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エボルタ、乾電池駆動の有人電車で8.5kmの廃線走破へ

左から順に、エボルタ電池鉄道、エボルタ電池鉄道 社長のエボルタくん、旧小坂鉄道廃線の車掌さんと運転手さん

 パナソニックは、エボルタチャレンジ2014のチャレンジ車両お披露目発表会を開催した。エボルタチャレンジ2014は、11月2日に秋田県の大館市で実施される。

 2014年のチャレンジとなるのは、単一形乾電池で電車の有人走行に挑戦する「エボルタ電池鉄道」。人を乗せて走行するのは、エボルタチャレンジ史上初となる試み。動力源は単一形のエボルタで、99個のエボルタを「3並列×33直列」でオリジナル車輌にセットし、初の有人走行にチャレンジする。

2014年のエボルタチャレンジは「エボルタ電池鉄道」
単一形のエボルタ99個を3並列×33直列で並べた様子

 チャレンジの舞台は、秋田県大館市の「旧小坂鉄道廃線」。大館駅から小阪駅を結ぶ路線で、1994年の旅客営業が終了後、貨物専用の鉄道として利用されていたが、2009年に全線廃止となった。その後、2013年に秋田県の「地域資源」に認定され、現在では残っている線路を走行する「小坂鉄道レールバイク」というリクリエーションに活用されている。

 走行予定ルートは、旧小坂鉄道廃線の旧雪沢温泉付近を出発し、終着駅までの約8.5km。山手線の渋谷駅から池袋駅までのほぼ同じ距離を、約2時間で走行する予定という。

 走行予定ルートの中には、小坂鉄道レールバイクとして活用されている区間以外も含まれている。2009年以来、そのまま放置されていたため、草木が生え放題で、土がかぶっていた。そのため、安全に走行するための線路の整備活動が、地元の人を含む60人の人たちと協力し、約1カ月前から行なわれている。

 発表会には、旧小坂鉄道廃線の車掌さんと運転手さんも登場。小坂鉄道への思い入れや、今回のプロジェクトについて、小坂鉄道に30年間勤めていた車掌さんは「今は廃線となっておりますが、とても思い入れのある鉄道です。その鉄道が今回、このような素敵なチャレンジ企画として1日復活すると聞き、とても嬉しく、楽しみにしております。また、大館市の人たちも線路の整備などをはじめ、この企画に参加させていただき、当日を今か今かと楽しみにしております。思い出の小坂鉄道が見事復活し、チャレンジ成功となることを心から祈っております」と述べた。

チャレンジの舞台は、秋田県大館市の「旧小坂鉄道廃線」
99本の単一形エボルタで約1トンの電車を約8.5km走行させる
エボルタ電車

 エボルタ電車の動力部分となる車台は、主に車輪、ブレーキ、ギアボックスなどで構成。脱線することなく安全に走行するため、車輪の大きさ、数、位置を工夫しているという。

 車体は、鉄、鋼、アルミニウム、特殊強化ダンボールを使って製作。10名の乗客を乗せられるよう、耐圧強度の高い素材を使用している。電車の角を丸くするなど、ディティールにもこだわっているという。

 電池で動くモーターもオリジナルで製作しており、最高速度は時速約12km。今回のチャレンジでは時速6kmで走行する。

 車体のサイズは、1,600×4,100×2,200mm(車幅×全長×車高)。総重量は乗客10名を含め約1トン。

 エボルタチャレンジは、2008年の「グランドキャニオン」に挑戦から始まり、2009年の「ル・マン24時間」、2010年の「東海道五十三次」、2011年の「トライアスロン」、2012年の「長もち年越し」と回を重ね、2013年には「世界最長レール走破」でギネス世界記録を達成するなど、毎年様々なチャレンジを行なってきた。

中野 信二