ニュース
尿検査できる温水洗浄便座やポルシェデザインの洗濯機など、独自路線をいくパナソニック アプライアンス中国の家電
2018年3月12日 14:01
パナソニック アプライアンス 中国の製品が面白い。Wi-Fiを搭載し、体脂肪が測定できる温水洗浄便座がすでに発売されているなど、日本のパナソニックとは違う独自の方針を打ち出し、売り上げも黒字化している。今回は、毎年3月に中国・上海で開催されている「中国家電博覧会(AWE)」で、アプライアンス中国が2018年度中に発売を予定している新製品を見てきた。
IoTを駆使したユニークな製品で、日本のパナソニックとは全く違う独自の製品が並ぶ。以下で紹介するのは、コンセプト製品ではあるが、いずれも2018年度中の発売を予定しているという。
家族の健康を管理できる「マジックミラー」
サニタリー空間の新たなポータルとして提案するのが「マジックミラー」だ。ミラー前に備えられた体重計で計測されたデータを表示、管理でき、さらにその健康状態に合わせた食生活のレコメンドまで行なう。これらのデータは、複数管理でき、家族全員の健康状態をマジックミラーで確認できる。
マジックミラーは、単なる健康管理ツールではなく、検索ツールやショッピングサイト、そして家電コントロールも兼ねた「ポータルサイト」としての役割も兼ねる。冷蔵庫やエアコンなど家じゅうの家電とつながっており、マジックミラーで計測したデータを冷蔵庫で確認することもできる。
家電同士をどこまで連携させるか、またマジックミラーにどこまでの機能を搭載するかなど、詳細については今回の展示会の反響やニーズを見ながら検討していくという。
血圧測定や尿検査できる温水洗浄便座
昨年のAWEで発表、すでに中国国内で販売されているWi-Fi搭載の温水洗浄便座も、さらに進化を遂げた。従来は、便座に座るだけで体脂肪を測定できる機能のみだったが、新機種では血圧測定や尿検査の機能を新たに搭載。より多くの健康データを得ることができる。これらのデータはクラウド上で管理される。
アプライアンス中国では、これらのデータを健康保険組合や保険会社、医師と共有するなど、新たなビジネス展開も検討しているという。
住空間の提案を強化
2018年AWE、パナソニックブースで特徴的だったのが、システムキッチンやサニタリーなど、住空間の展示を強化していたことだ。事前に行なわれたプレスカンファレンスにおいても、パナソニック エコソリューションズ社と協力して、住空間の提案を強化していくと明言しており、実際、展示スペースも充実していた。
ポルシェのデザイン事務所がデザインした洗濯機
アプライアンス中国独自で展開しているのが、ポルシェのデザイン事務所「STUDIO F・A・PORSCHE」にデザインを依頼した洗濯機シリーズだ。アルミの削り出しのような従来の洗濯機とは全く異なるデザインで、会場でも注目を集めていた。
この製品は中国国内での販売を予定しているが、日本での展開予定はないという。
ナノイーX搭載冷蔵庫も中国が先行
日本国内でも展開しているナノイーX搭載製品も展示されていた。ナノイーXとは、パナソニック独自のナノイー技術が進化したもので、空気中の水に高電圧をかけることで生成されるナノサイズの微粒子イオンのこと。重要な働きをするOHラジカルの生成量が従来のナノイーの約10倍で、脱臭や菌、ウイルス、アレル物質の抑制効果が従来より高いという。
大気汚染が深刻な中国では、空間の除菌や脱臭に効果があるナノイーへの関心が高く、会場でも多くの展示スペースを割いていた。
日本国内では、空気清浄機やエアコンに搭載しているが、中国国内では、ナノイーXを搭載した冷蔵庫を今後発売する。庫内の除菌や脱臭に効果があるとされ、すでに台湾では先行発売されている。日本での展開は未定だが、今後の販売状況次第で、日本で発売することも検討するという。
中国独自の取り組みに注目
家電製品の展示会は、毎年1月に米国・ラスベガスで行なわれるCESや、9月にドイツ・ベルリンで行なわれるIFAや、日本で開催するCEATECなどがあるが、AWEがそれらの展示会と大きく異なるのは、コンセプト製品ではなく、実際に販売されている、あるいは今後販売する製品が並ぶという点だ。
冷蔵庫にパネルを搭載し、庫内の食材を管理したり、レシピを検索、足りない食材をその場で発注できるという製品は、パナソニックのブースだけでなく、地元中国のハイアールや韓国のLG Electronicsなどにもあり、それらはすでに市場に出回っている。アプライアンス中国では、こういった市場特性から、日本とは違う独自の製品開発に次々と着手している。日本とは違う方向に進んでいるアプライアンス中国に、今後も注目だ。