シャープ、“業界初”住宅用太陽光発電システム全体を15年間保証

「まるごと15年保証」の対象となる、シャープの太陽光発電システム

 シャープは、業界で初めて住宅用太陽光発電システムをトータルで15年間保証する有償保証制度「まるごと15年保証」を、7月1日に受付開始する。

 同社の住宅用太陽光発電システムの購入時に加入できる有償のサービス。太陽電池モジュールのほか、パワーコンディショナーや架台、モニターなどの周辺機器も、15年間の保証の対象となる。修理・交換の費用はシャープが全額負担。回数や金額の上限もない。

 修理の対応は、シャープの研修を合格した技術員が行なう。コールセンターにて修理を受け付け、調査後にシステムの修理や部品の交換を実施する。保証期間中は修理費用見積もりなどもなく、すぐに作業に取り掛かるという。コールセンターは土日祝も受け付けている。

従来の10年保証(無償)よりも長い15年の有償保証となるシステム全体が保証の対象となる「15年保証」では、交換費用もシャープが負担。専門技術員が土日祝受け付ける

 また、インターネットで太陽光発電システムの発電量を見守る「Webモニタリングサービス」も15年間無料で利用可能。毎月の発電レポートをWebページで閲覧したり、エラー情報を分析して故障を修理するなどのサービスが受けられる。また、CO2排出削減量などを知らせる「発電診断レポート」、消費電力量の目標設定や進捗状況ができる「省エネナビ」も利用できる。

シャープがエラーを捕らえる「Webモニタリングサービス」も15年間無料となるWebモニタリングサービスのコンテンツ

 保証料金は、設置システム容量によって異なるが、3kW以上~4kW未満のクラスの場合、15,960円。シャープでは、“1日当たりわずか3円で、15年間安心して利用できる”としている。なお、まるごと15年保証に加入せず、従来の無償の10年保証制度を利用することも可能だが、まるごと15年保証の加入のタイミングは導入時のみで、その後の加入はできない。

 また、現在シャープの太陽光発電システムを利用しているユーザーは、10年保証からまるごと15年保証への切り替えが期間限定で申し込める。受付期間は10月1日から2013年9月30日まで。システム導入から10年目に、有償の出力確認が必要となる。価格は検討中とのことだが、シャープの販売店では2~3万円を検討しているという。なお、2005年以前のシステムでは、パワコンを交換しないとWebモニタリングサービスが利用できない。



まるごと15年保証の加入は、システム導入時に限られる。途中からは加入できないただし、現在シャープの太陽光発電システムを利用しているユーザーは、10年保証からまるごと15年保証への切り替えが期間限定で申し込める
3kW~4kWクラスにおけるまるごと保証の加入負担金は15,960円受付開始は7月1日から。現行システムのユーザーは、10月1日から申し込める
シャープのソーラーシステム事業本部 ソーラーシステム事業部長 稲田周次氏

 シャープのソーラーシステム事業本部 ソーラーシステム事業部長 稲田周次氏は、国内の住宅用太陽電池市場について「現在、新エネルギーの関心が高まっており、補助金や余剰電力買取制度などが追い風となって、出荷量は対前年度比で30%の伸びとなってる。また、この4月にはシステム設置が100万件を達成し、ますますお客様が増えている」と話した。

 しかし、太陽光発電システムを導入しない理由のアンケートで、「価格が高い」「初期費用が回収できるか不安」のほか、「この先のメンテナンスが分からない」「長く使えるのか」など、メンテナンスに不安を持つ意見があったという。

 「一般的なソーラーローン(太陽光発電システムを導入するためのローン)の期間は15年間で、これで購入すればほぼ15年で元がとれるスキームになっている。だがその一方で、シャープの保証は10年。その間の5年間をどうするの、という不安がお客様から聞かれていた。その不安を安心に変えようと導入した。買いたいけど不安を抱えていたお客様に利用していただきたい」(稲田氏)

太陽光発電システムを検討するユーザーは増えているというしかし、導入費以外にも、メンテナンスに気を掛けている人も多い
ローンを組むと元を取るのに15年程度かかるが、現在の保証は最大でも10年だったまるごと15年保証では、すべての保証期間を15年に統一した
保証と対象となる機器

 まるごと15年保証の対象となる機器は、太陽電池モジュール、パワコン(パワーコンディショナ)、電力モニター、ケーブル、架台、電力センサー、閉塞器、ストリングコンバーター。モジュールの保証値は、10年以外が公称最大出力の90%、11~15年が85%。HEMSに関連した機器や、蓄電池は対象外となる。

 「一般的なシステムでは、モジュール・架台・パワコンの保証は10年だが、モニターは1年だけ。そのほかでは、モジュールは20年間保証するものの、架台は保証しないなど、保証期間がチグハグになっている。シャープは全てまるまる15年で揃えている。まるごと保証しないと、それが壊れた時に、お客様の(初期投資費)回収の計画が狂う。太陽光発電システムはこれらのパーツで組み合わさっており、1つのメーカーが関係する方が、絶対品質面で安心できる。それをこの保証制度でバックアップする」(稲田氏)

太陽電池モジュールやパワコン、モニターも、保証の対象となる
【お詫びと訂正】
初出時、まるごと15年保証について「仮に当社がなくなっても保証は継続される」との発言内容を記しておりましたが、メーカーより発言が誤りであったとの連絡が入りました。当該部分について削除させていただきます。






(正藤 慶一)

2012年6月27日 16:57