2017年11月15日 06:00
これからの季節は、暖房機器を使う機会が増える。そんなときに気になるのが電気代だ。
最近では、市販のワットメーターも小型でリーズナブルなものが発売され、累積の消費電力や電気代を表示してくれる製品がたくさんある。しかし男子たるもの、そんなものに甘えてはならない!
今回の自由工作は男のロマンだ! 超アナログな電力計を作ってみる。かのキャプテンハーロックもこう言った「男なら負けるとわかっていても戦わなければならないときがある」。いまこそ、そのときなのである。最初から負けを認めているわけじゃないが、機能的には市販品に比べると、圧倒的に単機能。もう単細胞生物。しかしアナログメーターという機能美を堪能できる、かつてないワットメーターだ。
部品はAmazonでネット通販するのが吉
アナログのワットメーターで必要になるのは、電圧計と電流計。いずれも交流用が必要となる。でもこれ、デジタルメーターだと秋葉原や日本橋でも安く手に入るのだが、アナログメーターになると、とたんに入手困難に! もうね、しょっぱなから挫けそうになった(笑)。ネットを調べまくると、国産アナログメーターがヒットしたが、自由研究室みたいな半分ネタの記事に使うには、あまりにも高価(あははは……)。
そこでオススメしたいのは、Amazonの通販。最近は電子パーツ系も強くなってきて、中国製のパーツが激安販売されている。なので、電流計も電圧計もAmazonで購入するといいだろう。
検索キーワードは「交流 電圧計」「交流 電流計」といった感じ。「交流」を「AC」と書き換えて検索してもヨシ。購入しちゃダメなNGワードは「直流」や「DC」と付いたもの。コンセントにつなげる機器は、交流(AC)100Vの、15A(アンペア)までの電化製品までなので、これらの電圧と電流を測るメーターを探せばいい。
しかし、電流計には測れる上限の電流がある。電気ヒーターなど消費電力の大きいものは、20Aぐらいまで測れる電流計がいい。小さめのオーブントースターなら10Aぐらいの電流計がいい。とはいえ、スマホの充電の電力を測るのに、20や10Aの電流計を使っても、針はピクリともの動かないので、0.5Aくらいの電流計がほしい。
つまり、アナログ電流計で消費電力を測る場合は、大電力用のメーターから小電力用のメーターまで、いくつか用意して、手動で切り替えて使う必要がある。
今回用意したのは、次のメーターだ。
20A(電流計) | 大電力(ストーブ系用) |
---|---|
10A(電流計) | 小さいトースターや小さいドライヤー用 |
5A(電流計) | コタツやホットカーペット用 |
1A(電流計) | デジタル家電(TVとレコーダーなど)用 |
0.5A(電流計) | スマホの充電器やACアダプタ用 |
150V(電圧計) | 300Vだと細かい値が読めないので150Vがベスト |
デジタル電圧・電流計 | ひよって申し訳ない! |
デジタル電圧・電流計は、本来必要ないのだが、たった1,500円で1個1,000円ぐらいするアナログメーター6個分をすべてカバーできちゃうというスグレモノなので、ちょっと補助的につけてみた。
なぜ? そんなツッコミもあるかもしれないが、宇宙戦艦ヤマトだって、銀河鉄道999だってアナログメーターも付いているけど、かなりコンピュータ化されていてデジタルな部分もあったので許容範囲でいいよね? つーかイイことにする! 銀河鉄道999なんてさ、音声認識コマンドだよ。Google Homeで「オッケー、google!」なんてやってるより、はるか上行ってるんだもん。
メーター類はきちんとケースに入れて絶縁と安全性も!
今回ちょっと気合を入れすぎて、筆者が作ったフルスペック版はメーターが多すぎる結果となり、プラスチックケースがなく大型のアルミケースに入れている。
みなさんが作るときは、もう少しメーター数を絞ったり、小さいメーターを使って、プラスチックケースに入れることをオススメしよう。
また、アナログメーターをケースに取り付ける場合は、直径5cm程度の穴を開ける必要があるので、自由錐という工具が必要。これは穴の大きさに合わせて、刃の幅を専用定規で設定。自由錐をドリルにセットして、板の表と裏面から削り取ると、大きくキレイな丸い穴を開けられるという工具だ。1つ揃えておくと、デスクトップパソコンの好きな場所に空冷ファンを取り付ける穴を開けられたりと便利。が、かなり用途が局所的だが……。
通常のドリルだと、開けられる穴の最大は1cm程度。それ以上の穴に広げるための、手動工具がリーマと呼ばれるものだが、これはかなり腕が筋肉痛になる。ドリルで穴を拡張できるのは、ステップドリルという段々になった工具だ。昭和のロボットアニメなどで登場するドリルそのものの形をしており、造形美として楽しめるので、安いものを買っておいてもいいだろう(国産だと1万円ぐらいするけど、海外製なら半額ぐらいで買える)。
なお、デジタルパネルのような四角い穴を開ける場合は、ハンドニブラという工具を使うといい。この工具は、アルミなどの金属板を噛み切る“コ”の字型を刃を持っている。そして、カットしたい線に合わせて、ハンドルを握ると2mm×5mmぐらいずつ金属を“コ”の字にカットできる。もちろん、昔ながらの方法で、ドリルで大まかな穴を開けて、ヤスリで四角い穴に整えてもいい。
穴開けが終わったら部品の仮配置
メーターには固定用のネジがあるので、先に開けた大きな丸穴に合わせて仮配置して、固定用のネジ穴を開けていこう。ステップドリルで穴開けするなら、ネジと同じ太さでネジ穴を開けてもいいが、ここは手作業なのでかなり誤差も出る。そこでネジ穴は、ネジより1~2mmくらい大きな穴を開けて、遊びを持たせてやるといい。
メーターの取り付けが終わったら、それ以外の部品を取り付ける穴をさらに開けていく。今回はアナログメーターを使っているので、過電流によるアナログメーターの破損を防止するために、各メーターごとにヒューズを入れてある。こうしておけば、誤って測定限界以上の電流を測定しようとしたとき、メーターが焼き切れる前にヒューズが飛ぶのでメーターが守られるというワケ。ちなみにヒューズは1個100円くらいで、ヒューズホルダーは1個300円くらい。
さらに、電流計のON/OFFの切り替えスイッチも付けている。10Aの電流計のスイッチを入れて、5A以下を示すようなら5Aの電流計のスイッチを入れれば、より細かい電流を読み取れる。今回はデジタルメーターを付けたので、どの電流計まで使えるかは一目瞭然だ。
このアナログワットメーターは、最大1700W(17A)までの電線を使って配線している。なので、それ以上に電力を消費するハイパワーなホットプレートをつながれると、電線が発熱などして危険なので、機器全体として15Aのブレーカーをつけて、安全に保険をかけておいた。
部品を配置して配線!半田付けや圧着でしっかり接続
電流計1つぐらいなら、しっかり電線をネジ止めすれば半田付けなしでもいいが、写真のように配線が絡みあってくる場合は、しっかりハンダ付けしたり、圧着端子を使ってしっかり接続することを推奨する。
配線は電流計の数だけ回路をカスケード状に組んでいくだけだ。スイッチは3Pトグルというタイプを使用して、電流計に電気を流すか、流さず迂回させるかを切り替える。まずは、トグルスイッチの中央の端子に、コンセントからブレーカーを経由してくる電線を配線。両端の端子のどちらかにヒューズ⇒電流計を経由してテーブルタップに行く配線をする。最後の端子は、電流計を経由せずにテーブルタップに配線。こうして電流計の測定限界を超える場合は、電流計に電気を流さず、そのままテーブルタップに電気を流すようにできる。
また、電圧計は回路に対して並列に組み込んでやればいい。
ワットメーターだがワット数は測れない! そこが魅力♪
作成した「松本零士風ワットメーター」だが、じつは看板に偽りがある。ワットメーターと言い張ってきたが、電流・電圧計に過ぎない(笑)。
しかし、W(電力)=A(電流)×V(電圧)なので、表示されているメーターからWを計算できるので、公正取引委員会とか消費者センターからお伺いの電話がかからないギリギリのレベルだ。
つまり、電流が5Aで電圧が102Vだった場合、消費電力は510Wとなる。スマホの充電器などは、小電力も測れる0.5Aのメーターで電流を測る。うちでは0.1A(100mA)で103Vだったので、10.3Wという計算になる。
なお、何時間か使った電力量の場合、ワットメーターなら一瞬でkWhと表示されるが、この装置では、計算する必要がある。その計算は、A(電流)×V(電圧)×時間して1000で割ればOK!
たとえば電流が始終10Aという電気ストーブなら、これを1時間使ったとすると10A×100V×1時間÷1000で消費電力は1kwhとなる。温度調節機能が付いているストーブで10Aの時間が30分、2Aの時間が30分なら、(10A×100V×0.5時間+2A×100V×0.5時間)÷1000となり、(500+100)÷1000で0.6kWhとなる。
手で計算するのって面倒だけど、カッコよさには犠牲がつきものなのだ!
そう、男なら負けるとわかっていても戦わなければならないときがある。ソレだ!