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日本の暑さは亜熱帯なみ? 熱中症対策は湿度コントロールがカギ

6月から9月の日本の温度や湿度は、亜熱帯地域なみに上昇するという

気象庁のデータを見ると、6月から9月にかけて日本の気温や湿度は「亜熱帯地域」なみに上昇。不快感や熱中症リスクが高まるとされる。日本とフィリピンやハワイと比較すると、日本の夏の高温多湿ぶりがよく分かる。ダイキンは専門家の意見から、夏を快適に過ごすうえでエアコンによる「湿度コントロール」が重要な理由を解説している。

帝京大学医学部付属病院 高度救命救急センター長の三宅康史氏は、「コロナ禍で外出自粛していることが多い今年は、暑い環境に身を置く機会が減っていることで、暑さ慣れする暑熱順化が遅れ、たまの外出時に熱中症に陥りやすくなります」と指摘する。

環境省が定める「暑さ指数(WBGT)」においても、湿度は暑さへの影響度の7割を占めるほど高いという。「まだ身体が慣れていない、これからの時期は注意が必要。特に例年、熱中症の搬送者数は、梅雨明けに急増するため、今から対策をはじめましょう」と三宅氏は語る。

三宅氏は熱中症対策として、少し汗ばむ程度の運動で暑さに身体を慣らすこと、さらに、暑さ対策や湿度対策としては、エアコンの使用をすすめている。

環境省が定める「暑さ指数(WBGT)」は、人の体と外気との熱のやりとり(熱収支)に与える影響の大きい「気温」「湿度」「輻射熱(ふくしゃねつ)」の3つの要素を取り入れた指標。熱中症の危険度を判断する数値として、日常生活だけでなく、運動時や作業時の指針として活用されている。この「暑さ指数(WBGT)」には「湿度」が大きく影響する

湿度が20%下がれば、体感温度は4℃も下がる

ダイキンは、横浜国立大学の田中英登教授の監修のもと、20代から60代の男女12名(男性6名、女性6名)を対象に、同じ温度28℃でも湿度によって不快度や快適度が異なることを検証した。

試験環境の温度条件は、環境省が推奨する28℃に設定。高湿度の湿度85%から低湿度の60%の環境へと変化させた時の状態を比較。

検証の結果、温度が同じでも湿度が20%下がれば、体感温度は4℃も下がることが、明らかになったという。検証試験を受けて、田中教授は次のように語る。

「同じ温度でも、湿度が85%と高いと暑く不快に感じ、湿度が60%と低いと快適に感じる様子が男女ともに観察されました。このようになる理由は、湿度が高いと汗が蒸発しにくく、十分に体温を下げることができずさらに汗をかき、より暑く感じてしまうためです。つまり、同じ温度でも、湿度をコントロールすることで熱中症対策につなげることができます。温度だけではなく、湿度も意識して快適に過ごしましょう」

男女ともに、同じ温度環境でも湿度が下がると涼しく感じていることが、明らかになった

すでに真夏日が記録されている今から、暑く感じた場合には、エアコンの使用が推奨される。また、暑さを感じるとエアコンを「冷房」運転にしがちだが、場合によっては「除湿」運転に設定することも、熱中症予防に役立つことがわかる。部屋の中や外気温などの状況を確認しながら、使い分けるようにしたい。