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オーブントースター使用中にその場を離れないで! 火災事例も

オーブントースター使用中の事故に注意

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、オーブントースターによる事故事例を挙げて、オーブントースターでの調理中にその場を離れないよう注意を促している。

オーブントースター庫内から出火!

オーブントースター使用中に異臭がして、当該製品と周辺を焼損する火災が発生した事例では、焼き網にパンをのせ、トーストモードで加熱中にその場を離れたところ、庫内から出火。NITEによれば、当該製品の外郭に焼損は認められなかったが、庫内の天面と上ヒーターに煤(すす)が付着し、底面と下ヒーターには油汚れや炭化物が付着していた。また当該製品をトーストモードで動作させたところ、正常に動作した。

当該製品の電気部品に異常は認められず、庫内の底面とヒーターに油汚れと食品かすとみられる炭化物が付着していたことから、庫内の食品かす等がヒーターで過熱され出火したと推定されるという。

NITEは、オーブントースターの中に付着した汚れが、発火に至るまでの再現も行なっている。再現映像では、オーブントースターに汚れなどが付着した状態で使用を繰り返すと、発火に至ることが実証されている。

オーブントースター使用時には、その場を離れないこと、また庫内をこまめに清掃し、調理してはいけないものを加熱しないようにと注意喚起している。

焼き網で揚げ物を加熱したら火災が発生

オーブントースターの庫内を焼損する火災が発生した事例では、焼き網に揚げ物2個をのせて加熱を開始。その場を離れたところ、当該製品から異音とともに炎が上がったという。

本体天面には、火災発生時に置かれていた樹脂製モップのものと考えられる溶融物が付着。庫内には炭化した揚げ物2個が残存していたが、トレイは使用されていなかった。また、ヒーターや自動温度調節器(サーモスタット)、内部配線などの電気部品に、出火の痕跡は認められなかった(異常が認められなかった)。

NITEは、使用者がトレイを使わずに揚げ物を加熱。そのため加熱中にヒーターに滴下した油分などが熱を受けて出火し、本体付近に置かれていた可燃物に延焼したものと推定。なお取扱説明書には、「出火に至るおそれがあるため、油の出るものを受け皿なしで加熱しない」旨が記載されている。

ぎょうざの皮を必要以上に加熱して火災が発生

オーブントースターの焼き網にぎょうざの皮を6枚のせて加熱中に、その場を離れたところ庫内から出火した事例も紹介。

庫内のぎょうざの皮は著しく炭化して、扉内側にはタール、外郭内側にはすすが付着していた。なお当該製品の内部配線や電気接続部に、溶融痕や異常発熱の痕跡は認められず、タイマー動作は正常であった(製品に異常は認められなかった)。

そこでNITEは再現試験を実施。乾燥させたぎょうざの皮を、温度調節つまみ250℃、タイマー10分に設定して当該製品で加熱を開始。すると徐々に発煙して、約3分後にぎょうざの皮から出火したという。前述の火災事例では、ぎょうざの皮が著しく炭化していたことから、ぎょうざの皮を必要以上に長時間加熱したため、過加熱となり出火に至ったものと推定している。なお取扱説明書には、「調理物の様子を見ながら調理する」、「必要以上に加熱しない。加熱しすぎると調理物が焦げたり、発火したりする恐れがある」旨が記載されている。

食品をオーブントースターで過加熱した場合に、発火に至る再現映像も見られる。

オーブントースターの事故を防ぐポイント

NITEは、オーブントースターによる事故を防ぐ方法として、「調理中にその場を離れず、時々、確認してください」としている。

事故事例の多くが、オーブントースター使用中にその場を離れ、目を離している際に発生している。常に見ておくことは困難だが、時々確認する、他の家族に頼むなどの対策をとるよう促している。

また「庫内の小まめな掃除」を行なうことも奨励。庫内や受け皿に食品かすや油分などの汚れがある状態で使用すると、ヒーターの熱で食品かすや油分などが予期せぬ過加熱となり、発煙や発火のおそれがある。特に油分を含む食品を使用した後は、必ず清掃を行なう。なお「やけどをしないために、(掃除は)冷めてから行なってください」としている。

そのほか「食品を加熱し過ぎないこと」。加熱し過ぎると発火する場合がある。食品の様子を見ながら少しずつ加熱することで、これらの事故を防げるという。

特に油分を含む食品は、加熱し過ぎた際に爆発的に燃えるおそれがあり、注意が必要。またチーズや餅など、加熱により形状が変わる食品は、気付かないうちにヒーターに接触してしまう場合があるという。そのため加熱中は食品の様子を確認することが必要。

また、生の魚や肉、揚げ物など、油分がヒーターに落ちるような食材は、網ではなく必ずトレイ(受け皿)を使用する。アルミ箔を使用しても漏れるおそれがあるため、アルミ箔を使う場合にもトレイを併用しよう。

万が一に、調理物や庫内が発火した場合にどうするべき?

庫内で発煙・発火した時は、まず電源プラグを抜く。そして、火が消えるまでオーブントースターのドアを開けないで様子を見る。

火が消える前にドアを開けると、空気が入り、炎が大きくなるおそれがあるため危険だという。また水などをかけるのも危険だ。ドアのガラスは高温になっているため、水をかけると急激にガラスの温度が下がり、ガラスが割れるおそれがあるという。

発煙または発火した場合は、電源プラグを抜いて様子を見る
発煙・発火時にオーブントースターのドアを開けたり、水をかけたりすると危険

NITEでは、1996年度以降に報告された事故を、誰もが見られるようにデータベース化している。「オーブントースター」など、キーワード検索すると、関連する事故事例が一覧できるため、使っている家電製品に、どんな危険があるのかを知るのに役立てるのも良いだろう。