家電製品ミニレビュー
ハイアールアクアセールス「全自動洗濯機 AQW-VW1000C」前編
~脱水コントロールが超便利! 大容量でパワフルな全自動洗濯機
by 神原サリー(2014/9/17 07:00)
巷では洗濯機が“タテ型回帰”だと言われている。確かに2014年モデルは、どのメーカーのタテ型洗濯機(全自動洗濯機)も力が入っているし、個性的だ。
その中でも、ハイアールアクアセールス(以下、アクア)の洗濯機は、糸くずやティッシュのカスをつきにくくする「衣類おそうじ」や、天気や衣類の種類に応じて脱水時の回転数を変えられる「衣類コントロール」など、「こうだったらいいのにな」という洗濯機の不満を解消するような機能がついていて気になっていた。
昨年末からアクアのドラム式洗濯乾燥機「AQW-DJ7000」を愛用中だが、今回、どうしても実際に試してみたくなり、2カ月の期間限定で洗濯機をチェンジ。全自動洗濯機「AQW-VW1000C」を使ってみることにした。アクアならではの機能を中心に、2回に渡ってレポートしていく。
メーカー名 | ハイアールアクアセールス |
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製品名 | 全自動洗濯機 AQW-VW1000C |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ヨドバシ.com |
購入価格 | 98,890円 |
ふたを開けたときの佇まいが美しい洗濯機
ここ3年ほどドラム式洗濯乾燥機を使っており、タテ型洗濯機を使うのは久しぶりだ。3年前まで使っていた全自動洗濯機は洗濯容量が6kgだったため、容量10㎏のAQW-VW1000Cの洗濯槽を見ると、「ずいぶん大きいなあ」とビックリしてしまう。とはいえ、設置面積はドラム式ほど大きくなく、わが家の防水パンにも余裕で入るし、搬入もスムーズだった。
今回のアクアの洗濯機で気に入っている点の1つに、ふたを開けておいた時の姿が美しいところがある。タテ型の洗濯機の場合、槽内の乾燥のためにふたを開けたままにしておくのが普通だが、ふたを閉めた時のデザインはすっきりしていても、ふたを開けた状態では今一つというものが多いのだ。けれど、アクアのタテ型洗濯機は、どれも佇まいが美しい。特に、二つ折りになったふたの部分がきれいなのが好ましいと思う。
さて、洗濯機のパーツを順に見ていこう。AQW-VW1000Cは洗濯槽の底にある羽根、パルセーターに特徴がある。これまで1枚だったものを見直し、外側と内側の二重構造になった「ツインパルセーター」を採用。外の羽根をブルー、内側の盛り上がった羽根をホワイトに色分けしているのでインパクトがある。
ツインパルセーターでは、上下左右の方向に強い水流を作り、衣類をかくはんするので大容量でもムラなくしっかりと汚れを落とす。上からのぞいても見えない羽根の裏部分の長さも、これまでの2倍になっているため、循環水量がアップして節水性がぐんと高まっているのも魅力だ。
洗濯槽の内側には、左右に大きく動く新開発の「可動式糸くずフィルター」があり、ツインパルセーターが起こす水流との組み合わせで、最初に少し触れた「衣類おそうじ」機能が働く仕組みだ。
糸くずフィルターのすぐ上には洗剤・漂白剤投入口があり、カバー部を手前に引くと投入口が現れる。このカバーを開けるのに力が要るのと、洗濯槽を上から覗き込むような形で洗剤を入れなければならないので、不安定な姿勢になる。これについては、今後改良を望みたいところ。洗剤がムラなく洗濯液に広がるように考えられてのことだと思うが、もう少し、入れやすい位置に投入口(もしくは洗剤ケース)があるといいのにと思う。
標準コースでの洗濯時間は、洗濯物の分量にもよるが26分~39分程度。操作パネルは見やすく、直感操作で使える。
大容量なのでダブルの肌掛け布団も楽々!
以前、容量6kgの全自動洗濯機を使っていた時には洗うのが難しかったのが寝具類。シングルのタオルケットくらいは何とか洗えたけれど、それより大きいものや厚手の毛布は難しく、布団も洗えるコインランドリーに持ち込んでいた。
でもこの洗濯機は容量10㎏、ダブルの肌掛け布団(ポリエステル100%の中綿)を、布団用の洗濯ネットに入れてから洗濯槽に投入。すき間が出来るくらい余裕の大きさだ。
ただし、洗剤投入口が隠れてしまうので、ふとん・毛布コースでの洗濯の場合は、洗濯槽の周りに直接入れる。粉末洗剤の場合は、溶け残りをなくすために、あらかじめお湯でよく溶かしておくようにと取扱説明書に書かれている。
ふとん・毛布コースで洗濯を始めると54分と表示された。水量は最大の68L、洗いも15分とたっぷりの水でしっかりと洗う設定だ。すすぎも、注水で2回行なうので洗剤が綿の中に残ってしまう心配がなくて安心。
途中でふたを開けて中の様子を確認してみると、洗濯槽の上部まで水が入り、泡立ちもちょうどよい。脱水が終了したところでふたを開けると水分を含んだ分、少しかさが減って下に沈んでいる。ネットから取り出すときれいに洗えていて、気持ちがよい。あとでふれる「脱水コントロール機能」で「しっかり」を選べば、乾く時間が速くなるので便利だ。
取扱説明書によると、ダブルサイズの毛布や、洗濯機で洗えると表示されているシングルサイズの羽毛布団もOKとのこと。寝具類は、汗を吸っているので家で気軽に洗えるのはうれしい。何でも「大は小を兼ねる」とは思わないが、洗濯機が大きいのはいいことだと再確認した。
使い勝手も仕上がりも抜群の「脱水コントロール」
記者説明会で、機能説明を聞いた時から「これいい」と思っていたのが「脱水コントロール」機能。標準では1分間に800回転して脱水するところを、「やわらか」脱水では毎分約400回転と回転数を半減させて、脱水後のシワを軽減させたり、衣類の傷みを防いだりする。
一方「しっかり脱水」では、毎分約850回転まで回転数を上げ、バスタオルやジーンズなどの厚物衣類や天気の悪い日の洗濯の際に、よりしっかりと脱水する機能だ。
これまでの洗濯機では、脱水時間で調節するしかなかったので、シワを軽減させようと短時間の脱水にすると、びしょびしょした感じが拭えず、乾燥に時間がかかったり、水気が垂れるので干す時にも気を配っていた。「回転数」の強弱で脱水の仕上がりを選べるというのは目からウロコだ。
この機能を使う際には、洗濯コースを選んでから「脱水コントロール」ボタンを押すだけ。ただし、部屋干しコースや風乾燥を設定したときと、ナイトコース、ドライコースでの「しっかり」脱水は選べないので注意したい。
試しに、チノパンを標準コースの「しっかり」脱水と「やわらか」脱水で洗濯した際の仕上がり具合を比べてみたところ、しっかりのほうでは確かにしっかり絞れていて、乾くのも速かったが、シワは気になる。
一方、やわらかのほうは、洗濯槽から取り出して2回ほど振りさばいただけで、シワがほとんど目立たなくなり、乾燥後もアイロンなしでそのまま履けるレベル。ほどよく脱水されていて、「びしょびしょでなかなか乾かない」ということがないのもいい。ピシッと仕上げたいなら、アイロンを軽く掛ければいいだろう。シワシワの綿パンにアイロンを掛けるのは大変なので、この機能はありがたい。
続いて夏の最中、冷房や日焼け対策に愛用していたストール類をまとめて洗ってみることに。通常なら、ドライモードを選んで中性洗剤で洗うだけだが、今回は「ドライモード+やわらか脱水」を選んだ。
洗濯終了後に取り出してみると、水分は飛んでいるが、リネンやレーヨン、シルク入りのストールもシワがほとんどなく、ふわりとした仕上がりになっていた。
手洗いした洗濯物の脱水にも便利!
もう1つ試したのが、こんなに大きな洗濯槽にほんの少しの洗濯物を入れた場合、きちんと絞れるのだろうかということ。そこで、取っ手の部分が汚れてしまった厚手のコットン生地でできたサブバッグを手洗いし、脱水だけ洗濯機にかけてみることにした。
大きな洗濯槽にバッグを入れると、底にちょこんと沈んでいて何だか心許ない。ふたをして脱水ボタンを押し、標準コースの脱水と同じ7分を選び、脱水コントロールボタンで「しっかり」を選択した。
スタートボタンを押して脱水を始めると、あっという間に高速回転が始まった。ふたの透明な部分から中をのぞくと、速すぎてバッグの存在が確認できないほどだ。
脱水終了後、取り出してみると、手ではきちんと絞れない厚手の布バッグがキュッと絞れていて「お見事!」とうれしくなった。あいにくの曇り空でも乾くのが速く、便利さを実感した。大きな洗濯・脱水槽でも少量の洗濯物を脱水できるので、手洗いしたものを絞るのに活躍する。しかも、「脱水コントロール」で仕上がりを調整できるのでうれしい。
今回は厚手のものを手洗いしてしっかり脱水したが、手洗いしたランジェリーなどはやわらか脱水をすると傷みを気にせず脱水できる。雑巾などはしっかり脱水がいいだろう。
次回は、注目の“衣類おそうじ”を検証。ティッシュを入れて洗ったら果たしてどうなるのか? そのほか、ナイトモードや部屋干しモードの実力や、タテ型洗濯機ならではの魅力に迫ります!