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水の中のPFASを光で無害化する技術 ウシオ電機

波長172nmの紫外線を発するエキシマランプを用いたPFASの分解イメージ

ウシオ電機は16日、PFAS(有機フッ素化合物)の一部であるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(ペルフルオロオクタン酸)を、触媒や添加物を使用せず光を用いて分解・無害化できる技術を開発したと発表した。今後は2027年度の事業化を目指し、研究を進めていくとする。

PFASは人体への健康被害が報告されて以来、欧米を中心に規制が進んでおり、日本でも環境省が水道などの水質調査を法律で義務化する方針が報じられるなど、関心が高まっている。一方で、その難分解性から無害化技術の確立が急務とされる。現状では、活性炭による吸着後の高温焼却処理が主な方法とされているが、エネルギー消費やCO2排出、フッ素系温暖化ガスの大気放出が懸念されている。

そこで同社は、創業以来培った真空紫外線技術を応用し、波長172nmの紫外線を発するエキシマランプを活用した新技術を開発。OHラジカルや水和電子を組み合わせた3つの力により、PFOAやPFOSを効率的に分解するという。なおmg/Lレベルの濃度であっても、一定時間で99%を分解できることが確認された。

この技術は常温常圧で処理が可能であり、焼燃料や触媒、化学薬品添加物が不要。分解の過程で想定外のフッ素化合物が発生しにくい点や、短鎖PFASの分解をできる点も特徴。さらに最終的に生成される物質(HF、H+、F-)を水酸化カルシウムで最終処理することで、フッ化カルシウムとして固定安定化できるため、別用途への再利用も可能だという。