家電製品レビュー
スチームでトーストも天ぷら温めも美味しく仕上がる! タイガー「スチームコンベクションオーブン」
2018年10月25日 06:00
トーストや惣菜の温め、簡単なオーブン料理が楽しめるオーブントースター。そこにさらに美味しく調理するスチームとファンが加わった、タイガーの「スチームコンベクションオーブン KAX-X130」を紹介しよう。
メーカー名 | タイガー |
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製品名 | スチームコンベクションオーブン |
品番 | KAX-X130 |
実売価格 | 27,000円 |
製品名に「スチームコンベクション」とあるとおり、スチームを発生させる「水タンク」と、庫内奥に「ファン」を装備。上からは「速熱カーボンヒーター」の熱、下からは2本の「遠赤ヒーター」の熱に、高温のスチームもプラス。ファンで風を起こして、熱風を庫内に循環させ、食材を保湿しながら外側はパリッと、中はしっとりとジューシーに仕上げるという。
このスチームコンベクションオーブンは、食材の美味しさを引き出す温度にこだわった、タイガーのGX(グランエックス)シリーズの1つ。2017年にはグッドデザイン賞を受賞している。
タンクに水を入れて準備は完了。タッチキーとツマミで簡単操作
スチームコンベクションオーブンと言えども、操作はすべて扉の前面にある操作パネルで簡単にできる。タンクに水を入れてから電源を入れ、操作パネルで調理を選択する。焼アミ(ネット)は常にセットしておき、食材、調理によって調理トレイを使用する。
実際に調理する前に操作方法を説明しておこう。
トースト調理は、左側のタッチキーで操作する。パンの枚数をキーで選択すると、はじめに「スチームあり」で設定される。続けて同じ数字の枚数キーを押せば、[スチームなし]→[冷凍・スチームあり]→[冷凍・スチームなし]の順に選択できる。次に3段階の[焼色]キーで弱/中/強のいずれかを選択し、[スタートボタン]をタッチすると調理が始まる。
オーブン調理は、最初に[オートメニュー]または[マニュアル]キーのどちらかを選択する。
オートメニューなら左側のツマミを回し、1~19の中からメニューを選び、[スタート]キーをタッチして調理を開始する。調理時間の変更は、スタート前にトーストメニューの下にある[焼色]キーで、3段階できる(メニューによって時間の構成は異なる)。オートメニュー01~09の調理についてはパネル上に表記されているが、10~19は取扱説明書や付属のクックブックを参考にする。
マニュアルは、左側は温度、右は調理時間のツマミになる。調理温度は80℃~250℃で、10℃刻みで設定できる。調理時間は10秒~30分(10秒~10分は10秒刻み、10分~30分は30秒刻み)。それぞれの設定が済んだら、[スタート]キーをタッチする。
スチームは、[オートメニュー]のみで使用できる。メニューに応じてスチームの有無は自動的に設定され、操作パネルの「Water」ランプで確認できる。一方、[マニュアル]はスチーム非対象となる。
スチームの減り方は、メニューや材料の温度・質・種類・室温によって左右されるが、1度の給水で約30分は持つ印象だった。
なお、電源を入れた直後に左のツマミを回せば[オートメニュー]、または、右のツマミを回せば[マニュアル]と、キーを使わない選択もできる。
おおよその使い方がわかったところで、次に調理のレポートに移ろう。
「カリッふわッ」で焼き色は完璧なトースト。1~2枚で焼くのがオススメ
スチームを使ったトースト調理はとても美味しい。4枚切り、5枚切り、8枚切りと厚みを変えても、表面はカリッ、パリッで、中はしっとりアツアツ、ふっくら、モッチリと仕上がった。表面の香ばしさと、中から立ち上る小麦の甘い香りが美味しい。
調理時間は[スチームあり]→[スチームなし]→[冷凍・スチームあり]→[冷凍・スチームなし]で変わる。[焼色/中]で1枚の場合、調理時間は順に、3分40秒→2分40秒→4分50秒→4分25秒だ。
スチーム[あり/なし]で焼き比べてみると、時間はかかっても[スチームあり]の方が中のアツアツで、しっとり感も強くてより美味しい。冷凍した薄い8枚切りでさえ、冷凍前と遜色ないほど美味しく焼き上がった。
ただし、4枚同時のトーストはイマイチと言わざるを得ない。
理由は枚数を増やす毎に長くなる調理時間にありそうだ。[焼色/中]・[スチームあり]設定で、1→2→3→4と枚数を増やした時間は順に、3分40秒→4分→4分40秒→5分20秒。たしかに4枚同時にトーストしても、焼き色は見事。
ところが、食べてみると外側はガリッと固く、中はしっとり・モッチリ感に乏しく、甘い香りも抜けてしまった。1~2枚でトーストした時の、とても美味しかった同じ食パンとは思えないほど、食味も食感も落ちてしまった。パンの厚みやメーカーを変えて3種類試してみたが、その印象は変わらなかった。
4枚同時にスチームで焼ける特徴が活かされないのは残念。とは言うものの、大きな水タンクを備えて連続調理できるので、複数回に分ければ断然美味しくいただける。
中食の強い味方! オートメニューのあたため
高さのあるパンは、オートメニュー03[パンあたため]・[焼色/弱(4分)]で温めた。ロールパンの外は香ばしく中はふっくらアツアツ、クロワッサンはサックリモッチリに仕上がり美味しい! 冷凍した同じパンは[焼色/強(6分)]であたためると、こちらも冷凍しなかったものと同じように美味しかった。
惣菜パンは調理トレーを使い、オートメニュー04[フランスパンあたため]・[焼色/強(6分)]を選択。カレーパン、デニッシュ、ともに焦げ付かず、中までしっかり温まった。カレーパンの外側はサクッと揚げたような食感で香り良く、衣のついていない内側はモッチリ。デニッシュのパイ生地部分はサックサクで、リンゴもクリームも温まり風味がアップ。どちらもとても美味しかった。
オートメニューの03と04は同じ調理時間の構成だが、04は上ヒータがON/OFFを繰り返し、焦げ付かないような火加減を保っていた。
一晩冷蔵庫で保存していた2人前の天ぷらは、調理トレイを使い、メニュー05の[惣菜あたため]・[焼色/中(8分)]で加熱。
水分を吸って白っぽくふやけていた衣は、加熱後サックリと香ばしく仕上がった。再加熱で固くなりがちなエビやイカは、プリッとした食感を残したままでとても美味しい。2cm以上厚みのあるホタテもアツアツだ。
オートメニュー03~05はスチームを使った温めだが、どれも香ばしく、美味しい。一般的なオーブントースターでは、高さのあるパンは中まで温まる前に焦げついたり、天ぷらは衣が焦げてガリガリになることもある。
スチームコンベクションオーブンは、パンの温めはもちろん、惣菜の温め直しに威力を発揮する。中食の強い味方になるだろう。
オーブン料理はもちろん、発酵を含むパンづくりも楽しめる
ぎゅうぎゅう焼き
クックブックの中から、オーブン料理として「ぎゅうぎゅう焼き」を試した。レシピに記載されていた材料を揃え、それぞれを一口大に切って180mm四方×高さ50mmの耐熱容器にギュウギュウに詰め込み、オートメニュー01の[スチームオーブン強]・[焼色/強(30分)]で調理する。
野菜は甘みが引き出され、肉はしっかり火が通り柔らかくて美味しい。水を1滴も使っていないのに、野菜と肉から出たスープがこれまた美味い。容器に食材を詰め込んで30分放っておくだけで、簡単に美味しい一品が完成した。
カスタードプリン
デザートはクックブックの中から、一般的に火加減の難しい「カスタードプリン」に挑戦。レシピに掲載されていたアルミ製のプリンカップ(直径75×高さ35mm)6個と材料を揃え、レシピ通りにオートメニュー02[スチームオーブン弱]・[焼色/強(30分)]で調理。だが、鬆(す)が盛大に入り失敗してしまった。食感も、ざらついたものだった。
[焼色/中(20分)]で再挑戦。鬆が少し入ってしまったが、固めながらもツルリと滑らかで美味しいカスタードプリンができあがった。
手入れは簡単
本体は凸凹が少ないスッキリとしたデザインで、廉価版オーブンレンジよりもコンパクト。サイズは414×403×255mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約6.9kg。最大消費電力は1,320W。カラーはホワイト1色だ。
使い勝手は良く、扉は水平に開いて焼アミもまっすぐスライドして出てくるので、調理中のものが取り出しやすい。キーの反応も軽快だ。オートメニューは温度調節は固定されているが、[焼色]キーで時間の調節ができるので、使い慣れれば応用も効くだろう。扉の隙間から水蒸気が出ることもあるので、やけどには気をつける。
手入れは簡単で、パンくずトレイは簡単に引き出せる。水タンクの水の通り道を掃除するのも、オートメニュー20[パイプクリーニング]・[焼色/弱]で5分で完了。分解せずに簡単にできる。
トースト、あたため、オーブン料理と試したが、総合的に見て満足度は十分高い印象だ。
スチームを使ったトーストは、1~2枚で焼くのがとにかく美味しい。厚みのあるパン、惣菜パンのリベイク、天ぷらの温め直しは、電子レンジや、一般的なオーブン、オーブントースターよりも確実に美味しく、失敗なく仕上がる。
オーブン料理は、レシピ通りに行かない場合もあったが、調理時間の調整だけで簡単にリカバーできた。多少の失敗はあっても、道具のクセを知り、使いこなしていく楽しさも感じられた。価格的にも魅力十分だ。
美味しいトーストが食べたい、中食をより美味しくいただきたい、手軽なオーブン料理や自家製パンに挑戦したい方はきっと重宝する、スチームコンベクションオーブンだ。