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コンセントや延長コードから火が! 配線器具を正しく使う3つのポイント

コードを引き出さずに最大消費電力を超えて使用し、コードリールが発火(再現実験)

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、テーブルタップや延長コードなど配線器具の火災事故を防ぐため、3つの注意点を1月25日に発表した。NITEによると2019年から2023年の5年間に配線器具の火災事故は126件あり、2023年の件数は2019年の約2倍に。テレワークの普及・増加によって配線器具の使用が増えたことから、改めて配線器具やその使用状況をチェックして事故を未然に防ぐよう呼びかけている。

1.電源プラグ及び電源タップは小まめに掃除し、水分に注意する

電源プラグはコンセントや電源タップとの間に隙間が生じないようにしっかりと差し込み、定期的に掃除してほこりを取り除く。電源プラグをコンセントや電源タップとの間に隙間がある状態で差したままにすると、隙間にほこりがたまって表面に水分が付着したり、水分が内部に侵入したりしてショートやトラッキング現象が生じるおそれがあるという。また観賞魚水槽などの水気の近くは、特に注意が必要とする。

掃除の際は、必ずコンセントや電源タップから差込プラグを抜き、「から拭き」でほこり等のよごれを取り除く。コンセントや電源タップの差込口にアルコールスプレー等の洗浄液が直接かかると、ショートやトラッキング現象が生じるおそれがあるため注意する。

トラッキング現象による事故の再現映像

コンセントや電源プラグの周囲、隙間や内部にほこりや水分が付着した状態で使用すると、付着したほこりと水分によって電源プラグ栓刃の間等に微弱な電流が流れる状態となり、火花放電が繰り返される。その結果、絶縁の役割を果たしている樹脂部分が徐々に炭化していき、トラック(電気の通り道)が形成されて異常発熱し、発火へと至る。この現象を「トラッキング現象」という。

2.無理な力を加えない、変形したプラグは使用しない

延長コードやテーブルタップの電源コードを折り曲げる、踏みつける、引っ張るといった、外部から電源コードに無理な力が加わる使い方をすると、電源コードの芯線が断線したり、電源プラグが変形してコンセントの刃受け金具と正常に接触できなくなったりして、異常発熱や発火に至るおそれがある。

そのため机や椅子の脚などでコードを踏みつけたり、足に引っ掛けたりしないよう配線は設置状況に注意し、電源プラグは電源コードではなくプラグ本体を持って抜き差しを行なう。もし電源プラグの栓刃が変形した場合は使用を中止し、メーカーや販売店に相談する。

断線した電源コードの発火
外力で破損した電源プラグの発火

3.接続可能な最大消費電力を超えて使用しない

テーブルタップやコードリールには接続可能な最大消費電力または定格電流(何アンペアまで接続できるか)が定められている。接続可能な最大消費電力や定格電流を超えると発熱を生じ、コンセント部の刃受け金具と電源プラグの栓刃の接触が緩い箇所で異常発熱したり、電源コードの絶縁被覆が破損してショートしたりして発火するなどの事故につながるという。

このことから電気製品を接続する際は、接続可能な最大消費電力を超えないように注意する。接続可能な最大消費電力または定格電流は、テーブルタップ本体やパッケージに記載されており、確認して使用するよう呼びかけている。

接続可能な最大消費電力を確認して使う

特にコードリールの場合は、電源コードを全て引き出した状態と収納した状態とで接続可能な最大消費電力が異なるものや、電源コードを全て引き出した状態でのみ使用できるものがあるため、取扱説明書や本体表示を確認して使う。なお、異常発熱や接続可能な最大消費電力を超えたことを検知して電流を遮断する製品なども販売されている。

コードリールは使用方法によって最大消費電力が異なる場合も

またコンセントにも定格があり、一般住宅の壁に設置してある2口のコンセントは、2口合計1,500Wまでが接続可能な最大消費電力となっている場合が多い。例えばコンセントの片方に1,000W分の電気製品を接続した場合、もう片方には500Wまでしか接続できない。配線に一定以上の電気が流れた場合の安全装置として、配線用遮断器(ブレーカー)が設置されているが、配線用遮断器が作動するまでに時間を要する場合があるため注意が必要としている。

住宅の2口コンセントも最大消費電力に注意して使用する