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花王、サビなどの汚れが剥がれて落ちる技術を実用化へ
2025年12月3日 07:05
花王のバイオ・マテリアルサイエンス研究所は12月1日、古い塗装や汚れをより簡便に除去するため、自発的に剥がれるしくみを備えた剥離除去技術を開発したことを発表した。塗布して乾燥させるだけというシンプルな工程で除去が可能であり、さらに有機溶剤を使用せず、粉じんも発生しないことから、低リスクで除去作業ができるという。
開発にあたって、同社は粉じんなどが空気中に舞わないように膜に閉じ込めて剥がし取る剥離除去に着目。また、少ない力で簡単に剥がせるよう、塗膜が自発的に剥がれ落ちる剥離除去技術を目指した。
塗膜を自己剥離させる鍵となるのが、乾燥などによって塗膜が縮む際に生じる「内部応力」で、塗膜と接着面を引き離す方向にはたらき、自己剥離を誘発するという。
同社は内部応力の発生メカニズムを詳しく調べることで、接着面から自己剥離するための内部応力を意図的に発生させる素材の組み合わせを選定。一方、内部応力が高くなりすぎると、塗膜がその力に耐えられずに割れてしまうため、さらに特性の異なる複数の樹脂を組み合わせ、自己剥離性と塗膜強度が両立する配合を繰り返し検討し、独自の剥離除去技術を開発した。
この剥離除去技術の性能評価では、鋼板のサビ、ステンレス板の水性ペイントを除去可能であることを確認。さらにコンクリート表面では、表層を数十~数百μmの深さで除去できることも判明し、いずれの評価においても塗膜は対象物を閉じ込めて自己剥離したという。
新開発の剥離除去技術は、さまざまな素材に付着した汚れを除去できるだけでなく、塗膜が自ら剥がれるしくみにより、従来の除去方法と比べて作業負荷を大幅に軽減することが可能。さらに、有機溶剤を使用せず粉じんも発生しないため、作業者と環境への配慮を両立した設計となっている。
同社は今後、ビル外装や船舶塗装の除去などへの実用化を目指すとともに、他分野への応用展開についても検討を進めていく。



