイオン充電池を搭載しているため安全性が高く、約4,000回(大容量モデルは約3,000回)の繰り返し充放電が可能な「寿命の長さ」が大きな特徴。

JVCケンウッド Victorポータブル電源「BN-RF1100」。価格は198,000円

また、これまで抜き差しが必要だったコンセントへの常時接続が可能で、付属のACアダプターを使ってコンセントに挿しっぱなしにしておけば、電池残量が95%を切ると自動充電が始まります。もしもの時にもフル充電に近い状態でスタンバイしてくれるので、電池残量を気にすることなく、普段のくらしの中で「もう1つの電源」として便利に使えるのです。

付属のACアダプターを使ってコンセントに挿しっぱなしにしておける“常時接続OK”が特徴

電子レンジもOKのパワフルモデル「BN-RF1100」はアトリエのハブに

「BN-RF1100」は、一般的なコンセント差込口のAC出力端子が4口、USB Type-Cが3口、USB Type-Aが3口、DC出力のシガーソケットが備えられており、AC出力合計1,500W以下であれば、様々な家電を組み合わせて使うこともできます。

また一般社団法人防災安全協会が防災分野において有益な活用が可能であると認められた製品に与えられる「防災製品等推奨品」としても認証されています。停電時や災害時の備えとして安心して使えるのがうれしいです。

電子レンジはもちろんのこと、高出力の高級炊飯器もコーヒーメーカーも使えるので、家電が並ぶカウンター(ワゴン)の上に常設して、アトリエのハブとして活用しています。つまり、しまい込まずにずっと出しっぱなしにしてあるということです。

アトリエのハブとして様々な家電を使うのに活躍しています

AC出力端子のほかにもUSB端子が豊富なので、スマホやコードレスのヘアアイロン、パーソナルなミキサー、LEDランタンなど、日ごと愛用している通信機器や小物家電の充電にも毎日使用しています。

とはいえ、もしもの時に自動充電がストップしてしまった際に、どれくらい使えるのかが気になるところ。満充電状態から残量が1%になるまで、アトリエでのランチで使ってみるという実験をしたことがありますが、下記のような具合になりました。

  • コンビニのスープ温め:レンジ500W3分
  • 人気の機内食の冷食温め:レンジ200W5分+500W3分30秒
  • ピカールの冷食パスタ温め:レンジ600W6分
  • スープストックの冷凍カレー+冷凍の玄米ごはん:500W4分30秒+500W2分20秒
  • パウチのポタージュ温め:500W2分
満充電の「BN-RF1100」が非常時に自動充電できなかった場合、電子レンジをどれくらい使えるのかの実験の様子
冷蔵のスープの温めや、冷凍ごはん+冷凍のカレーの温めなど、5日分のランチでほぼゼロになりました

もしもの時に、こうした食生活にはならないかもしれませんので、あくまで「どれくらい使えるかの目安」ですが、なかなか心強いなと思います。そのほか温かい飲み物やカップラーメンなどを作るのに使えたらいいなと思うものとして電気ケトルがあると思いますが、こちらももちろん使えます。

もう1つ、ポータブル電源を日常使いするメリットは、ディスプレイに今使っている家電の出力数が表示されること。家電製品には、待機電力などで自分では使っていないつもりでも電力が消費されているものがあることも意識できますし、アウトプット用の「入/切」のボタンを押して、オフにするなどして電気のムダ使いを防ぐことも大切だと気付くきっかけにもなります。

無洗米+釜めしの素でおかず要らずの炊き込みごはんを作る!

アトリエの第2のハブとして、ワゴンの上に置いて常時接続させているのが、スタンダードモデルの「BN-RF800」です。AC出力700W(瞬間最大出力1,400W)、容量806Whで、出力端子は、一般的なコンセント差込口のAC出力端子が3口、USB Type-Cが2口、USB Type-Aが2口、DC出力のシガーソケット。AC出力の合計は700W以下までならOKです。

ということで、急な停電の時などの一例として、こんな使い方はどうでしょう? それは無洗米と釜めしの素でおかず要らずの炊き込みごはんを作るというもの。もしも電気や水道などのライフラインが一時的に止まってしまっても、無洗米、ペットボトルの水があればごはんが炊けますし、レトルトの釜めしの素などを使えば、たとえおかずが作れなくても、これだけでおいしくいただけます。

アトリエの第2のハブとなっているスタンダードモデル「BN-RF800」(118,800円)で、非常時を想定して作った「無洗米+ペットボトルの水+釜めしの素」の炊き込みごはん。ラップを使っておにぎりにすれば食べやすいです

ここで使用した炊飯器の定格消費電力は460Wだったので、全く問題ありませんでしたが、5.5合炊きの高級モデル(高出力)の炊飯器の場合、1,200W~1,300Wのものもあるので、「BN-RF800」では使用できません。お手持ちのポータブル電源のAC出力の数値と、使う家電の定格消費電力をチェックしておくともしもの時に慌てないで済むと思います。

ポータブルソーラーパネルと組み合わせたコンパクトモデルも

これまでアトリエのハブとして紹介したモデルは、重量もあるので定位置を決めての日常使い&もしもの備えというところですが、ポータブル電源「BN-RF510」は、260×210×190mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトで、重さも約6.7kgと軽く、ハンドルも付いているので女性や年配の方でも持ち運びしやすいのが魅力です。アトリエと自宅の両方に置いて愛用しています。

自宅の書斎兼寝室で愛用しているミディアムモデルの「BN-RF510」。価格は86,900円

自宅では、書斎兼寝室のスタンディングデスクの上に置いて、LEDスタンドの使用時や、スマホやFitbit、ヘッドホン、イヤホン、LEDランタンの充電に使用。アトリエではマッサージ機器やサーキュレーター、小型のプロジェクターを使用する際に延長コードを使う代わりにポータブル電源を近くに持ってきて使っています。

アトリエで活用している「BN-RF510」。コンパクトなプロジェクターと接続させて観たかった映画を楽しむことも

いずれもACアダプターを常時接続せず、ポータブルソーラーパネルと組み合わせて“ベランダ発電”をしているのも大型のモデルとは違うところでしょうか。最近は急な雨も多く、長時間のベランダ発電ができませんが、気が付いたときにソーラーパネルをベランダに持ち出して、少しでも発電しておけば、スマホの充電で減った分くらいはすぐに電池残量が増えるのがうれしいです。まさに“電気のちょこっと貯金”といった感じです。

自宅では互換性のあるJVCモデルのポータブルソーラーパネルでベランダ発電をしています
こちらはアトリエでのベランダ発電の様子。ポータブルソーラーパネル「BH-SV100」を愛用中
INPUTが91Wで、現在60%。電池残量が2.3時間で満量になると表示されています。途中で曇ってきたとしても、少しでも電気が貯まっていく“電気のちょこっと貯金”が楽しいのです

このサイズ感では家電製品を使うには頼りないのではと思われるかもしれませんが、AC出力600W、容量512Whと頼もしく、AC出力の合計が600W以下であれば様々な家電を組み合わせて使うこともできます。アトリエではレコルトの小さな電気鍋コポットでテーブル調理をすることもありますが、定格消費電力は500Wなのでこのポータブル電源が使えて便利です。

例えば、焼きそば用の麺とツナ、豆苗で「塩レモン焼きそば」を作った時も、調理し始めでは残量92%だったのが、1人分の焼きそばを作り終わって確認したら75%だったので、まだまだ十分余力があるということですよね。

レコルトの電気鍋を使って「塩レモン焼きそば」作りにも活躍。コンパクトながらAC出力の合計が600Wまでの家電が使えるのでテーブル調理にも便利

まだ気に入っているポイントがあって、正面から見るとライトが搭載されていないように見えますが、背面にちゃんと仕込まれているのです。コンパクトな筐体なので前面には搭載するスペースがなく、背面に付けたとのこと。もしもの時にはライトボタンを押すと2段階の明るさのLEDライトが点灯するほか、3回押すと点滅するフラッシュライトになって、居場所を知らせる役割もしてくれるので本当に心強いです。

背面にあるLEDライトは2段階の明るさのほか、フラッシュライトも。夜間の停電時に心強いです

一人暮らしの方や、大容量タイプに手が出ない……という方には、この「BN-RF510」が1台あるだけでも安心かと思います。

神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立。現在は家電+ライフスタイルプロデューサーとして、家電分野のほか、住まいや暮らしなどライフスタイル全般の執筆やコンサルティングの仕事をしている。モノから入り、コトへとつなげる提案が得意。企画・開発担当者や技術担当者への取材も積極的に行い、メーカーの現場の声を聞くことを大切にしている。 テレビ・ラジオ、イベント出演も多数。