藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

「エプロンしない派」の私が気に入った、スリコのクイックエプロン
2025年5月30日 08:05
あれは12~13年前になるだろうか。同世代もうひとりと、干支ひとまわりほど年長の仕事仲間との打ち合わせの場で、筆者を含む年少の2人が「家事をするとき、エプロンって、しないですねぇ」と言った。
筆者はその頃、というか結婚して主婦のような立場になって以降(当時にして12~13年経過していたのだけど)エプロンを着けて家事をする、ご飯を作る、といった習慣が無かった。
「だって、いちいちエプロンを着けるとか、そんな余裕ないです」。子供たちはまだ幼かった。末っ子は授乳中ですらあった。
「胸当てのあるエプロンなんかしてたら、隙を見ての授乳にだって邪魔ですし」「エプロン分の洗濯物が増えるのも鬱陶しいし」そう子育て中の仕事仲間も同意したので、年上の人は目を丸くした。
「エプロンなしだなんて、考えられない、不潔と思わない?」
「全然。何でしょうね、この溝」
みな首を捻った。互いに、よくわからなかった。頑なにエプロンを忌避する態度も、エプロンなしではいられないという感覚も。
でも、もしかすると、と今なら言葉にできる。筆者が厭っていたのは、物理的な面倒臭さに加え、記号としての「エプロン」だったのじゃないか、と疑うことができる。
“エプロンをして、家事に勤しむ、お母さん”。アイコンのようなその姿に、筆者は、どうも、なりたくなかった。エプロンママ。嫌だった。
家事はやる。致し方なく。でもそれは普段の姿の延長、メインではなく、片手間に行なうことであって欲しかった。
「でもエプロンしてないとやっぱり、服が汚れちゃうでしょ?」
「いやぁ、在宅で仕事してると寝巻き起き巻き余所行き巻きです。そもそもそんな汚れて困るような服は持ってないですし、基本小さい子供を育ててたら服は汚れる前提です」
そういえばおしゃれとかお化粧とかもほとんどできていなかった。そんな時代もあった。あったのだ。
だから「あぁ、いい塩梅のエプロンが欲しいなあ」と頻繁に思うようになった自分に、非常にビックリしたのだ。
本当にここしばらくのことである。気がついたら長子が社会人になっていた。ああ……なるほど。なるほど。筆者にも、「そんな余裕」が、できたのだ。
とはいえ、エプロンが欲しいシチュエーションはほぼほぼ決まっている。キッチンに立つ間。筆者は洗い物や調理中に、腰の部分が水濡れするのが嫌だ。それだけなので、カフェエプロン的なもので十分。でもヒモが邪魔なのは面倒。
というタイミングで家の近所のスリコでこのエプロンを見つけた。「輪っかを腰にはめる」だけで装着できるエプロン。おお、初めて見た。そしてこれが、むちゃくちゃに便利なのだ!
素材は主に木綿だが多少の撥水性があり軽い。腰にスポッとはめるだけでヒモも結び目もない。「エプロンを着ける」という行為そのものに構える隙がない。
洗い物中、シンクから跳ねた水も、調理中に飛んだ油も、着ている服に沁みない。当たり前だけど、この快適なこと!
今となってはもはや「家事をがんばるお母さん」であっても、そうでなくても、どうでもいい。アイコン的なエプロンを着けていても、着けていなくても、どうでもいい。
着けていることを忘れてしまうくらいで、ちょうどいい。
もしかして筆者のようにエプロンが苦手な人がいたなら、そういう人にこそ、これは、使ってみてほしい。