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体組成計はメーカーごとに結果が異なる、タニタとA&Dが業務提携し共通アルゴリズムの体組成計を展開

 タニタとエー・アンド・デイ(以下A&D)は、健康計測機器分野で業務提携したことを発表した。タニタアルゴリズムを搭載した家庭用体組成計「UC-421BLE」を、A&Dが2020年夏に発売予定としている。価格はオープンプライス。店頭予想価格は10,000円前後。

タニタアルゴリズムを搭載した家庭用体組成計「UC-421BLE」、エー・アンド・デイが発売予定
タニタ 代表取締役社長 谷田 千里氏(左)、エー・アンド・デイ 代表取締役 執行役員社長・森島 泰信氏

 このほか、A&Dの業務用血圧計をタニタに、タニタの業務用自動身長計付体組成計をA&DにOEM供給する。A&Dの強みである血圧計を主体とした医療領域の技術・商品と、タニタの強みである未病・予防領域の技術・商品を相互に活用。これにより、付加価値の高い新商品・新サービスを創出し、両社のヘルスケア事業の拡大を図るとする。

 ヘルスケア市場は、健康意識の高まりを背景に年々拡大しており、経済産業省によると市場は2016年の約25兆円から、2025年には約33兆円に成長する見込みだという。こうした将来の市場拡大を狙い、IoTやスマートデバイス、エンターテイメント、AIなど、さまざまな分野からプレーヤーが参入。今回の業務提携は、構造変革が進むヘルスケア業界を先取りして、市場での競争力を高めるのが狙いだという。

 また、体組成計において共通のアルゴリズムを用いることで、日本初の技術標準を確立し、国際競争力も高めていくとしている。あらゆる健康ソリューションの起点はセンシングであり、計測・軽量した数値の正確性が重要とする。

A&Dの業務用血圧計をタニタに、タニタの業務用自動身長計付体組成計をA&DにOEM供給する
経済産業省によるとヘルスケア市場は2016年の約25兆円から、2025年には約33兆円に成長する見込み
将来の市場拡大を狙い、IoTやスマートデバイス、エンターテイメント、AIなど、さまざまな分野からプレーヤーが参入しているという

メーカーごとに異なる体脂肪や筋肉量の計測結果

 タニタ 代表取締役社長・谷田 千里氏は、今回の業務提携について以下のように述べた。

 「分野によっては競合に当たるA&Dとの提携は、これまでにない取り組みです。特に大きな決断をしたのは、タニタアルゴリズムを提供することでした。体組成計はメーカー各社が独自に開発しており、計測アルゴリズムは門外不出としていました。

 しかし各社が独自に開発することにより、体脂肪率や筋肉量などの計測結果に差異が出ており、ユーザーの利便性を損なっているという反面があったのも事実です。また、医療・健康データを一元管理するデータヘルスを推進する上でも障害となります。タニタの体組成計技術をA&Dに提供することで、共通のアルゴリズムを搭載した体組成計を両社で販売し、これらの課題を解決していきたいと思います」

タニタ 代表取締役社長・谷田 千里氏
各社が独自に開発することにより、体脂肪率や筋肉量などの計測結果に差異が出ている

 エー・アンド・デイ 代表取締役 執行役員社長・森島 泰信氏は、「今回の業務提携はWin-Winで、理想的な提携」とコメント。

 「タニタアルゴリズムをスタンダードとして、グローバルに展開していけたらと考えています。健康管理という分野においては、日本は特に優れています。今回の提携は、日本の健康ビジネスを世界に発信していく良い機会になると思います」(森島氏)

エー・アンド・デイ 代表取締役 執行役員社長・森島 泰信氏
グローバル展開を見込んでいる

家庭用体組成計「UC-421BLE」

 A&Dが今夏に発売する、家庭用体組成計「UC-421BLE」は、計測結果をBluetoothでスマートフォンに転送可能。対応アプリ「A&D Connect Smart」で手軽に管理できる点を特徴としている。

 計測できる項目は、「体重(最小表示50g)/体脂肪率/筋肉量/内臓脂肪レベル/推定骨量/基礎代謝量/体内年齢/体水分率/BMI」。本体に表示されるのは、体重と体脂肪率。タニタの体組成計測アルゴリズムを採用し、高精度の計測を実現したという。

 登録可能人数は5人で、計測時に異なるLEDカラーでわかりやすく表示してくれる。記録回数は、1人につき30回。体組成計の初期設定はスマホからでき、設定後は乗るだけでユーザーを自動で認識して計測する。

 本体サイズは、330×330×40mm(幅×奥行き×高さ)。電源は単三形アルカリ電池4本。

家庭用体組成計「UC-421BLE」。登録可能人数は5人で、計測時に異なるLEDカラーでわかりやすく表示

業務用自動身長計付き体組成計「AD-6551」

 業務用の自動身長計付き体組成計「AD-6551」も、A&Dが販売、タニタの体組成計測アルゴリズムを搭載。価格は130万円(税抜)で、3月の発売を予定。

 身長と体組成を同時に高速で計測する施設向け商品としている。計測時間は約10秒で、受診者の負担を軽減でき、円滑な施設運営に貢献するという。

 計測できる項目は、「体重(最大計量200kg・最小表示100g)/体脂肪率/脂肪量/除脂肪量/体水分量/体水分率/基礎代謝量/BMI/標準体重/肥満度/筋肉量/推定骨量/内臓脂肪レベル/脚部筋肉量点数/体型判定/全身筋肉スコア/基礎代謝判定/体脂肪標準範囲/ローレル指数」。

 本体サイズは、360×689×1,493-2,300mm(同)で、重量は約29.1kg。電源はAC100V。

業務用自動身長計付き体組成計「AD-6551」

業務用全自動血圧計「BP-910」

 タニタからは、A&Dが開発した業務用の全自動血圧計「BP-910」を、7月に発売。価格は35万円(税抜)。

 業務用ながらコンパクトで、施設向けの血圧計としては軽量で限られたスペースでも設置できるという。フィットネスクラブや健康経営に取り組む企業、自治体などをターゲットに販売する。カラーはブラックで、フィットネスクラブやオフィスに調和するスマートなデザインに仕上げた。

 測定方式は、オシロメトリック方式。左右いずれの腕でも測定可能。表示範囲は、圧力0-99mmHg、脈拍30-20拍/分。

 本体サイズは、241×390×324mm(同)で、重量は約5.5kg。印字はサーマルプリント方式58mm(専用紙)。電源はAC100-240V。

業務用全自動血圧計「BP-910」。コンパクトで限られたスペースでも設置できるという

アプリは今後どちらも利用可能に

 また3月にA&Dから販売される上腕式「ホースレス血圧計 UA-1200BLE」は、タニタのヘルスケアアプリ「HealthPlanet」と連携し、データ管理が可能。今後は両社のアプリがどちらも使えるように進めていく予定としている。

上腕式「ホースレス血圧計 UA-1200BLE」は、タニタのヘルスケアアプリ「HealthPlanet」と連携