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ダイキン、ライオン、アサヒビール、TOTO、パナなど9社、未来のオフィス作りに向け実証実験 ~人の位置や動き方などの空間データを収集・可視化・分析・共有

 オカムラ、ダイキン工業、東京海上日動火災保険、ライオン、MyCity、アサヒビール、TOA、TOTO、パナソニックの9社は、7月16日から、会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi(ポイント ゼロ マルノウチ)」において、未来のオフィス空間作りに向けた実証実験を開始する。

7月16日から未来のオフィス空間作りに向けた実証実験を行なう会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi(ポイント ゼロ マルノウチ)」

「point 0 marunouchi」のコンセプトと設備

 9社による、新たな価値創造を目指すオープン空間データベースプラットフォーム「CRESNECT(クレスネクト)」における第1弾プロジェクト「未来のオフィス空間」の実現を目的としており、point 0 marunouchiでは、ワークスペースの温度や湿度、人の位置や動き方などの空間データを収集・可視化・分析し、さまざまな企業間で共有されるという。

 point 0 marunouchiには、オープンスペースや会議室、フォーンブースのほか、仮眠ルームや瞑想ルーム、シャワールームなどが設置されており、実際にその中で働く人の動きや生体情報、設置した機器やセンサーから得られる環境データなどを収集・分析し、コンテンツの高度化や新しい価値創造に取り組んでいくという。

point 0 marunouchiのオープンスペース
大小さまざまな会議室スペースもある
ヨガプログラムなどの提供も予定されている瞑想ルーム
ダイキン工業とパナソニックが実証実験を行なう、作業に集中するためのブース
パナソニックが実証実験を行なう仮眠ブース
ダイキン工業が実証実験を行なう仮眠ブース
TOTOが今後実証実験を開始する予定のシャワールーム

プロジェクト参画各社の考えるコンセプトやポイント

 ダイキン工業 執行役員 テクノロジー・イノベーションセンター長の米田 裕二氏は、point 0 marunouchiには4つの基本コンセプトがあると説明する。

 「1つめは『究極のパーソナル空間と究極のコワーク(協創)による生産性の向上』で、それを実現するために多彩な空間を用意しています。2つめは『より生き生きと働ける空間』。日本の『働く』という考え方から少し距離がある『仮眠』や『瞑想』、シャワーブースなどを用意し、アルコールも常時提供します。オンとオフの境界線を曖昧にすることで、より働きやすい空間を提案していきます。3つめは『働くをアップデート』です。空間に配置したさまざまなセンサーを通して、『働く』と『空間』を見える化します。4つめは『健康的に働けるオフィス空間の実現』ということで、国内シェアオフィス初となるWELL認証(※)の取得を目指します」

※WELL認証……空間のデザイン・構築・運用に「人間の健康」という視点を加え、より良い住環境の創造を目指した評価システムのこと。

ダイキン工業 執行役員 テクノロジー・イノベーションセンター長の米田 裕二氏

 米田氏はCRESNECTによって「お客様と空気・空間を一緒に作っていくような、空気のサービスプロバイダーを目指したい。また、空間データを集めてデータビジネスそのものができないかについても検証していきたいと考えています」と語った。

 「空間データはさまざまな要素がありますが、すべての屋内空間はインテリジェント化されていき、情報が価値の中心になる時代がやってきます。空調機器が空間全体を見渡せる非常にいい天井のポジションを占めていることもあり、空調機器そのものが空間のネットワークハブになれると考えています」(米田氏)

CRESNECTの全体コンセプト
point 0 marunouchiで行なう実証実験の基本コンセプト
ダイキン工業としての今後の狙い

 続いてパナソニック ライフソリューションズ社 常務の岡 秀幸氏が登壇し、CRESNECTへの参画に対する同社の意義、狙いについて語った。

 「各社との実証実験を通じて空間ソリューションの知見、さらにその知見を裏付けるエビデンスを創出したいと考えています。参加各社の事業領域も違うし、エビデンスを取る、あるいは取りたい領域も違います。それらと協創することで、空間パッケージをしっかり構築していきたいと考えています」(岡氏)

パナソニック ライフソリューションズ社 常務の岡秀幸氏
パナソニックの参加意義と狙い

 続いてはオカムラ 執行役員 マーケティング本部長の荒川 和巳氏が登壇し、CRESNECTで実現する新しい企業協創のあり方や、point 0 marunouchiの実証実験の概要について解説した。

 CRESNECTプロジェクトは新しい企業協創のあり方ということで、「5つの大きなポイントがあります」と荒川氏は語る。

 「1つめは『コミッティー制度』で、自社のサービステクノロジーをベースに共同する他社と協創する枠組みを構築します。2つめはアイデアを実際にすぐ試せる場を自分達で企画・保有する『コワーキングスペースの開設』です。各社それぞれが研究開発する中で、自分たちだけではなかなか進みづらいとか、ほかに実証の場を設けるのに時間がかかるというときに、すぐに試せる場として運用していきたいと考えています」(荒川氏)

オカムラ 執行役員 マーケティング本部長の荒川 和巳氏
CRESNECTプロジェクトにおける5つのポイント

 「3つめは『場の共有によるコラボレーションの加速』。共同各社がコワーキングスペースに入居し、物理的に近い距離感でより協創を加速させます。共同には参加しない外部企業の社員にも利用いただくことで、実用化のスピードを早めたいと思っています。4つめは『サービス開発に特化する』ということ。ここでは実証実験に絞り、事業化は各社がそれぞれ実行することによって、参加するためのハードルを下げるのと同時にスピードを高めます。5つめは『新法人の設立』です。実証実験やデータ共有を円滑に行なうために共同出資で株式会社point 0(ポイントゼロ)を新設しました。(新たな企業が)参画しやすいように、新法人との契約締結のみで参加できるスキームを作りました」(荒川氏)

実証実験では、センシングなどを用いて空間やユーザーの状況を可視化

 ここからはpoint 0 marunouchiで提案するソリューションや、取り組みをスタートする実証実験の中から、いくつかをピックアップして、写真で紹介しよう。

入り口を入ってすぐにある「エントランス空間ソリューション」の「Air Spot」に立つと、人感センサーやサーモグラフィーなどによって人の存在や表面温度を検知し、全身に浴びる空調によって心地よい温度に整えてくれる。屋外からコワーキングスペースに入ってくるゲストとすでに入っている入居者との体感温度差を素早く軽減してくれる仕組みだ
パナソニックが提案する顔認証ソリューション
天井に設置したセンサーと、スマートフォンもしくはBluetoothタグによってユーザーの居場所を特定する屋内位置情報システム(LPS=Local Positioning System)。
「照明や空調、音などと連動することにより、個人に最適な空間を作ったり、好みの温度・湿度、明るさ、音楽など、自分好みのコワーキングオフィススペースを作っていこうというものです」(パナソニック 岡氏)
ダイキン工業が提案する「パーソナル空間制御ソリューション」のコンセプト。「オープンな空間にあえて設定温度の低いところと高いところを作り、自分の好みの環境や作業効率、体調によって選べるというのを考えています」(ダイキン工業の米田氏)
オカムラと奈良先端科学技術大学院大学とのコラボレーションによるセンシングチェア「Census(センサス)」のプロトタイプ。センサーとタブレットアプリを用いて基本の座り方とおすすめの設定をレクチャーしてくれるだけでなく、椅子の状態を見える化してくれる
「ゆらぎのある風」だけでなく、体全体を吹き抜けるような大面積の風を実現するダイキン工業の「Wind Creator」。「軽井沢の風」など、日本各地で計測したデータを基にした風を届けるなど、エンタテインメント要素も実現するという。快適な風がどのような効果を実現するのか、期間限定で脳波を測定するなどの実験を行ない、その効果を測定する予定とのことだ
口臭チェックによるコミュニケーションの変化をセンシングするというライオンの実証実験。アプリで舌の写真を撮影することにより、AI解析に基づいて口臭リスクを判定するほか、口臭ケアやオーラルケアに関する情報を提供する
ライオンの「香りによる空間ソリューション」の実証実験
ソフトバンクロボティクスのロボット「Pepper」にも用いられている感情解析技術によって会議中の人々の感情を解析し、それに合わせて3種類の香りの中から適したものを適量噴霧するという
アサヒビールによる、IoTを用いた新しい酒類提供方法・引用シーンの創出イメージ
タブレットアプリからフレーバーを選んでカスタマイズすると、自分好みのサワーを提供してくれるというデモを実施していた
好みのビールを選んだり、ビールに好きなフレーバーを付けるといったことも可能だ
パナソニックが実証実験する瞑想ルームのソリューション。
LED照明の色合いや音などによってリラクゼーションを図る。センシングではなく、アンケート調査によってリラックス度などを検証するとのことだ
ダイキン工業とNECによる集中力持続ソリューションの実証実験。
デスクの下に設置した人感センサーや卓上のカメラセンサーを用いて人の着席状況や覚醒状況をセンシングし、眠そうな状況を感知したら冷たい風を吹かせることで覚醒を促すというもの
パナソニックの提案する仮眠室ソリューション。
アプリで休憩室の使い方、仮眠モードの場合は仮眠時間を設定すると、アンビエント照明が明かりをコントロールしてくれるという
ダイキン工業が提案する仮眠室ソリューション。
ベッドの裏側に内蔵する心拍計によって利用者の睡眠の深さを把握し、深い睡眠になる前に冷たい風によって覚醒を促すという
TOTOが提供するシャワールーム。リフレッシュ前とリフレッシュ後のユーザーの快適どの違いを、センシングなどを用いて計測する予定とのことだ