私の2020

調理家電や洗濯機を長く愛用できる、アプリの使いやすさに注目

家電 Watchの筆者や編集部員が、2020年を振り返りながら、使ってみてよかったものや、注目した話題、動向などについて自由に語るコーナーです。
シャープ「ヘルシオ ホットクック KN-HW16F」

2020年も多くの家電製品が発売され、いくつか自宅の家電の買い替えもした。引っ越しして、部屋の間取りなど環境が変わったことや、自粛期間に、家事の効率化について考える時間が増えたことも、買い替えの大きな理由だ。

次々と新しいモデルが登場する中、周りの人からは“買い替えのタイミング”について悩む声も多く聞く。個別の製品が値下がりする時期を予想するのは難しいだけでなく、もし買った後すぐに、魅力的な新モデルが登場したら……などと考えてしまうと、なかなか購入に踏み切れないこともあるだろう。

それでも、自身が買ってよかったと思える製品のポイントとして、基本性能に加えて「連携するアプリを快適に使い続けられるか」が、大事な要素になってきていると感じている。そうした視点で、2つの製品を中心に振り返りたい。

新しい料理に挑戦したくなるホットクックとCOCORO KITCHENアプリ

毎日の食事で、なくてはならない存在になったのが、シャープの「ヘルシオ ホットクック」。今年9月に発売された「KN-HW16F」が役立っている。

KN-HW16F(1.6L)は、2~4人用の料理が作れる。実売価格は55,000円前後

筆者の場合、ほぼ毎週作るようになったローストビーフやサラダチキンは、時間がない朝食などにも定番メニューになっているし、好きなヨーグルトなども、夜にセットしておけば朝には完成している。

また、野菜をたくさん使ったカレーや、スペアリブなどを使った煮込み料理も、付属の「混ぜ技ユニット」の絶妙な混ぜ具合でちょうどよい食感に仕上げられる。ホットクックを買ってから、スーパーなどで大きな肉を買う機会が増えた。

圧力調理ではないため、コンロの調理より何でも早く作れるというわけではないが、とりあえずホットクックに材料を投入して、あとは別のメニューにかかれば結果的に効率よく作れるのがラクで、トータルでは時短につながる。数の限られたコンロを他で有効活用できるのもうれしい。なお、より多人数向けには2.4Lモデルもあり、これら新製品の特徴や、調理の例は倉本 春氏のレビューで詳しく紹介しているのでそちらをご覧いただきたい。

買ってよかった大きな理由は「分量などを守ればまず失敗しない」こと。筆者のように「料理上手ではなくても作ってみたい、でも面倒はなるべく省きたい」というワガママな要望にもしっかり応えてくれている。

レシピ通りにセットしてスタートさせれば、火の通し具合など失敗なく作れた

そして、豊富なレシピを使いやすくしてくれるのが、アプリ「COCORO KITCHEN」。製品には紙のレシピも付いているが、頭で覚えるのは大変で、作りたい料理をすぐ見つけられないときもある。このアプリなら、料理名や食材からレシピをすぐ検索でき、買い物の時に、作りたい料理に必要な食材を確認できる。外出中でも、仕上がりの時間を確認できて便利。家では「いま冷蔵庫にある食材から何を作れるか」がすぐ分かる。

シャープによるレシピだけでなく、ユーザーが投稿する公式ファンコミュニティ「ホットクック部」のメニューもホットクックにダウンロードすれば、すぐに調理を始められる。

COCORO KITCHENアプリ画面

ホットクック部の投稿は、COCORO KITCHENアプリよりも、Webサイトまたは別のアプリ「commune」経由で確認した方が多くの情報を閲覧できるようだ。ただ、投稿側のフォーマットが自由なためか、COCORO KITCHENアプリのレシピに比べると、一覧性や検索性はもっと改善してほしいとも思う。それでも、ユーザーそれぞれが自分の使いこなしを紹介/共有していて、皆さんいろいろ工夫しているんだなあと刺激になる。

ホットクック部のレシピや情報交換は、Webサイトまたはアプリcommuneでより多く見られる

筆者は、まだレシピを参考にして作っているだけのレベルだが、もっと使いこなして、自分もメニューを投稿できるようになりたい。こうした楽しみが、一つの家電を長く使い続けられることにつながっていくように思う。

今の生活スタイルに合った洗濯機の使い方ができるように

ドラム型洗濯乾燥機を購入するにあたり、いろいろ悩んだ結果、今は東芝ライフスタイルの「ZABOON TW-127X9」を使っている。洗濯12kg/乾燥7kgの大容量に対応することや、評判の高い低騒音設計など、魅力的なポイントがいくつかあって、落ち着いたブラウンの本体カラーも好みだ。

東芝ライフスタイル「ZABOON TW-127X9」(実売28万円前後)

購入前は、アプリはそれほど使わないかもしれないと思っていたが、せっかくWi-Fiが付いているので、とりあえず家のルーターに接続してアプリ「IoLIFE」と連携。実際に使ってみたところ、気に入って使い続けている。

アプリの使い方としては、洗濯や乾燥中の残り時間をスマホ画面で確認できるほか、終わった時などに通知できる。

東芝の家電と連携するアプリ「IoLIFE」(洗濯機のアプリコース画面)

新機能の「アプリコース」を使ってみると、「衣類別にコースを選ぶ」と「目的別に洗い方を選ぶ」、「お好みにカスタマイズする」というメニューが用意されている。例えばダウンジャケットやベッドパッドなど、それぞれの衣類/寝具などに適したおすすめの洗い方を選んで、アプリに自分用のメニューとして登録できる。一方で、洗い/すすぎ/乾燥などの設定を自分のこだわりで細かく調整して登録することも可能だ。

衣類別の洗い方や、細かい設定も可能

筆者の場合、在宅勤務が増えて洗濯の回数は減っているが、清潔さが気になる昨今の状況から、長時間の外出ではなくてもサッと軽く洗っておきたい洗濯物が、すぐにたまりやすいようになっている。そこで、しっかり洗うコースと、短時間で洗うコースを別のメニューとして登録しておいた。これで、洗濯機の前で毎回細かく設定しなくても素早く適切な洗濯を開始できる。乾燥の仕上がりを「お急ぎ」「上質」「省エネ」などどれを選ぶかも、好みに応じてセットしておくと使い分けしやすい。

もともと洗濯機自体には豊富なメニューで細かく設定できる機能はあるが、それを面倒に感じず使い続けるために、こうしたアプリが役立っていると感じる。

アップデートも含め、長く使い続けられるかどうかに注目

紹介した製品以外にも、アプリのアップデートで家電製品の機能が便利になるというニュースを今年はいくつも誌面で紹介した。例えばロボット掃除機のルンバ(アイロボット)でソファ周りなどピンポイントで掃除できる機能アップデートが行なわれたり、オーブンレンジ「ヘルシーシェフ」(日立)での大幅なメニュー追加なども注目された。こうした機能強化は、既存ユーザーにとってうれしい情報であるとともに、これから買う人にも「長く使い続けられそう」という安心感につながるだろう。

ルンバやブラーバ用のアプリ「iRobot Genius ホームインテリジェンス」
日立「ヘルシーシェフ MRO-W10X」

現状では、「家電がネットにつながる必要性」については人によって意見の分かれるところではあるし、まだまだ生活家電のネット接続率は高くない。

まだ魅力を感じない人やシンプルさを重視する人に対して、無理に高機能なモデルを勧める必要はないと思うが、例えば「機能がたくさん使える」だけではなく「リモコンや本体ボタン操作よりもアプリの方がラク」といった使い方がもっとできるようになれば、家電そのものの価値も高まって、せっかく買った製品がすぐ古びてしまうように感じることもなくなるはず。

2021年以降も、モデルチェンジで新しい家電はどんどん登場するだろうし、どんな新しい技術が登場するかはもちろん興味深いポイントだ。ただ、それだけではなくアプリがどれだけ使いやすく気が利いて、ユーザーに寄り添ってくれるようになるかという点も、引き続き注目したい。

中林 暁