家電製品レビュー

スチームでトーストも天ぷら温めも美味しく仕上がる! タイガー「スチームコンベクションオーブン」

 トーストや惣菜の温め、簡単なオーブン料理が楽しめるオーブントースター。そこにさらに美味しく調理するスチームとファンが加わった、タイガーの「スチームコンベクションオーブン KAX-X130」を紹介しよう。

タイガー「スチームコンベクションオーブン KAX-X130」
メーカー名タイガー
製品名スチームコンベクションオーブン
品番KAX-X130
実売価格27,000円

 製品名に「スチームコンベクション」とあるとおり、スチームを発生させる「水タンク」と、庫内奥に「ファン」を装備。上からは「速熱カーボンヒーター」の熱、下からは2本の「遠赤ヒーター」の熱に、高温のスチームもプラス。ファンで風を起こして、熱風を庫内に循環させ、食材を保湿しながら外側はパリッと、中はしっとりとジューシーに仕上げるという。

 このスチームコンベクションオーブンは、食材の美味しさを引き出す温度にこだわった、タイガーのGX(グランエックス)シリーズの1つ。2017年にはグッドデザイン賞を受賞している。

スチーム用の水タンクの容量は最大80cc入り、外側からも水量が確認できる
庫内奥に熱風を循環させるファンを装備
上部に「速熱カーボンヒーター」、下部に「遠赤ヒーター」2本が組み込まれている

タンクに水を入れて準備は完了。タッチキーとツマミで簡単操作

 スチームコンベクションオーブンと言えども、操作はすべて扉の前面にある操作パネルで簡単にできる。タンクに水を入れてから電源を入れ、操作パネルで調理を選択する。焼アミ(ネット)は常にセットしておき、食材、調理によって調理トレイを使用する。

操作部は扉の前面に集約されている
調理前に水タンクに水を入れてセットしておく
焼アミ(ネット)とホーロー加工の調理トレイが付属する。調理トレイの内寸は260×255×17mm(幅×奥行き×高さ)
焼アミは裏側の突起を「アミ枠」に差し込むように乗せれば、扉を開けるとアミも一緒にまっすぐ出てくる。左側面からスチームが出る

 実際に調理する前に操作方法を説明しておこう。

 トースト調理は、左側のタッチキーで操作する。パンの枚数をキーで選択すると、はじめに「スチームあり」で設定される。続けて同じ数字の枚数キーを押せば、[スチームなし]→[冷凍・スチームあり]→[冷凍・スチームなし]の順に選択できる。次に3段階の[焼色]キーで弱/中/強のいずれかを選択し、[スタートボタン]をタッチすると調理が始まる。

枚数キーを押す毎にスチームの有無、冷凍パンのスチームの有無が選択できる

 オーブン調理は、最初に[オートメニュー]または[マニュアル]キーのどちらかを選択する。

 オートメニューなら左側のツマミを回し、1~19の中からメニューを選び、[スタート]キーをタッチして調理を開始する。調理時間の変更は、スタート前にトーストメニューの下にある[焼色]キーで、3段階できる(メニューによって時間の構成は異なる)。オートメニュー01~09の調理についてはパネル上に表記されているが、10~19は取扱説明書や付属のクックブックを参考にする。

 マニュアルは、左側は温度、右は調理時間のツマミになる。調理温度は80℃~250℃で、10℃刻みで設定できる。調理時間は10秒~30分(10秒~10分は10秒刻み、10分~30分は30秒刻み)。それぞれの設定が済んだら、[スタート]キーをタッチする。

オートメニューは、選択するメニューによって調理時間が設定される。マニュアルは温度と時間を左右のつまみで設定する

 スチームは、[オートメニュー]のみで使用できる。メニューに応じてスチームの有無は自動的に設定され、操作パネルの「Water」ランプで確認できる。一方、[マニュアル]はスチーム非対象となる。

 スチームの減り方は、メニューや材料の温度・質・種類・室温によって左右されるが、1度の給水で約30分は持つ印象だった。

 なお、電源を入れた直後に左のツマミを回せば[オートメニュー]、または、右のツマミを回せば[マニュアル]と、キーを使わない選択もできる。

オートメニュー時のみ、メニューに応じてスチームの有無が決まる。メニューによってパネル左側、トーストの下にある[焼色]キーで時間の調節もできる
付属のクックブックには、パンや惣菜のあたためからデザートづくりまで、他の食材へ応用がききそうな、合計28種類の調理が掲載されている

 おおよその使い方がわかったところで、次に調理のレポートに移ろう。

「カリッふわッ」で焼き色は完璧なトースト。1~2枚で焼くのがオススメ

 スチームを使ったトースト調理はとても美味しい。4枚切り、5枚切り、8枚切りと厚みを変えても、表面はカリッ、パリッで、中はしっとりアツアツ、ふっくら、モッチリと仕上がった。表面の香ばしさと、中から立ち上る小麦の甘い香りが美味しい。

 調理時間は[スチームあり]→[スチームなし]→[冷凍・スチームあり]→[冷凍・スチームなし]で変わる。[焼色/中]で1枚の場合、調理時間は順に、3分40秒→2分40秒→4分50秒→4分25秒だ。

 スチーム[あり/なし]で焼き比べてみると、時間はかかっても[スチームあり]の方が中のアツアツで、しっとり感も強くてより美味しい。冷凍した薄い8枚切りでさえ、冷凍前と遜色ないほど美味しく焼き上がった。

ガラス窓が大きく、調理中の様子がよく見える
8枚切りの薄い食パンも、スチームで「カリッ、ふわッ」に美味しく仕上がった。半分に割こうとしても真っ二つになりにくいほど、中がモッチリで弾力がある
冷凍した8枚切りも、冷凍前と変わらない仕上がりで美味しい!

 ただし、4枚同時のトーストはイマイチと言わざるを得ない。

 理由は枚数を増やす毎に長くなる調理時間にありそうだ。[焼色/中]・[スチームあり]設定で、1→2→3→4と枚数を増やした時間は順に、3分40秒→4分→4分40秒→5分20秒。たしかに4枚同時にトーストしても、焼き色は見事。

 ところが、食べてみると外側はガリッと固く、中はしっとり・モッチリ感に乏しく、甘い香りも抜けてしまった。1~2枚でトーストした時の、とても美味しかった同じ食パンとは思えないほど、食味も食感も落ちてしまった。パンの厚みやメーカーを変えて3種類試してみたが、その印象は変わらなかった。

 4枚同時にスチームで焼ける特徴が活かされないのは残念。とは言うものの、大きな水タンクを備えて連続調理できるので、複数回に分ければ断然美味しくいただける。

食パン4枚を同時に焼けるのだが……
キレイな焼き色。だが、8枚切りはパックリ割れるほど水分が飛んでいた。美味しくない
山崎・ロイヤルブレッド5枚切りもイマイチな仕上がり。1~2枚でトーストした方が断然美味しかった

中食の強い味方! オートメニューのあたため

 高さのあるパンは、オートメニュー03[パンあたため]・[焼色/弱(4分)]で温めた。ロールパンの外は香ばしく中はふっくらアツアツ、クロワッサンはサックリモッチリに仕上がり美味しい! 冷凍した同じパンは[焼色/強(6分)]であたためると、こちらも冷凍しなかったものと同じように美味しかった。

 惣菜パンは調理トレーを使い、オートメニュー04[フランスパンあたため]・[焼色/強(6分)]を選択。カレーパン、デニッシュ、ともに焦げ付かず、中までしっかり温まった。カレーパンの外側はサクッと揚げたような食感で香り良く、衣のついていない内側はモッチリ。デニッシュのパイ生地部分はサックサクで、リンゴもクリームも温まり風味がアップ。どちらもとても美味しかった。

 オートメニューの03と04は同じ調理時間の構成だが、04は上ヒータがON/OFFを繰り返し、焦げ付かないような火加減を保っていた。

ロールパン、クロワッサンとも軽く焼き色も付いてとても美味しい。中までアツアツだ
冷凍したものも、冷凍前と変わらない仕上がりだった
惣菜パンはあたためた方が断然美味しい。焦げつかずに、中までしっかり温まった

 一晩冷蔵庫で保存していた2人前の天ぷらは、調理トレイを使い、メニュー05の[惣菜あたため]・[焼色/中(8分)]で加熱。

 水分を吸って白っぽくふやけていた衣は、加熱後サックリと香ばしく仕上がった。再加熱で固くなりがちなエビやイカは、プリッとした食感を残したままでとても美味しい。2cm以上厚みのあるホタテもアツアツだ。

衣はサクサクと食感が良く、中までアツアツ! 6品目(舞茸・シシトウ・エビ・イカ・ホタテ・かぼちゃ)・2人前の天ぷらが全体がムラなく温まった
衣に付いていた油が熱されて、食材を包み込むように「ジュージュー」と音を立てていた
温め直しとは思えないほど、天ぷらはサックリと風味豊かに美味しく温まった

 オートメニュー03~05はスチームを使った温めだが、どれも香ばしく、美味しい。一般的なオーブントースターでは、高さのあるパンは中まで温まる前に焦げついたり、天ぷらは衣が焦げてガリガリになることもある。

 スチームコンベクションオーブンは、パンの温めはもちろん、惣菜の温め直しに威力を発揮する。中食の強い味方になるだろう。

オーブン料理はもちろん、発酵を含むパンづくりも楽しめる

ぎゅうぎゅう焼き

 クックブックの中から、オーブン料理として「ぎゅうぎゅう焼き」を試した。レシピに記載されていた材料を揃え、それぞれを一口大に切って180mm四方×高さ50mmの耐熱容器にギュウギュウに詰め込み、オートメニュー01の[スチームオーブン強]・[焼色/強(30分)]で調理する。

 野菜は甘みが引き出され、肉はしっかり火が通り柔らかくて美味しい。水を1滴も使っていないのに、野菜と肉から出たスープがこれまた美味い。容器に食材を詰め込んで30分放っておくだけで、簡単に美味しい一品が完成した。

材料は野菜と肉(500g)。すべて一口大に切って塩コショウし、容器にすき間無く詰める。オリーブオイルをかけて調理をスタートする
野菜は甘く、肉は柔らかく仕上がった。スープもとても美味しい一品だ
カスタードプリン

 デザートはクックブックの中から、一般的に火加減の難しい「カスタードプリン」に挑戦。レシピに掲載されていたアルミ製のプリンカップ(直径75×高さ35mm)6個と材料を揃え、レシピ通りにオートメニュー02[スチームオーブン弱]・[焼色/強(30分)]で調理。だが、鬆(す)が盛大に入り失敗してしまった。食感も、ざらついたものだった。

調理前に、トレイ半分ほど湯を注ぐ
レシピ通り[焼色/強(30分)]では鬆が入りすぎて失敗。食感も良くない

 [焼色/中(20分)]で再挑戦。鬆が少し入ってしまったが、固めながらもツルリと滑らかで美味しいカスタードプリンができあがった。

[焼色/中(20分)]で焼き上がったところ。スチームのおかげか、プリン表面が固くならない
鬆は入ったが、滑らかで固めのカスタードプリンができた。とても美味しい
中にも鬆が入った。調理時間をもう少し少なく、15分ぐらいで調理を止めても良さそうだ
ちぎりパン

 クックブックには手作りパンも掲載されていた。1次発酵からベンチまでは室温で行なう。スチームコンベクションオーブンは2次発酵と焼きから出番だ。型に生地を並べ、オートメニュー14[手作りパン発酵]・[焼色/強(50分)]で2次発酵する。発酵が終了したら、そのままオートメニュー15[手作りパン焼き]・[焼色/中(20分)]で焼き上げる。

 生地を捏ねるなどの手間はかかるものの、レシピ通りに自家製パンが美味しく焼けた。焼アミと上ヒーターまでの高さが10cmもないので、パンの一部に濃い焼き色がついたが、そこはご愛嬌。自分で焼いた添加物の入らない、焼き立てパンは贅沢な気分になる美味しさだ。

オートメニュー14で2次発酵。生地が倍以上に膨れたら、オートメニュー15で20分焼く
焼いている途中。パンを焼く甘く良い香りが部屋中に漂う
焼き上がった様子。上ヒーターに近いところは少し焦げたが上々
ふっくらと香ばしい自家製パンのできあがり。とても美味しい

手入れは簡単

 本体は凸凹が少ないスッキリとしたデザインで、廉価版オーブンレンジよりもコンパクト。サイズは414×403×255mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約6.9kg。最大消費電力は1,320W。カラーはホワイト1色だ。

カラーはホワイトで、凸凹が少ないスッキリとしたデザイン。廉価版オーブンレンジよりもコンパクト

 使い勝手は良く、扉は水平に開いて焼アミもまっすぐスライドして出てくるので、調理中のものが取り出しやすい。キーの反応も軽快だ。オートメニューは温度調節は固定されているが、[焼色]キーで時間の調節ができるので、使い慣れれば応用も効くだろう。扉の隙間から水蒸気が出ることもあるので、やけどには気をつける。

 手入れは簡単で、パンくずトレイは簡単に引き出せる。水タンクの水の通り道を掃除するのも、オートメニュー20[パイプクリーニング]・[焼色/弱]で5分で完了。分解せずに簡単にできる。

調理メニューや食材によって、本体と扉の隙間から蒸気が立ち上る事がある
パイプクリーニングした水は、パンくずトレイの「水受け部」に排出される。普段の手入れは簡単だ

 トースト、あたため、オーブン料理と試したが、総合的に見て満足度は十分高い印象だ。

 スチームを使ったトーストは、1~2枚で焼くのがとにかく美味しい。厚みのあるパン、惣菜パンのリベイク、天ぷらの温め直しは、電子レンジや、一般的なオーブン、オーブントースターよりも確実に美味しく、失敗なく仕上がる。

 オーブン料理は、レシピ通りに行かない場合もあったが、調理時間の調整だけで簡単にリカバーできた。多少の失敗はあっても、道具のクセを知り、使いこなしていく楽しさも感じられた。価格的にも魅力十分だ。

 美味しいトーストが食べたい、中食をより美味しくいただきたい、手軽なオーブン料理や自家製パンに挑戦したい方はきっと重宝する、スチームコンベクションオーブンだ。

藤原 大蔵