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エアコン駆け込み需要に工場の生産は追いつく? パナソニックが進める自動化を見てきた
2026年7月17日 13:04
中東情勢や物価高などを受けて生活家電の売上が厳しい中でも、いま好調なカテゴリーがルームエアコンだ。日本電機工業会(JEMA)の出荷実績統計を見ても、前年比マイナスまたは微増のカテゴリーも多い中で、ルームエアコンは5月時点で数量が9カ月連続プラス、5カ月連続の2桁増となった。5月単月では過去最高数量だという。
背景としては、昨年に続く猛暑の予測や、自治体の補助金効果に加え、特に注目されているのが、2027年の省エネ制度改正、いわゆる「2027年度問題」に向けた駆け込み需要。家電メーカー各社が工場の稼働を高めて生産している。
グローバルで8つのエアコン開発/製造拠点を持つパナソニック HVAC & CCは、国内拠点である滋賀県草津市の工場を報道関係者に公開。今の需要に応えるための生産効率向上や、省人化の工夫などについて説明を行なった。
本体成形などに自動組み立て装置
パナソニックのエアコン「エオリア」は、「10年使う」をコンセプトに、高い品質を追求。猛暑や厳冬でもためらわず使える省エネ性能を特徴とし、手入れの負担を減らす清潔性能や、厳しい使用環境でも使える耐久性、長く安心して使うための性能にこだわったという。
工場では、極寒、猛暑、日射、砂塵耐久、豪雨、長時間運転、ホコリ耐久など1,000を超える品質試験を実施。省エネの面では「いかに小さなパワーでエアコンを動かすか」を目指し、独自の「エコロータリーコンプレッサー」によって最小出力をさらに下げて、ムダなON/OFFを繰り返さずに設定温度を保つことで、快適さと省エネ性の両立を図っている(LV/X/XS/HXシリーズ)。
2027年度の改正(トップランナー目標値改定)では、大幅な省エネ性能向上が求められるが、その中でも価格やサイズなどの影響を最小限に抑えるために開発を進めているという。
草津工場の室内機が作られるラインでは、重要な部品の一つである熱交換器の工程が公開された。パナソニックは熱交換器にホコリが付きにくくする独自のホコリレスコーティングを施している。これは通常ギザギザになる表面(切断面)を特殊コーティングでツルツルにすることで、ホコリを寄せ付けないというものだ。
今回初めて公開された本体成形の工程では、エアコン本体の自動掃除機能を組付けする作業を公開。ブラシや駆動ユニットといった複数の部品を自動で組み立てる装置を導入し、作業の省人化を図っている。新設した成形棟では、大型プラスチック部品の自動無人搬送なども行なっている。
快適さを確認する品質テスト
品質などをチェックする実験室のエリアでは、落下や振動などの試験が行なわれている。このうち、異音がしないかを確認する無響室や、実際の住環境に近い場所で評価する試験室を見ることができた。
無響室は、自然冷媒(R290)や大能力機種まで測定できる仕様で、運転中の騒音発生状態を可視化して騒音源を特定できる同社初のスペースとなっている。静かさを示す指標の暗騒音値が5.0dB(A)で世界トップだという。R290冷媒の漏洩をセンサーで検知して自動排気することも可能となっている。
住環境試験室は、部屋の冷え方や暖まり方、つまり快適性を評価するもので、近年の高性能住宅を想定したもの。温度分布を広範囲に可視化して、リアルタイム3D表示できるようになっている。
一般住宅からZEH住宅の空調快適性を評価するため、屋外環境として外気温35℃、屋内環境25℃を再現し、夏季を想定した周囲温度を可変できるようになっている。従来の試験室に比べて実際の設置環境に近い評価が可能となり、外気温や換気負荷、熱負荷を変化させながら評価が行なえる。
草津工場でも、昨今の需要増により課題となっているのは人手不足。生産量の大幅な増加を受け、工場の稼働率を高めたり、海外からも多くの人材を確保しながらも、いま急務とされているのが、自動化や効率化をさらに進めることだという。
今回の工場取材の中でも、生産ラインにおいて自動化率をかつての5%から20%まで向上した部分があるなど、自動化や省人化などによって、今の旺盛な需要に応えていく体制を整えていく方針を強調していたのが印象的だった。