ぼくらの自由研究室

100%水力発電の電気は、とにかくオマケが凄え!

マニアが狂喜乱舞し垂涎する(!?)特典満載の「アクアエナジー100」

男ならこの気持ちわかるだろ?

ウエハースよりもオマケのシール! 絵柄が違う店舗特典のために同じ○ロゲーを何本も買うロマン! 企業の思惑を承知で買う、割高な初回特典付き声優やアニメのCDやDJCD。

世の中には製品やサービスそのものより、“特典”という男のロマンのほうが圧倒的に魅力的なことがしばしある!

その最たるものが2017年に登場している。それが「アクアエナジー100」だ。オカルト系飲料として名高い「○素水」とか、費用対効果がさっぱり見えない「痩せるコーラ」や「健康になるお茶」とは違う。もちろん、飲むと翼を授かっちゃう系のドリンクでもない。

「アクアエナジー100」は、東京電力エナジーパートナーが新しく設定した電力プラン。しかも電気自体を買うより、オマケのほうが凄え! という鳴り物入りのサービスなのだ。

100%水力発電電力の「アクアエナジー100」。そんなバカな!

「アクアエナジー100」という電力プランは、その名のとおり、家庭で利用した電力は100%「アクア」=「水」力発電から電力を供給する「国内初」のサービスだ。

「送電線はほかと同じだから、火力発電などの電力も含まれ、100%水力発電なんて不可能!」と反論する方もいるだろう。確かにそのとおり(笑)! いきなり反論も肯定しちゃう俺。

しかし、「アクアエナジー100用に割り当てた水力の電源が加入している全世帯の消費電力より、水力発電の発電量が多いことで水力100%保証している」のが、このサービスなのだ。東京電力では消費量以上に水力発電量が多いことや、電源構成の計画値と実績をホームページで幅広くお知らせしている。

計画値57%のところを実績で60%までまかない、水力発電による供給率は100%となっている

「それはちょっとインチキだろ?」というツッコミ大歓迎! でも、クリーンエネルギー100%を保証する新電力会社とシステム的にはまったく同じ。インチキでもなければ、屁理屈でもない。

水力発電100%のサービスは、先に法人企業向けにサービスインしている。東京電力の公式見解ではないが、今回一般家庭向けに始まった「アクアエナジー100」は、全水力発電量から法人企業が消費した電力を差し引いても若干の余裕があったので、一般家庭向けにもサービスが始まったと解釈するのがいいだろう。

「水力発電」はオワコン? いいえ、これからも有望な電源です!

原子力発電所がすべて停止している東京電力管内の電源構成は、次のようになっている。

東京電力が2016年度中に販売したエネルギー(燃料)別の電力量(電源構成)【出典:東京電力エナジーパートナーのホームページより】

燃料はさまざまだが、9割が火力発電に頼っているのが現状だ。しかし、火力発電につきまとうのがCO2の排出問題。石炭を燃やしたときのCO2排出量を100とすると、石油は75、もっとも少ないLNGでも55(出典:「特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令」(経済産業省・環境省))となる。CO2排出量削減の旗振りをしている日本としては、火力発電依存からどうしても脱却したいというのが本音だ。もちろん政府の思惑だが。

震災以降、停止した原子力発電の電力量をカバーするために、火力発電に依存しているので、電力のCO2排出量は5,500万トン増加してしまった【出典:「日本のエネルギー2017年度版」(経済産業省資源エネルギー庁)】

CO2削減という課題もあるが、一番懸念されるのは自国で火力用の燃料を調達できないため、刈り上げのオッサンが他国にチョッカイ出したり、欲しい人がいっぱいなのでLNGを値上げシマース! とか始まると電力の安定供給ができなくなるという恐れだ。シャレじゃなくてマジ怖えーっす!

日本のエネルギー消費量は、1位の中国、アメリカ、インド、ロシアについで世界5位(出典:「原子力・エネルギー」図面集2016(一般財団法人日本原子力文化財団))。その一方で、エネルギー自給率は7.4%で世界34位で、これはもう薄氷の上を歩くほど非常事態なのだ(出典:IEA 「Energy Balance of OECD Countries 2017」)。

日本のエネルギー自給率は、先進国の中では最低ランクにある。しかも、2010年に比べると半分以下まで落ち込んだ。これは原発停止による影響が大きい【出典:「日本のエネルギー2017年度版」(経済産業省資源エネルギー庁)】

そこで、経済産業省資源エネルギー庁は、12年後の2030年の電源構成を次のように目指している。

12年後の2030年の電源構成の目標【出典:「日本のエネルギー2017年度版」(経済産業省資源エネルギー庁)】

火力発電を現状の89%から56%まで削減、不足する44%を原子力と再生可能エネルギーでまかなおうという計画だ。原発再稼動云々は別として、注目すべきは「再生可能エネルギーの構成比」だ。

もっとも有力視されている太陽光発電は、平地が少なく、雨季がある日本は日照条件が不利なため、発電効率が相対的に悪いので高価な電力となる。

2018年現在は、電気料金の請求書にあるとおり「再エネ発電賦課金等」を全世帯から徴収し(国を代行する形で電力会社が徴収)、電力会社が売る価格よりも高い価格で買い取らされている太陽光発電の赤字を埋めていると言ってもいい(実際には太陽光以外の再生可能エネルギーも含まれる)。詳しくは、資源エネルギー庁の「みんなで支える再生可能エネルギー」というムービーが一番おもしろくわかりやすい(2013年公表なので、火力発電の依存度が現在より高い点に注意)。

2017年の総額は2兆7千万円(出典:「再生可能エネルギーの平成29年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました」(経済産業省資源エネルギー庁 2016年ニュースリリース))にもなるのだ。知ってた?

このお金を使って太陽光発電を急速に普及させ、パネルが高性能で大量生産できるようになれば、賦課金も安くなるという皮算用だったが……。お察しください。個人的な意見だが、高速道路がいつまで経っても無料にならないのと、同じぐらい信用ならない。

安くなる気配はまったくなく、年々膨らむばかりの再エネ発電賦課金【出典:「日本のエネルギー2017年度版」(経済産業省資源エネルギー庁)】

また、太陽光発電は夜には発電できない致命的な弱点がある。そんななか、歴史も長く、山に囲まれた日本の国土が一番活用できる水力発電が、今注目されている。つまり、安定的に供給できる電力源として、もっとも経済的で有力なのは水力発電所。しかも、CO2排出量がゼロというオマケ付き! ちなみに、一般的な家庭がオール水力発電に切り替えると、年間1.5トンのCO2がゼロになるというから凄い。とはいえ、水力発電所は電源構成のグラフのとおり、少数だ。限られた水力の電源でかつCO2がゼロの価値をもった「アクアエナジー100」は、通常のプラン(スダンダード)に比べると、電気代(基本料)が割高になる点に注意。

差額は水力発電の発展と安定化に使われる。しかし、火力に必要な「燃料費調整」がなくなるので、燃料費調整が上昇している現在では、それほど電気代が変わったように感じないはずだ

その差額の一部は水力発電設備や山林、水源の環境保全などに使われ、水力発電の発展と安定化に使われる。また、100%水力発電で供給しているため、火力用燃料費の変動で増減する(いわゆる飛行機でいう「燃油サーチャージ」に相当)「燃料費調整」はない。

スタンダードSプラン+燃料費調整≒アクアエナジー100

スタンダードプランを選んでいる人も多いと思うが、「アクアエナジー100」の料金は、基本料金が「スタンダードS」プランより若干高く設定されている。また、従量部分については、最初の300kWhまでは23.4円/kWh、それを超えた部分は30.02円/kWhとなる。プランは「スタンダードS」と同じブレーカーによる制限で、10~60Aの基本10A刻みとなっている。なお、現在のところ「スタンダードL」のような大電力のkVA契約はできず、ピーク時の最大電力で基本料金が決まる「スタンダードX」のような契約もない。

電気料金の算出方法

そこで「スタンダードS」と「アクアエナジー100」の基本料金と従量料金を一覧にまとめてみた。

【基本料金】
契約アンペア数アクアエナジー100スタンダードS
10A550.8円280.8円
15A826.2円421.2円
20A1101.6円561.6円
30A1652.4円842.4円
40A2203.2円1123.2円
50A2754.0円1404.0円
60A3304.8円1684.8円
【電力量料金:従量(1kWhあたり)】
電力量アクアエナジー100スタンダードS
~120kWh23.40円19.52円
120~300kWh23.40円25.98円
300kWh~30.02円30.02円

こうして比べると従量料金は、スタンダードSプランとそれほど変わりないようだ。しかし、スタンダードSプランには、不確定要素の燃料費調整(2018年1月は1kWhあたり▲3.10円)があるため、これによって「アクアエナジー100」のほうが高くなるカラクリがある。仮に燃料費調整額が大幅に上昇するようなことがあれば、スタンダードSプランのほうが安くなることも理論上あるのだ。

2018年1月の料金でいえば、使用量×3.10円(1月の燃料費調整)分、「アクアエナジー100」が割高になる計算だ。また、基本料金がスタンダードSプランの倍近くになる。

なお、どちらのプランも実際の電気料金には、「再エネ発電賦課金等」が従量分加算される。

料金よりうれしい付加価値が「アクアエナジー100」の魅力!

日本初の100%水力発電の「アクアエナジー100」だが、科学番組チャンネル好きにとっては、料金以上にうれしい特典が用意されている。

1.ダムなどの発電設備見学会
2.加入者限定のダムカードの入手
3.尾瀬の木道整備体験と自然観察会

東京電力には、164カ所の水力発電所があり、川をせき止めている巨大ハイダムが44カ所ある。国交省や地方自治体が管理する、治水や上水用のダムは、昨今のダムブームで観光名所になっているところも多数ある。その中には観光放水といって、観光用にサービスで放水シーンを見せるダムも。

東京電力が保有するハイダムはこれだけある。赤字は国交省指定のデザインでダムカードを発行しているところ、緑は地方自治体などが発行しているところ。水色が東京電力独自デザインで「アクアエナジー100」加入者限定のダムカードを発行するところ

しかし、東京電力の保有するダムは、私設ダムなのでめったに観光できるチャンスはない。さらに、内部に入って発電設備の見学もできるとなれば、かなり貴重な体験だ。「アクアエナジー100」の加入者は、見学会に参加できる特典が付く。実際、全国各地のダムを巡るダムマニアという方々が多くいる。なにしろ筆者の大好きなマンガ家の「井上よしひさ」先生もダムマニア(笑)。かわいい女の子のカバーを外すと、表紙にダム漫画が書かれてたりするぐらい。しかも、タモリ倶楽部でダムがテーマになったときすらある。

最近では、ダムカレー目当てで観光する女性も増えているので、これはマニア垂涎の特典だ。ダム女子&ダムがダブルで観光できるのだ!

国内では希少でかつ最大規模を誇るバットレス式ダム。ワッフル状の構造体が特徴で、国の重要文化財になっている。そんな丸沼ダムなどの見学会が昨年開催された。今年はどこで開催されるか楽しみだ

ダム観光に一役買っているのが、国交省が発行する「ダムカード」なるものだ。一口にダムと言っても、その形や構造体、形式やゲートなど、それぞれにユニークな一面を持つ。その特徴や写真を、ポテトチップスについてくるサッカーや野球選手のカードのようにまとめたものがダムカードだ。

国土交通省デザイン準拠の公式ダムカード。ネットを検索すると、驚くほど多くのコレクターがいてビックリ!

ダムに訪れると無償でもらうことができるため、ダムカード集めのために旅をするという楽しみ方もあるほど。まぁ、たいてい山の中にあるので、クルマで数時間、場所によってはさらに徒歩で数時間かけて巡る罰ゲーム的な楽しさ♪

これまで東京電力の私設ダムには、地方自治体などが発行する一部を除き、2つしか公式ダムカードがなかった。しかし、「アクアエナジー100」のサービスインを記念してか、東京電力保有の35基のダムカードが新たに発行されることに。そのうち22基は「アクアエナジー100」加入者限定のオリジナルデザインとなることに注意。山奥にあるダムはレアカードになっている点も踏まえると、訪問しただけでは入手できないレアカードになることは間違いない。

もしかすると、ダムカード自体が有価証券化する可能性だってある! ん? ちょっと言いすぎか?

東京電力が独自に発行し、「アクアエナジー100」の加入者のみに配布されるダムカード。全部で22種類ある

もちろん、ダムマニアの方々以外にも楽しめる特典もある。それは、湿原が美しい尾瀬の木道整備体験だ。「なぜ尾瀬?」と不思議に思うかもしれないが、群馬、福島、新潟、栃木4県にまたがる尾瀬地方は、ダム開発のためにもともと東京電力が所有していた土地。湿原を守る特別保護地区の70%を保有しているのだ。

美しい尾瀬地方は、特別保護地区の70%が東京電力の所有地

それゆえ自然環境を守るため東京電力は、尾瀬の湿原に木でできた観光用の道を作り、山荘なども建てて観光客を受け入れながら、環境保全に力を入れている。汚い話になるが、下水施設がない尾瀬にトイレを作り、処理するのだってバカにならないのだ。

アウトドア派の方なら、木道の補修整備や自然観察など、普段は体験できない思い出が残せる特典だ。

東京電力が行っている尾瀬の自然保護の手伝いをできるのは貴重な体験となる。尾瀬の水源の恩恵を受けている「アクアエナジー100」の特権だ

国内初の電力プラン、100%水力発電で供給する「アクアエナジー100」を紹介してきたが、地球環境に対する意識の高い方のみならず、現在の火力発電のあり方に疑問を抱く方、果てはアウトドア派で自然を大切にしたい方から、ダムマニアの方々まで幅広くオススメできるプランだ。

筆者もDiscovery Channelでは「Super Structures」などの巨大建造物番組を欠かさず見ているし、好きなエロマンガ先生のダム漫画を読んで涙した! これだけマニアが狂喜乱舞し垂涎の特典が付いてくる「アクアエナジー100」を紹介していたら、猛烈にダム見学の旅がしたくなってきた!

(取材協力/東京電力エナジーパートナー)

藤山 哲人