老師オグチの家電カンフー
第6回:原始時代の本能から受け継がれる「ドヤ家電」とは?
2016年3月23日 07:00
スタバでMacBook開いてドヤ顔!
ご存じの人も多いでしょうが、カフェで仕事をする人を揶揄したネット由来のフレーズです。ドヤという音の響きが面白いので、スタバに行くとそれ風の写真を自撮りして、SNSに「ドヤなう」と投稿するようになってしまいました。
けっこう前から外でのパソコン仕事をしている人間としては、10万円そこそこのMacBookを使ったぐらいでドヤ顔と言われても困惑するほかないのですが、長年の不景気で敷居が下がっているのでしょうか。バブルの時代は日本全体がドヤってましたからね。BMWが六本木のカローラと呼ばれたり。まぁ、私はカローラすら持ってませんでしたが。
本当のところは、カフェで仕事をするというスタイルや、Mac嫌いな人が言い始めて広まった言葉でしょうね。ノマドワークがあっという間に恥ずかしい言葉になりましたし、「意識高い系」にも似たようなニュアンスを感じます。要は、使っている人、またそれを見る人の自意識をうまく表現している言葉が「ドヤ」だったのでしょう。
もちろん、家電にもドヤがあります。今回は、使っている人の心の鼻の穴が広がってそうに見える「ドヤ家電」について勝手に考えます。
ドヤの4タイプ
ドヤ家電を知るには、そもそもドヤとは何かを知る必要があります。ドヤの意識は、次の4つに集約できるのではないでしょうか。
1.デキる男(女)だろうドヤ
2.経済力高いだろうドヤ
3.ハイセンスだろうドヤ
4.イノベーターだろうドヤ
1と2は本質的には似ています。生産性の高さか、その結果持っている富のどちらに重きを置くかの違いです(フローとストックの違いですな)。スタバでMacBookは1に近く、高級腕時計は2でしょう。実用性が高ければ1、低ければ2です。
たまに「時計なんて1,000円のカシオで十分」「車はカローラで十分」などと得意げに語る人がいますが、これはコストパフォーマンスという生産性をドヤっているわけで、1に該当します。
人類の歴史をさかのぼってみると、縄文時代以前は1が重要でした。獲物を獲る能力が高い、腕力があり外敵から身を守ることができることが、デキるということ。火起こしの技術が高い人が、その集団で尊敬されるなんてこともあったかもしれません。特製の火起こし棒を持っていれば、それは現代におけるドヤ家電です。財力を誇示する2が登場したのは、やはり狩猟から農業・牧畜へ移行して以降でしょうか。
3の「ハイセンスだろうドヤ」は、主にデザインの価値を誇るタイプです。家電でも一般的に国内メーカーより、海外メーカーの製品の方がドヤ度が高い。これはデザインの優劣もあるかもしれませんが、海外メーカーの方が日本では少数であり、意識の高さを打ち出せるからでしょう。
4の「イノベーターだろうドヤ」は、スマホやスマートウォッチを誰よりも最初に買ったと自慢するようなタイプです。情報感度の高さをドヤっているわけです。
3も人類の歴史を考えれば納得できます。細かな変化に気づくことは、たとえば草むらの揺れから猛獣の接近に気づくなど、生き残るために必要な能力だからです。また、慣れ親しんだ場所や方法を捨てて、新しく挑戦するには、4の能力が必要です。弥生時代の稲作への移行しかり、大航海時代のコロンブスしかりです。
そう考えると、ヨーロッパは「ハイセンスだろうドヤ」、アメリカは「イノベーターだろうドヤ」の傾向が強いことが理解できる気がします。
キッチン家電はドヤの宝庫
具体的にどんなドヤ家電があるかを考えると、その多くがキッチン家電であることに気づかされます。ホームパーティーするような家庭では、キッチンこそがドヤのステージ。
また、多くの男性にとって調理は非日常であり、趣味です。趣味すなわち余裕でありセンスですから、普段家事に従事している女性より男性の方がドヤ度が高まると言えるでしょう。
バルミューダのトースター
2万円超えで話題になったバルミューダのトースター。トースターとしてはかなり高価ですが、ドヤ家電としては比較的手を出しやすい値段と言うこともできます。実際のこの製品で焼いたパンを食べた人はまだ少数でしょうから、味について語ることもできます。