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ビルトイン家電は日本にも広まる? 独ミーレが日本での販売拡大に高い期待

左からミーレ本社 マーケティング セールス担当取締役 アクセル・クニールさん、ミーレ・ジャパン 冨田晶子 代表取締役社長、ミーレ本社 ラインハルト・ツィンカン 共同経営者兼代表取締役

ミーレ・ジャパンは設立30周年を記念し、9月にドイツから創業家が来日。日本での販売拡大や、サステナビリティに対する考えを報道陣に説明した。また、日本未発売のビルトイン冷蔵庫を披露した。

ミーレ(Miele)初のアジア拠点として1992年に設立されたミーレ・ジャパン。食器洗い機やドラム式洗濯機などを展開し、この10年の売り上げで年平均2ケタの成長を達成している。

ミーレの歴史

冨田晶子社長は「日本では『ミーレといえば食器洗い機』というイメージを持っていただけるようになりましたけれども、衣類をケアしながら大切に洗うランドリー、材料をセットするだけで素材本来の良さを最大限に引き出しながら安定しておいしくレストランのような料理ができるオーブンなどの調理機器などをお求めいただく方も増えています。ミーレが皆さまの暮らしをより良くするお手伝いができることを大変うれしく思っております」と所感を述べた。

今後については「ミーレ製品は創業以来、サステナビリティを哲学として、20年の長期使用を前提として製造されています。日本でも、皆さまの暮らしに長く寄り添うからこそ、まるで家族と同じように長く愛していただけるブランドであることを目指します」とした。

ミーレ・ジャパンの冨田晶子 代表取締役社長

会見が行なわれた会場には、日本未発売のミーレ製品を展示。ビルトインのオーブンを活用したデモンストレーションも実施した。

参考展示されたビルトイン冷凍冷蔵庫「K 7000シリーズ」。欧州では販売中で、日本でも発売予定
庫内に細かなミストを放出して果物や野菜の鮮度を保つという
他の7000シリーズと統一したデザイン
ビルトインのオーブンを使ったミートロールパイや若鶏のクリーム煮などの料理がふるまわれた

ミーレ伝統のサステナビリティを日本にも。ビルトインの可能性に期待

5年ぶりに来日した創業家4代目のミーレ本社 共同経営者兼代表取締役 Dr.Reinhard Zinkann(ラインハルト・ツィンカン)さんは、同社のブランドプロミスである“Immer Besser(常により良いものを)”について説明。

ミーレ本社のラインハルト・ツィンカン 共同経営者兼代表取締役

「これには2つの意味があり『常に競合他社よりも良いもの』と、『常に過去の自社よりも良く』という解釈ができます。常に前進していくことが、ミーレのDNAであり、日々の原動力となっています。

アジアで最初に日本に拠点を置いた背景としては「ミーレも取り入れてきた“カイゼン”や“トヨタ方式”、こうしたものがなければ、多くのドイツのメーカーは、今日ほど成功していなかったであろうと思っています。1992年にアジア初の子会社設立を決めた時、当然のことながら日本を選びました」とした。

ツィンカンさんは、同社がかねてから重視しているサステナビリティについて「長寿命は、日本の方にも重要な価値観であると思います。持続性もとても大事なもの。これも私たちが同じく共有する価値観です。私たちはこういった意味で日本に非常に大きなポテンシャルを感じており、特にビルトイン機器の可能性が大きいと感じ、日本での大きな成長を期待しています」と説明。

日本では住空間の制約などでビルトイン家電の普及は欧米に比べて進んでいないが、導入を難しいと考える人へのアプローチについては「組み合わせが重要」と語る。

「日本では、私たちが提供するすべての電化製品に十分なスペースを確保するのが非常に難しいことを知っています。そこで例えば『スチームクッカー+電子レンジ』のような組み合わせが解決策の1つです。次に大事なのは、日本人が好きなものをどのように調理するかを理解すること。それらのレシピを自動プログラムで提供することで使いやすくすれば、製品を気に入っていただけると思っています。その可能性を最大限に引き出すまでには時間がかかるでしょう。それでも私たちの前には巨大な成長の可能性があることは明らかです」と前向きな姿勢を見せた。

ミーレ本社のマーケティング セールス担当取締役 Dr.Axel Kniehl(アクセル・クニール)さんは日本市場について「アジアにおいても非常に重要。品質に対する鋭い感覚とデザイン、そしてクラフツマンシップ、テクノロジーに対する正しい理解を持っています。ミーレはそうした要求を完全に満たすことができます」とした。

マーケティング セールス担当取締役 アクセル・クニールさん

「ミーレが創業した1899年以来、環境保護責任と社会的責任は、当社およびミーレブランド、そして我々のDNAとは切っても切り離せないものであり続けており、これは当社の企業活動と人類、環境、気候に影響を与えるあらゆる側面に当てはまります。ミーレは、独自で20年間の使用に相当する製品テストを実施しています。お客さまが、よりサステナブルでより良い暮らしを送れるようサポートするために、できる限りのことをしたいと考えています」と述べた。

ミーレのこれまでの名機も展示された。1930~1939年にかけて製造された全自動洗濯機「150」は、木製の洗濯機に電動モーターを組み合わせたもの。ミーレ創業当時からのクリーム分離機のかくはん技術を活かして、洗濯物をまんべんなく回転させる
1958年に発売された全自動洗濯機「505」。洗濯からすすぎ、脱水までの工程を自動で仕上げる。予洗いから脱水の回転数までプログラムを完全自動化
家庭用食器洗い機「G 45」は、システムキッチンの作業台の下に62cmのスペースがあれば設置でき、常にろ過された洗浄水を使って洗う水流システムを採用。当時最も売れ行きの良い食器洗い機だったという