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三菱、世界初の部品交換いらない「床発電装置」軽い力で発電

三菱電機が開発した電磁誘導発電モジュール

三菱電機は12日、自然界のわずかな動きや人の動作で効率よく発電する電磁誘導発電モジュールを開発したと発表した。これを使って軽い力で発電できる「床発電システム」を試作。継続使用による劣化が発生しない世界初の床発電システムとしている。

開発された電磁誘導発電モジュールは、そよ風や弱い水流、人が床を踏む動きなどを利用した発電が可能となるため、配線と電池交換が不要な低消費電力(数ミリワット程度)の機器・センサー向け電源としての活用に期待できるという。

そよ風で発電する様子

試作された「床発電システム」は、同装置と温度センサーおよび無線式の通信モジュールを接続して構築。床板サイズ30cm角の床発電装置を試作して実証実験を行なったところ、同様の装置を圧電素子で構成した従来方式と比較して100倍となる200mWの発電量を確認したという。

この床発電システムは床板と発電素子が非接触のため、従来の圧電方式の床発電装置の課題であった継続使用による劣化が生じず、発電量の低下や部品交換の必要がない世界初の構造とする。

試作した床発電システムの構成図

実証実験では、床板を一回踏む度に都度通電し、温度データを無線で送信できることも確認。これを応用することで、通路や駅などに設置した床発電装置の床板を通行する歩行者数をカウントして無線で人数データを送信する効率的な交通量調査や、床発電装置の設置場所近傍の温度や湿度、空気清浄度などのデータを送信するセンシングシステムの構築が可能になるという。

これまで電源や通信線の敷設が困難だった場所への設置が可能となるため、センシング技術の活用範囲が大幅に広がり、データの取得・分析によるDX化の促進に貢献。さらに乾電池などの一次電池を利用する機器の代替電源として適用することで、再生可能エネルギーの有効利用を通じたカーボンニュートラルの実現につながるとしている。