ニュース
三菱、数種類ある廃プラスチックを自動で選別する技術
2025年3月13日 08:05
三菱電機は、混合プラスチック片の種類ごとに自動選別する「スマート静電選別」技術を開発。同社の先端技術総合研究所にて、検証実験を2月19日から9月30日の期間で行なっている。
プラスチックの種類ごとに摩擦帯電傾向が異なるという静電気の特性を利用して選別する装置を開発。高度な専門知識や装置のオペレーションノウハウを持たなくても、複数の種類があるプラスチックの正確な選別を可能にするのがメリット。
同社が家電リサイクル分野で長年培ってきたプラスチックの静電選別技術に、各種センサーを組み込み、AIを活用。混合プラスチック片の組成の変化に応じて種類ごとに自動選別できる、世界初の技術(2月19日時点)としている。
実証実験に使用する検証機は、プラスチック片に赤外線を照射して反射の仕方からプラスチック片の種類を識別する、近赤外式のハイパースペクトルカメラを搭載。さらにPLS-DAを使用した識別アルゴリズムを搭載する。これらによりプラスチック片の種類を、ABS/PS/PPの3種類に、99%の精度で自動識別できるという。
なおハイパースペクトルカメラは、混合プラスチック片の投入側と回収側に設置。選別前と選別後のプラスチックの組成を、リアルタイムに見える化しつつ選別結果データを取得し、AI学習データとして蓄積する。
同社によれば、欧州委員会は「自動車設計・廃車(End-of-Life Vehicles:ELV)管理における持続可能性要件に関する規則案」において、規則施行の6年後から、新たに製造される自動車に使われるプラスチックの25%を再生材(内25%は自動車由来)とすることを、2023年7月に発表した。
欧州以外の地域でもプラスチックリサイクルに関する政策や法整備が進んでおり、各産業界においては、プラスチックリサイクル率の向上が急務となっている。これに伴い、これまでは廃プラスチックを熱処理することでエネルギーや原料を回収するサーマルリカバリーや、埋め立て処分の方法をとっていた廃棄物からも、再生材として製品に使用可能なプラスチックを選別・回収することが必要になる。
一方、製品の中には数種類のプラスチックが混在しているものがあり、リサイクルする上ではこれらを種類ごとに、より高純度に選別する必要があり、高度選別技術のニーズが高まっている。
そこで同社は、専門知識がなくてもオペレーションできる「スマート静電選別」の実用化を目指し、開発と検証を進め、高度選別技術の導入拡大を通じてプラスチックリサイクル率の向上を図る。