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キャンプに便利なガストーチ、でも粗雑な製品でガス漏れの事故も

粗雑なつくりのガストーチで事故のおそれ(NITEの再現)

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、粗雑なつくりのガストーチを購入しないためのポイントや、使用時の注意点を紹介している。

カセットボンベに取り付けてガスに点火するガストーチは、粗雑なつくりの製品の場合、ガス漏れなどのリスクがある。2020年度以降にガストーチの事故が増加しており、2017年度からの5年間で68件の事故がNITEに報告されている。購入時には製造者などの連絡先を確認し、使用前には機器の点検を行なうよう呼び掛けている。

2021年までの5年間に68件の事故がNITEに通知されている
ガストーチはカセットボンベに取り付けて使う製品

部品が不足している粗悪な製品が事故につながる

ガストーチに装着するカセットボンベには、ブタンなどの可燃ガスに圧力を加えて液体にした燃料が詰められている。使用時には気化した燃料が出てくるため、ガストーチとボンベの接続部が粗雑なつくりの場合、ガス漏れが発生する可能性がある。

国内メーカー品の多くは、接続部にOリング(パッキン)が2個使用されている。一方で、粗悪品ではコスト削減のため、Oリングが1つだけのものがみられる。

また、設計時や製造時の品質管理が不十分で、適切でない材質が使われていたり、異物が付着していたり、組み立てや加工の精度が低かったりする。その結果、ガスの気密が不十分になり、すき間が生じてガス漏れするおそれがある。

2021年5月の事例では、ネット通販で購入したガストーチを使用後、火が消えず、周辺を焼損した。Oリングの材質に欠陥があったことが原因とみられる。このガストーチは中国製であるが、製造元や販売元の連絡先は不明だった。

購入時には製造事業者・輸入事業者・販売事業者の連絡先を確認

2021年までの5年間に報告された68件の事故のうち、27件は製品の不具合による。27件のうち20件を輸入品が占める(7件は不明)。

輸入したガストーチの場合、粗雑なつくりがみられるほか、対応するカセットボンベが日本国内に流通していなかったり、取扱説明書が付属しなかったり、付属していても内容が不十分だったりする。

NITEは、「品質管理や購入者への対応をしっかり行う事業者は、製品に責任を持つ者としてその名称や連絡先を明確にしているはずです」とし、事業者の連絡先が確かなことを製品選びの基準としてほしいと喚起している。

また、製品説明文で日本語表記がおかしいものや日本語の説明書が存在しないもの、他の製品と比較して極端に安価な製品には注意が必要という。

使用前の機器点検も大切

購入前に注意するとともに、使用前に機器の点検を行なうことも重要という。事故の原因の多くはガス漏れである。「接続部やバーナーに異物が付着していない」「カセットボンベがガストーチに確実に固定されている」「ガスの漏れる音やニオイがしない」ことを確認することを勧めている。

ガスの音がしないことを確認
異臭がしないか確認

また、ガストーチをつけたカセットボンベを傾けられるものかどうか確認する必要もある。大きく傾けたり逆さにしたりして使用可能な製品と、使用できない製品があるためだ。大きく傾けられない製品を傾けて使ってしまうと、異常燃焼が生じで大きく燃え上がってしまう。

それぞれのタイプに応じた注意事項を取扱説明書で確認し、使用中に異常燃焼が生じた場合はすぐにカセットボンベを立てた状態に戻すよう注意している。

また、どちらのタイプであっても点火時に傾けると異常燃焼のおそれがあるため、点火はカセットボンベを立てた状態で行なう。使用時も、取扱説明書に指示がある場合を除き、傾ける角度は45度以内が目安となる。

万が一ガスが漏れて引火した場合、水をかけてもわずかに残った火でまた燃えたり、ガスが水面で燃え続けたりして、消火が難しくなる可能性がある。引火した火を消せないまま時間が経つとカセットボンベが破裂するおそれがあるため、対処が難しい場合はただちに避難するよう喚起している。

カセットボンベを立てた状態で点火
傾ける際は45度までを目安に