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シャープ除湿器は騒音と排水の不満改善 静かで使いやすそう

プラズマクラスター衣類乾燥除湿器「CV-T190」

シャープが3月13日に発売する「プラズマクラスター衣類乾燥除湿器 CV-T190」は、除湿器の“2大不満”である運転音と排水タンクの使い勝手を改善。さっそく実機に触れてきたため、ファーストインプレッションをレポートする。なお価格はオープンで、市場想定価格は79,800円前後。

操作パネル

効果を実感しやすい除湿器は再購入率が高い

同社によれば、除湿器はメイン用途である衣類乾燥や部屋の除湿効果を実感しやすく、1度部屋干しの乾燥仕上がりや除湿効果を経験すると手放せなくなる人が多いという。同社実施のアンケート結果をみても、「今後も除湿乾燥機を使い続けたい」という人が9割を超えるとする。

再購入率が高い除湿器だが、同社調べによれば、普及率の全国平均は約25.2%にとどまっている。そこで除湿器におけるユーザーの不満点をみてみると、ユーザーが最も不満を感じているのは「運転音」。夜間に洗濯して、除湿器を駆動しつつ部屋干しすれば、朝には乾いている点を評価しつつ「音が気になる」という人が多いのだ。

そこで新製品の開発にあたって、まず低騒音化を進めることにした。

同社調べによれば、普及率の全国平均は約25.2%にとどまっている
新製品「CV-T190」は電気代が安いコンプレッサー方式を採用

風路設計を刷新し、低騒音化を実現

実際に、従来機「CV-S180」と新製品の「CV-T190」とを、音に注目しながら交互に駆動させると、明らかに低騒音になったことが分かる。環境音が46dB前後の場所で、従来機を駆動させると57dB前後で推移する。一方、同じ環境で新製品の「CV-T190」を動かしても46dB前後と静か。静かというよりも、少し離れてしまうと、聞こえなくなる。

従来機「CV-S180」と新製品の「CV-T190」とを、交互に駆動させて音のうるささや静かさを体感した
従来機の騒音値は57dB前後。新製品の「CV-T190」は46dB前後と静かだった

さらに、耳障りな音、はっきりと違いが分かる。従来機の前面パネルに耳を寄せてみると「ゔぅぅぅぅぅ」と、低く空気を震わすような音だ。これが何の音かといえば、コンプレッサー方式とハイブリッド方式の除湿器に搭載されている、主にコンプレッサーの音。コンプレッサーは、湿った空気を冷却するためにあり、除湿器の核といえるパーツだ。これが特に耳障りな音を発している。

一方で、新製品に耳を傾けると、環境音とほぼ同じ音量のため、かなり注意しないと聞こえてこない。それでも注意深く聞くと、同じような「ぶぅぅぅぅ」という低い音が聞こえる、という程度だ。

新製品の内部構造。写真手前にあるのがコンプレッサーで、その上にファンなどの風路構造がある

従来機と新製品では、音の量と質が明らかに異なることが分かる。そこで、新製品では、どんな工夫が施されたのかを企画・開発の担当者に聞いた。

「大きな違いを端的に言えば、風を送り出す送風管の出口を広げました」

新製品の内部構造。中央の円形のパーツがファンなどを格納している部分
ファンを格納している部分
従来機(右)と新製品(左)の風路構造
新製品では風路の出口を大幅に広げている

風路を広げたことで、低騒音化を実現できたという。実現できた理由を次のように解説してくれた。

「まず除湿器の送風ファンのモーターの回転数を上げれば、それだけ音がうるさくなります。でも静かにしようとして、モーターの回転数を下げると、除湿性能も下がります。そのため新製品は、風路構造を見直し、モーターやコンプレッサーの駆動を抑えつつも、十分な風量を確保できるものとしました」

つまり風路を広げることで、騒音の発生源を静かにできたということ。

さらに、従来機では本体背面から湿った空気を吸い込み、乾いた空気を前方から吹き出している。騒音の発生源であるコンプレッサーと吹出口が近いため、より騒音が大きかったのだ。

「一方の新製品では、前方(の両脇)から空気を吸い込み、後方(の上方)へ流していきます。さらに本体前面のパネルで塞いでいるので、構造的に音が本体の外に漏れにくくもなっているんです」

従来機(写真右)と新製品(左)の本体背面。従来機は背面から空気を吸い込むのに対して、新製品は本体前方の両脇から吸い込む
新製品の吹出口。写真右側が前方で、同左側が後方
新製品は、本体前面をパネルで塞いでいるため、音が前方に漏れにくい

こうした設計変更により、今回の新製品では「コンプレッサー式の除湿器はうるさい」という根本的な課題を改善している。前述の企画担当者も「かなり重要な進化ができたんじゃないかなと思っています」と自信をみせた。

課題だった「排水タンクの使い勝手」も改善

冒頭の方で触れたが、除湿器ユーザーが抱える不満点で最も多いのが、運転音のうるささ。そして同社アンケートで2番目に多いのが、排水タンクの使い勝手の悪さだという。

従来機種の排水タンクは、下部の取っ手をつかみ本体から取り出し、ハンドルを持って洗面台などに持っていき、排水口の蓋を開けて水を捨てるという構造。満水時のタンクは5kgほどの重量になるため、しゃがんでタンクを引き出す際に負担を感じたり、ハンドルを持ち替えたり、重いタンクを持ちながら蓋を開けるのが面倒という課題があった。

新製品では、取っ手と上部に配置されたハンドルを一体化。本体下部から排水タンクの取っ手を引っ張ると、そのまま取っ手を持って運びやすい構造になっている。また、水が入った状態で排水タンクを傾けると蓋が開く新構造を採用。モニターで体験した人の「使いやすさに感動した」という声があったため、「感動タンク」と名付けたという。

排水タンクが収納されている本体側面
取っ手を引っ張ると、そのまま持ち運び用のハンドルとなる
排水タンク
蓋を開ける必要はなく、排水できる

排水タンクのほかにも、本体底部には「自在キャスター」を搭載し、使い勝手を向上させている。同キャスターの採用で、前後左右はもちろん、超信地旋回のような動かし方もでき、排水タンクを取り出す際に、本体の向きを少しだけ変えるといった動かし方がしやすい。

自在キャスターの採用で、床の上を移動させやすくなっている

プラズマクラスター衣類乾燥除湿器「CV-T190」は、以上のとおり、除湿器の導入に際して躊躇してしまうポイントを改善している。どれだけ満足できるものか、実際に生活空間で使ってみたいと感じた。