データで読み解く家電の今
衣類ケアはアイロンからスチーマーへ。拡大する衣類スチーマー市場をチェック
2017年5月24日 07:00
家電 Watchの記事でも年々注目度が高まっている、「衣類スチーマー(スチーマブラシ)」。ティファールやパナソニックの衣類スチーマーなど、アイロン台を使わず衣類をハンガーに掛けたままで、サッとシワを伸ばせる手軽さが人気だ。
GfK Japanのアナリスト、田中常元氏は次のようにコメントする。
「ここ数年販売が拡大しているスチーマブラシは、手間がかかる家事の1つであるアイロンがけを、ハンガーにかけたまま手軽に行なえます。また、スーツなど自宅で洗濯できない衣類の、脱臭・除菌などができるというモデルも登場し、支持を得ています」
そうした兆候は、データにも表れている。まずは家電量販店における同カテゴリーの販売台数と金額の伸びを見てみよう。2013年を基準としてここ数年の市場動向を見てみると、販売台数は'14年で3倍、'15年で5倍、’16年で8倍となる。販売金額は、同じく'13年と比べると、'14年は5倍、'15年は8倍、’16年は13倍となり、より顕著な伸びを示している。
「'17年(1~4月)の販売も、台数は前年比46%増、金額は同44%増と非常に好調です」(田中常元氏)
一方で、アイロンの販売は縮小傾向にあり、'16年は前年比10%減、金額前年比8%減という結果になった。'17年の1〜4月もこの傾向は変わらず、同程度の縮小が続いている。また、アイロンとスチーマブラシの販売台数比率をみると、'15年の80:20から、'16年は69:31と、スチーマブラシの販売が拡大していることが分かる。
「近年は念入りなアイロンが不要な形態安定加工されているワイシャツ等が普及してきており、スチーマブラシへの需要移行に影響しているのかもしれません」(田中氏)
さらに、ここ数年で、スチーマブラシへの参入メーカーが増加しているという。同時に、立ち上がりの速いモデルや、連続スチーム時間の長いモデルなど、高価格帯のラインナップも拡充。'16年の平均価格は、3年前の約1.7倍となった。
需要がスチーマブラシへと移行していることは確実だが、スチーマバラシとアイロンの販売台数の合算値も、年々拡大しているという。
「単に、アイロンの代替品として需要がスチーマブラシに移行しただけではなく、2台目需要や、アイロンを買う予定のなかった人が、スチーマブラシを購入するケースなど、新たな需要が喚起されていると考えられます」(田中氏)
出典「全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ」