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上海の家電展示会で日本メーカーの活躍と中国メーカーの躍進を見てきた!
(2016/3/11 18:07)
3月9日〜12日の日程で開催されている「中国家電博覧会(AWE)」を取材してきた。AWEは、中国の経済やファッション、トレンドの中心である上海で開かれる、地域最大級の生活家電が中心の博覧会。ハイアールや美的(Midea)などの中国メーカーを中心に、日本や韓国、欧米のメーカーも出展していた。
製品“単体”ではなく、憧れの“生活空間”を展示したパナソニック
そんななか、パナソニックは展示会のオープンと同時に、カンファレンスを主催。同社の中国における事業戦略をメディア向けに説明した。主な内容は、中国において同社は、世帯年収21万元(日本円で約365万円)以上をターゲットにした、プレミアム商品を中心に展開していくことを説明。プレミアム商品により、「健康」で「余裕」と「品」のある暮らしを実現するとした。
そしてプレミアム製品を展示するとともに、「憧れのライフスタイル」を住空間の中で展示したのが、AWEでのパナソニックブース。これまでも欧州や日本で展示された、リビングやダイニングキッチンのほか、ベットルームやサニタリールームなどを再現。また、キッチンブースでは、フードスペシャリストによる同社製品を使った実演が行なわれ、スムージーや生チョコレート、混ぜご飯などが楽しめるスペースとなっていた。
多くの製品が日本でも発売済みのものである一方で、中国において企画から製造、販売までされている製品も少なくなかった。
まずスチームオーブンレンジに関しては、「NU-JK100」が目立っていた。20秒で蒸気を発生させる調理開始の速さと、蒸したり焼いたり揚げたりできることを謳っていた。
展示会場では、昨今、SARSやPM2.5などが話題になったこともあり、空気清浄についての関心が、非常に高いことが伺えた。それは、展示会場全体でのラインナップの多さにも現れていた。
そして、この空気清浄機に関しては、日本の「空気清浄機」表記を一歩進めた印象の「空気“消毒机(器)”」という表記も多数見受けられた。パナソニック アプライアンス中国の広報担当者の話によれば、消毒机とは検証機関に認められた製品でのみ謳って良いという。また、認可を受けるには、製品の空気清浄機能はもちろん、工場の製造環境なども審査対象とされる。
キッチンでのビルトイン製品も、多くのスペースを割いてアピールされていた。担当者によれば、中国では日本円で年収400万円前後の世帯でもビルトイン製品を検討するという。
あくまでも製品をそのまま中国で販売する日立
日本の家電メーカーの出展は、パナソニックと日立製作所に絞られていた。そして日立は、中国オリジナル製品も積極的に開発するパナソニックとは対照的だった。
日立の担当者によれば、中国内で販売する製品は、原則として、日本国内でも高価格帯のモデルとして販売されているものを、そのまま持ってきているという。さらに、中国国内では量販店では販売せず、百貨店で買えるようにしているという。
当然、ターゲットはプレミアム層に絞っている。担当者に聞くと、関税や奢侈税(消費税と似た税)により、同じ製品でも日本国内で購入するよりも2〜3割高い。それでも、日立および日本製への信頼感により、多くの消費者から支持されているという。
デザインに力を入れ始めた中国メーカー
「中国家電博覧会(AWE)」では、業務用機器の展示は見られず、そのほとんどがコンシューマー向けの生活家電に限定されていた(一部AV機器の展示もあったがスペースとしては少なかった)。にも関わらず、これだけのメーカーがあるのか! と驚くほど無数のメーカーが出展していた。
中でも圧倒的に大きなブースを構えていたのが、ハイアールと美的(Midea)。この2メーカーについては、機能だけでなくデザインにも力を入れていることがひと目で分かった。
まずはハイアール。日本でもアクアを展開する同グループは、「ハイアール」と「カサルテ」の2ブランドを大きくプロモーションしていた。
日本ではまだ製品を見ることがない「美的(Midea)」も、中国を代表する生活家電メーカー。展示された様々な製品は、いずれも清潔感のあるデザインだった。
ハイアールや美的以外にも、目に止まったデザインの家電をまとめておく。
さらに「中国って凄いな」と感じたのが、人の背丈を超える大きさの縦型エアコン。その大きさもさることながら、その多彩なデザインに驚いた。
まさに百花繚乱の中国メーカーが次のトレンドを作り出せるか?
中国国内では、ブランド力では外国メーカー、特に日本メーカーが強みを発揮しているように感じた。パナソニックや日立製作所が、自社が日本ブランドであることをアピールしているのもそのためだ。またハイアールのブースや家電量販店では、 “三洋”の2文字が、大きく表示された製品が多く見受けられた。
同時に中国の生活家電メーカーの力強さも感じられた。「どこかで見たことあるような」既視感を感じさせるデザインや機能である製品も多いが、トライを恐れず多くのアイテムを製品化している様子が伺えた。
そんな百花繚乱の中国メーカーのブースを見ていると、新たな発想の製品が中国メーカーから生み出される日も近いのでは、と感じさせられた。いや、もしかすると中国語を解さない筆者が見落としただけで、そうした優れた製品が今回の中国家電博覧会で、既に展示されていたのかもしれない。