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ダイキン、ライオン、アサヒビール、TOTO、パナなど9社、未来のオフィス作りに向け実証実験 ~人の位置や動き方などの空間データを収集・可視化・分析・共有
2019年7月9日 16:14
オカムラ、ダイキン工業、東京海上日動火災保険、ライオン、MyCity、アサヒビール、TOA、TOTO、パナソニックの9社は、7月16日から、会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi(ポイント ゼロ マルノウチ)」において、未来のオフィス空間作りに向けた実証実験を開始する。
「point 0 marunouchi」のコンセプトと設備
9社による、新たな価値創造を目指すオープン空間データベースプラットフォーム「CRESNECT(クレスネクト)」における第1弾プロジェクト「未来のオフィス空間」の実現を目的としており、point 0 marunouchiでは、ワークスペースの温度や湿度、人の位置や動き方などの空間データを収集・可視化・分析し、さまざまな企業間で共有されるという。
point 0 marunouchiには、オープンスペースや会議室、フォーンブースのほか、仮眠ルームや瞑想ルーム、シャワールームなどが設置されており、実際にその中で働く人の動きや生体情報、設置した機器やセンサーから得られる環境データなどを収集・分析し、コンテンツの高度化や新しい価値創造に取り組んでいくという。
プロジェクト参画各社の考えるコンセプトやポイント
ダイキン工業 執行役員 テクノロジー・イノベーションセンター長の米田 裕二氏は、point 0 marunouchiには4つの基本コンセプトがあると説明する。
「1つめは『究極のパーソナル空間と究極のコワーク(協創)による生産性の向上』で、それを実現するために多彩な空間を用意しています。2つめは『より生き生きと働ける空間』。日本の『働く』という考え方から少し距離がある『仮眠』や『瞑想』、シャワーブースなどを用意し、アルコールも常時提供します。オンとオフの境界線を曖昧にすることで、より働きやすい空間を提案していきます。3つめは『働くをアップデート』です。空間に配置したさまざまなセンサーを通して、『働く』と『空間』を見える化します。4つめは『健康的に働けるオフィス空間の実現』ということで、国内シェアオフィス初となるWELL認証(※)の取得を目指します」
※WELL認証……空間のデザイン・構築・運用に「人間の健康」という視点を加え、より良い住環境の創造を目指した評価システムのこと。
米田氏はCRESNECTによって「お客様と空気・空間を一緒に作っていくような、空気のサービスプロバイダーを目指したい。また、空間データを集めてデータビジネスそのものができないかについても検証していきたいと考えています」と語った。
「空間データはさまざまな要素がありますが、すべての屋内空間はインテリジェント化されていき、情報が価値の中心になる時代がやってきます。空調機器が空間全体を見渡せる非常にいい天井のポジションを占めていることもあり、空調機器そのものが空間のネットワークハブになれると考えています」(米田氏)
続いてパナソニック ライフソリューションズ社 常務の岡 秀幸氏が登壇し、CRESNECTへの参画に対する同社の意義、狙いについて語った。
「各社との実証実験を通じて空間ソリューションの知見、さらにその知見を裏付けるエビデンスを創出したいと考えています。参加各社の事業領域も違うし、エビデンスを取る、あるいは取りたい領域も違います。それらと協創することで、空間パッケージをしっかり構築していきたいと考えています」(岡氏)
続いてはオカムラ 執行役員 マーケティング本部長の荒川 和巳氏が登壇し、CRESNECTで実現する新しい企業協創のあり方や、point 0 marunouchiの実証実験の概要について解説した。
CRESNECTプロジェクトは新しい企業協創のあり方ということで、「5つの大きなポイントがあります」と荒川氏は語る。
「1つめは『コミッティー制度』で、自社のサービステクノロジーをベースに共同する他社と協創する枠組みを構築します。2つめはアイデアを実際にすぐ試せる場を自分達で企画・保有する『コワーキングスペースの開設』です。各社それぞれが研究開発する中で、自分たちだけではなかなか進みづらいとか、ほかに実証の場を設けるのに時間がかかるというときに、すぐに試せる場として運用していきたいと考えています」(荒川氏)
「3つめは『場の共有によるコラボレーションの加速』。共同各社がコワーキングスペースに入居し、物理的に近い距離感でより協創を加速させます。共同には参加しない外部企業の社員にも利用いただくことで、実用化のスピードを早めたいと思っています。4つめは『サービス開発に特化する』ということ。ここでは実証実験に絞り、事業化は各社がそれぞれ実行することによって、参加するためのハードルを下げるのと同時にスピードを高めます。5つめは『新法人の設立』です。実証実験やデータ共有を円滑に行なうために共同出資で株式会社point 0(ポイントゼロ)を新設しました。(新たな企業が)参画しやすいように、新法人との契約締結のみで参加できるスキームを作りました」(荒川氏)