トピック

いまスティック掃除機の注目は紙パック式? 編集部で話し合ってみた

スティック掃除機は紙パック式がオススメ?

家族や知人から「家電製品……何を買えば良い?」と聞かれることが多い家電 Watchの編集部員。今回は、紙パック式や自動ゴミ収集機能を備えたクリーンドック搭載モデル、さらに水拭き対応モデルなど、なにかと追加機能を備えた新モデルが次々と登場しているスティック掃除機について、それぞれどういった違いがあって、どんな人に向いているのかなど、ワイワイと自由に話し合ってみた。

メンバーは、編集長の中林ほか、西村、鄭、松川、河原塚の5名。

編集部5名でスティック掃除機のトレンドとオススメを話し合った

トレンドのトップを走るのは、まさかの紙パック式?

鄭:わたしは、紙パック式のスティック掃除機が気になっています。というのも、今はサイクロン式を使っていますが、洗面所を掃除すると、ものすごい量の髪の毛がダストカップに絡まってしまって……それを手で取るのが嫌だなぁって思っているんです。紙パック式なら、ポイッて捨てるだけじゃないですか? サイクロン式よりも紙パック式の方が便利なんじゃないかって、心が揺らいでいます。

松川:私も今はサイクロン式を使っていますが、メンテナンス時にゴミを触りたくないので、自動ゴミ収集機能付きや紙パック式がとても気になっています。

西村:今まで、スティック掃除機といえばサイクロン式が多くて、サイクロン式が便利だってことに、誰も異議はなかったけれど、だんだんと「ダストカップの掃除って面倒じゃない? ホコリが舞い上がるし、手は汚れるし」って気になり始めちゃった人が多いですよね。そういう「手を汚したくない」っていうニーズに応えるために、紙パック式の新製品が多くなっていますね。

鄭:そうですね。スティック掃除機だとシャープの「RACTIVE Air EC-KR1」と、日立グローバルライフソリューションズの「かるパックスティック PKV-BK50L」があって、2月にはパナソニックからも「紙パック式コードレススティック掃除機 MC-PB60J」がリリースされています。

パナソニック「紙パック式コードレススティック掃除機 MC-PB60J」

2月にリリースされたばかりの、パナソニック「紙パック式コードレススティック掃除機 MC-PB60J」

河原塚:紙パック式が当たり前だった昔は、消耗品の紙パックを買い続けることに疑問を感じている人が多かったと思うんですよね。そこにサイクロン式が出てきて、「紙パック不要って、すごく便利!」ってなったのに……。でもたしかに紙パック式は、手を汚さずにゴミ捨てできて良いですよね。交換用の紙パックも高くはないし、Amazonなどのネット通販でポチッとすれば、遅くても2日後には届くし、昔みたいに「対応する紙パックを買ってくるのがめんどう」って思うことも、ほとんどない気がします。

西村:サイクロン式のホコリが舞うストレスに比べたら、紙パックをストックしておく手間の方が気がラクって感じる人も多いかも。

手を汚さずにゴミ捨てできる紙パック式(写真はシャープ「RACTIVE Air EC-KR1」)

河原塚:ただし紙パック式だと、1つの紙パックでどれだけの期間、掃除できるのかが気になりますね。うちは狭いマンションだから、そんなにホコリやゴミも出ないけれど、戸建ての一軒家だったりすると、すぐに紙パックがいっぱいになっちゃわないか? とか、紙パックを使い続けると吸引力が落ちちゃうんじゃないか? などは気になります。

鄭:ちなみに紙パック式の、シャープの「RACTIVE Air EC-KR1」だと紙パックの交換頻度の目安が約1.5カ月、日立グローバルライフソリューションズの「かるパックスティック PKV-BK50L」だと4カ月、パナソニックの「紙パック式コードレススティック掃除機 MC-PB60J」は約3カ月に1回、それにシロカの「紙パック式コードレススティッククリーナー らくらクリーナー SV-SK151」は約1カ月となっています。

河原塚:パナソニックの3カ月もすごいけれど、日立の4カ月は驚異的な長さだなぁ。

日立の「かるパックスティック PKV-BK50L」

西村:吸引力については、最近の紙パック式は、吸い込んだゴミが空気の流れを邪魔しないように溜めていく構造になったから、吸引力も落ちない……落ちにくいと、いちおうどのメーカーも言っていますよね。

紙パック式も吸引力が落ちるのを抑制する構造を採用(写真はシャープの「RACTIVE Air EC-KR1」)

鄭:何カ月も紙パックを交換する必要がなくて、吸引力も落ちにくいというのが本当だったら、紙パック式のスティック掃除機は、次に買い替える時の、かなり有力候補になりますね。

河原塚:交換用の紙パックの価格も、1枚100円前後ですからね。数カ月に1回の交換であれば、コスト面で気になるような価格ではないですね。

シャープ日立パナソニックシロカ
ゴミ捨て頻度(約)1.5カ月4カ月3カ月1カ月
使用可能時間(約)9〜50分8〜60分8〜30分15〜25分
実売価格77,000円前後77,000円前後50,000円前後25,000円前後

自動ゴミ収集ドック式は、現状使っていて不満なし

河原塚:紙パックを数カ月も交換しなくていいっていう紙パック式のスティック掃除機の話を聞いてからだと、少しオススメするトーンが落ちちゃいますけど、今使っている自動ゴミ収集ドック式は、かなりオススメしたいです。


河原塚が使用中のシャーク「EVOPOWER SYSTEM STD+ CS150JAE」

西村:河原塚さんのは、シャークの掃除機ですよね? あれはドックに溜めたゴミを捨てる時は、どんな感じなんですか?

河原塚:まだ1年も使っていないのと、そんなにマメな性格じゃないから、3回しかゴミを捨てたことがないんですけど、シャークのドックは紙パック式ではなく、ダストボックスにそのまま溜まっていくだけなので、ゴミ捨て時には、けっこう盛大にホコリが舞いますよ。

西村:えぇ……(やだそれ……ちゃんと捨てなよ的な表情)

河原塚:でも、あまり溜めずに定期的にゴミ捨てしたり、慣れたりすれば、もっとホコリをたてずに、ゴミ捨てできるような気がします。ただ……数カ月に1回のゴミ捨て頻度だと、慣れるのも難しいかも(注:メーカーは1カ月に1回のゴミ捨てを推奨)。

シャークの自動ゴミ収集ドック

西村:私も自動ゴミ収集ドック式はいいなぁと思っていますが、やはり手を汚したくないっていう人には、自動ゴミ収集ドックに紙パックを採用しているパナソニックの方が良いかもしれませんね。

河原塚:パナソニックのクリーンドック搭載スティック掃除機は、自動ゴミ収集ドック式の元祖ですよね。2021年に初めてレビューした時に「これは、ものすごく便利だから、絶対にトレンドになる!」って思って、それを記事にも書きましたが、本当に便利です。特にきれい好きな人であれば、紙パック式のパナソニックがオススメです。

パナソニックの自動ゴミ収集ドック(クリーンドック)は、紙パック式を採用

自動ゴミ収集ドック式の元祖的なモデルセパレート型コードレススティック掃除機 MC-NS10K」

鄭:今は「MC-NX700K」、「MC-NS100K」と「MC-NS70F」の3モデルが発売されていて、ワンルームから一戸建て向けまで揃っていますよね。

河原塚:そうですね、大・中・小の3モデルです。先日、一番小さい「MC-NS70F」を使いましたが、基本は、一人暮らし向け。ヘッド部分がヘニャヘニャと可変するのですが、意外とキッチリと吸引していました。ただ、置く場所があって、価格も問題ないのであれば、一人暮らしの人でも、もう少しヘッド部分がしっかりとした、中モデルの「MC-NS100K」などを選んだ方が、掃除しやすいと思います。特に髪の長い女性には、「MC-NS100K」などのクリーナーヘッドに採用されている「からまないブラシ」が良いと思います。

パナソニックの「MC-NS100K」(中モデル)

松川:ただ、自動ゴミ収集ドック式って、ゴミを吸引する時の音がうるさいですよね。

河原塚:正直、家で使うとうるさいですね。だんだんと慣れてきましたが、さすがに夜中などは、使いづらいです。まぁ掃除機自体の駆動音と、うるささは同じくらいだと思いますけどね。なので夜にどうしても掃除したい時には、掃除をして本体をドックに戻す時に、ドックの吸引をオフにします。このオン/オフボタンについては、シャークもパナソニックも、押しやすい場所に配置されています。

自動ゴミ収集ドック式のシャークニンジャ「EVOPOWER SYSTEM STD+ CS150JAE」

マキタは最強のスティック掃除機なの?

西村:あと、スティック掃除機でダークホース的な存在が、マキタですよね。

鄭:たしかに、うちの掃除機を買い替えようって思った5年前は、けっこう主婦層の間でも「マキタがいい!」っていう声を、ネット上でよく見かけました。

河原塚:何度かマキタのスティック掃除機を使ったことがあるけど、吸引力は強い。ただし、クリーナーヘッドがかなりシンプルな作りで、フローリングなどを掃除する時には良いかもしれないけれど、絨毯を掃除する時には向かない気がします。また、うちの場合は畳の部屋があるけど、既に傷んでいるとはいえ、さらに傷みそうだなという印象を受けました。

鄭:そもそもマキタは業務用ですよね。だから店舗や工場など、(リノリウムのような)つるつるした床を掃除するのに最適化されているんだと思うんですよね。

河原塚:そうでしょうね。構造がシンプルだから吸引力は強いし、砂利なんかもガンガン吸い取ってくれるから玄関を気兼ねなく掃除できて便利。しかもヘッド部分が軽いから、階段や高い場所も掃除がしやすい。それに比較的にリーズナブルですしね。

鄭:特に今は、軽い掃除機も増えましたもんね。

重さ1.4kgの日立「かるパックスティック PKV-BK50L」

河原塚:この前、日立の「かるパックスティック PKV-BK3L」を持った時に「うわぁ、かるっ!」って驚きましたよね(重さ1.1kg)。シャープの「RACTIVE Air EC-KR1」なども軽いし(同1.3kg)……それで吸引力も申し分ないです。そうなると、本体重量での優位性はマキタにはないですけど、価格などのメリットは大きいので、支持する人が多いのもうなずけます。ただし、最強なのか? と聞かれると、一般家庭用としては、どうなのかな? と疑問に感じる部分もあります。

日立の「かるパックスティック PKV-BK3L」

水拭き機能搭載は便利。ただしメンテナンスは忘れずに

河原塚:水拭きできるスティック掃除機がアクアやダイソンから出ていますが、あれはどうなんでしょう? うちは、あまりフローリングの面積が広くないので、水拭きしたくなったら雑巾などでいいかなぁって思ってしまいますけど。

ダイソンの「Dyson V12s Detect Slim Submarine」

鄭:ワイパーシートなども便利ですしね。

西村:掃除機の機能としては、吸引掃除と水拭き掃除は、別々の方が良いんじゃないかな。ロボット掃除機でいえば、ルンバとブラーバの組み合わせが良いと思います。

松川:でも、掃除機を2つも家に置いておけないっていう人には、1台2役の方が助かりますよね。いつもは吸引掃除をして、たまぁ〜に水拭きしたいなぁっていう時に、同じ掃除機で水拭きできればうれしいはず。

河原塚:でも、水を扱うっていうのが気になるんですよね。ちゃんとメンテナンスできる人なら良いですけど、僕みたいにズボラだと、水を使う機器は避けた方がいいかなって思ってしまいます。使った後に、濡れる部分をしっかりとメンテナンスしないと、よけいに床を汚すことになりかねない気がします。

西村:メンテナンスはしないとダメですね。そういう点では、河原塚さんにはオススメできません(笑)。

ダイソンの水拭き掃除機「Dyson V12s Detect Slim Submarine」

手を汚したくない人には紙パック式の一択!

西村:こうしてみると、どれも一長一短がありますよね。特にスティック掃除機って、まだ進化の過渡期にあるんだろうなぁって思います。十数年前にダイソンのサイクロン式のスティックがトレンドになって、それから各メーカーが紙パック式以外のモデルを開発してきましたが、誰にでもオススメできるコードレスのスティック掃除機は、まだ出てきていません。それは方式の違いもありますし、バッテリーの持ちの問題もありますしね。

河原塚:たしかに、決定的な方式などはありませんし、紙パック式やサイクロン式に続く画期的な方式が出てくるかもしれません。また、水拭き機能などは、そうした過渡期に出てくる実験段階ともいえるかもしない。これから定着していくのかどうか? という感じですよね。

中林:そうですね、誰にでもオススメっていうのは、スティック掃除機に限らず難しいです。ただし現状で考えると、紙パックが不要なサイクロン式が今も多数派で、紙パック式が最近再び注目されてきました。自動ゴミ収集ドック式の中でも、紙パック式と紙パックが不要なモデルがある。その中で、できるだけ手を汚したくない人には、紙パック式がオススメということにはなりますよね。

中林:あとは、掃除機で吸引したゴミを、何カ月か掃除機本体の紙パックで保管するか、それともドック側に溜めておく方が良いかということ。どちらが良いかは好みになりますが、1ついえるのは、自動ゴミ収集ドックは、少し場所を取るものが多い。そもそも自宅に無理なく設置できるかは、まず最初に確認しておくべきでしょうね。

一概にオススメはこれ! と、1つの製品に絞ることはできないが、今はニーズに合わせてさまざまな製品から選べるようになっている。それらの製品を把握しつつ、自宅の掃除に何が必要なのかを見極めれば、きっとぴったりの1台に出会えるはずだ。

河原塚 英信