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シャープ、空気清浄機の最上位機と同じ清浄能力を備えたルームエアコン

 シャープは、空気清浄機能を搭載したルームエアコンの新シリーズ「Airest(エアレスト)」4機種を12月19日に発売する。ラインナップは、冷暖房の適用畳数が14畳の「AY-L40P」、同10畳の「AY-L28P」、8畳の「AY-L25P」、7畳の「AY-L22」。価格はオープン。店頭予想価格は順に、26万円前後、24万円前後、23万円前後、22万円前後(全て税抜)。

エアレスト「AY-L40P」

 集じんフィルターを内蔵し、空気清浄機の業界基準を唯一クリアしたルームエアコン。フィルターによる空気清浄のほか、同社独自のイオン技術「プラズマクラスターNEXT」を搭載し、フィルターでは除去できない付着したニオイやカビ菌にも効果を発揮するという。

 同機は空気清浄の能力を向上させるため、吸い込み口の全面に「集じん脱臭フィルター」を覆うように搭載。これにより集じん効率70%以上を達成し、業界で定められた空気清浄機の基準(JEM1467)をクリアした。

エアコン上部の吸い込み口全面を「集じん脱臭フィルター」で覆うように搭載する
エアコン上部
搭載されている集じん脱臭フィルター
空気清浄機としてだけ使うこともできる
本体前面の光の色によって、空気の汚れ具合が分かる

 全機種とも空気清浄適用床面積は55畳(91m2)。8畳を清浄する時間は5分。またPM2.5(微小粒子状物質)などの汚れや、浮遊カビ、浮遊ウイルス、浮遊菌、料理集やタバコ臭などの生活臭も除去できるという。

 同社によればこの空気清浄力は、家庭用ルームエアコンとしては最も強く、同社製の加湿空気清浄機の最上位機「KI-LP100」と同等だとする。

PM2.5などや、浮遊カビ、浮遊ウイルス、浮遊菌、料理集やタバコ臭などの生活臭も除去できる
加湿空気清浄機の最上位機「KI-LP100」と同等の空気清浄能力だという
Airest全機種と「KI-LP100」との、空気清浄力の比較
エアレストの空気清浄力を、従来のエアコンと比較。左側がエアレスト

 また本体内部のカビの発生原因であるホコリと結露対策も強化。まず、吸い込み口の全面を覆う集じん脱臭フィルターにより、細かなホコリの本体内部への侵入を99%抑制できるとする。

一般的なエアコン構造では、細かなホコリや汚れがフィルターを通過し、エアコン内部に付着していた
新製品では吸い込み口全面を集じん脱臭フィルターで覆っているため、細かなホコリの侵入を防ぐ

 さらに従来機では湿度が上昇して結露しやすい状態だった、熱交換器の配置も刷新した。同機では熱交換器を吹き出し口付近に配置。本体内部の湿度上昇を抑え、室内の湿度とほぼ同等に保つとする。これにより、結露の発生を防ぎ、カビの発生を抑制できるという。

従来機の交換器の配置では、湿度が上昇して結露しやすい
熱交換器を吹き出し口付近に配置。本体内部の湿度上昇を抑え、室内の湿度とほぼ同等に保ち、結露を抑制する
天気予報を活用し、日中から睡眠時まで自動で最適制御

 そのほか、無線LANに接続することで、同社のAIoTクラウドサービス「COCORO AIR(ココロ エアー)」を利用できる。同サービスとの連携により、外気温や湿度、日射量および気象予報を活用。クラウドAIが部屋ごとの環境変化を予測し、室内環境が変わる前に、先回りして最適な省エネにつながる運転を実現。こうした制御が、日中のほか、睡眠時にも行なわれる。

 また「睡眠制御」では、「冷房が冷え過ぎる」「光熱費がかかる」といった夏季の寝室空調などへの不満を解消するため、ユーザーごとに異なる好みの設定温度を、クラウドAIが自動で調整。省エネ運転を行ないながら、快適な睡眠環境を提供するという。

 「日中制御」では、気温と日射量の気象予報を活用。これらのデータを元に、クラウドAIが部屋ごとの温度変化を予測し、先回りして運転制御を行なうとする。

気象予報を活用したクラウドAIによるエアコン制御
「COCORO AIR」アプリでは、部屋の汚れ度合いなどが確認できる

 「AY-L40P」の室内機のサイズは798×447×278mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは17kg。室外機のサイズは800×300×630mm(同)で、重さは38kg。プラズマクラスター適用床面積の目安は約14畳。消費電力は、冷房1,240W(180〜1,550W)、暖房1,480W(150〜2,000W)。待機時消費電力は約0.4W。室内機の運転音は、冷暖房時ともに68dB。

 なおエアフィルターのメンテナンスの推奨頻度は6カ月に一度。「COCORO AIR」アプリで、フィルターなど消耗品の消耗状況が確認できる。

高い空気清浄力を保持するため、内部構造を大刷新

 エアレストの発表会では、同社の国内空調・PCI事業部 空調商品企画部 主任の水野 琢馬氏が、エアレストに「空気清浄機」と謳える性能を搭載するために、どういった開発がなされたのかを解説した。

 まず、そもそも「空気清浄機」とは、なにか? 日本電気工業会が規定した基準では「集じん効率が70%以上」で、「騒音値55dB以下」であることとしている。

空気清浄機の規定した基準は、「集じん効率が70%以上」で、「騒音値55dB以下」であること
空調商品企画部 主任の水野 琢馬氏

 「特に集じん効率70%以上という規定をクリアするのが難しかったです。というのも空気清浄機で使われる集じんフィルターを、一般的なエアコンに搭載させると、風量が著しく減少してしまいます」

 網目の細かい集じんフィルターが障害となり、吸い込む力や吐き出す風量が減ってしまうという。例えば、一般的なエアコンの吸込口に、フィルターに見立てた厚めの布を敷くだけで、エアコンの風量が減るのと同じ。これでは70%以上の集じん効率がクリアできない。

 「そこで新製品では、室内機のファンの構造を変更しました。具体的には、従来機で採用されていたクロスフローファンから、新製品ではシロッコファン4つを並列させた『4連シロッコファン』を採用しました。

 これによりエアコンの吸い込み口全面を集じん脱臭フィルターで覆っても、規定を満たす風量を実現できました」

従来機に搭載されるクロスフローファンでは、吸い込む力が弱いため、集じんフィルターで吸い込み口を覆うと風量がほぼ半減してしまう
新製品ではシロッコファンを4つ使用し、吸い込む力を向上させた。これにより集じん脱臭フィルターで吸い込み口全面を覆っても、エアコン性能を満たす風量を実現。合わせて空気清浄機基準の集じん効率をクリアした
新たに採用されたシロッコファン(手前)と、従来のクロスフローファン
従来エアコンの内部構造
エアレストの内部構造

 なお、「4連シロッコファン構造」は、同社の空気清浄機で採用されているシロッコファンを、エアコン用に応用したものだという。

 同構造を採用することで、日本電気工業会が規定した「集じん効率が70%以上」という基準をクリア。同社の最上位の空気清浄機と同等の空気清浄力を備えるエアコン「エアレスト」を完成させたという。

 「エアレストは、冷房や暖房はもちろん、除湿と高い空気清浄力により、1年を通して活躍するエアコンなのです」(同氏)