家電トレンドチェッカー
体脂肪やBMIをチェックできる温水洗浄便座など、中国の家電博が面白い
2017年3月14日 07:30
3月9日から中国・上海で開催された「中国家電博覧会(AWE)」に行ってきた。生活家電を中心とした地域最大級の家電博で、ハイアールや美的(Midea)といった中国メーカーはもちろん、パナソニックや日立など日本メーカーも出展する。
同展示会は2002年から開催され、今年で16回目となるが、昨年実績で出展社600社、来場者数18万人という巨大なイベントだ。バイヤーやメーカーの人だけでなく、一般の人にも公開されているイベントだけあって、会場は人で埋め尽くされていた。
パナソニック、体脂肪やBMIをチェックできる温水洗浄便座
2009年から、毎年出展しているパナソニックのブースも注目度が高かった。パナソニックでは、世帯年収32万元(約532万円)以上の30歳前後、共働き、子供有りの世帯をメインターゲットとして掲げており、「憧れの暮らし」をテーマとした展示を行なっていた。
会場で展示されていたオーブンレンジや、電気圧力鍋、冷蔵庫など、いずれも中国独自で製品開発したもので、日本で発売されているものとは、デザインや仕様が全く異なる。また、中国市場で成功しているドライヤーなど美容家電のブースは、実際に体験できるとあって人が集中していた。
中でもユニークだったのが、体脂肪やBMIの測定機能を搭載した温水洗浄便座だ。毎日、便座に座るだけで測定できるというもので、測定結果はスマートフォンのアプリで確認できる。4月から実際に中国市場で販売されるという。
100種類の炊き分けが可能!? 美的(Midia)で見つけた炊飯器がすごい
地元、中国のメーカー、美的(Midia)のブースはとにかく巨大。音声認識や人工知能、クラウドを用いたスマートハウスの展示を中心に行なっていたほか、体重や血糖値、血圧などの管理を行なうヘルスマネジメントの展示にも力をいれていた。
家電 Watchで注目したのは、炊き分け機能を搭載した炊飯器。日本でも数年前から、銘柄によって炊き方を変える炊き分け機能を搭載した炊飯器が注目されてきたが、中国でもそのブームがきているようだ。ただし、さすが中国ともいうべきか、規模が全く違う。
壁に並べられた米の銘柄はなんと100種類。こんなにたくさんの銘柄をどうやって炊き分けるのか……と思っていたところ、各米の容器に貼られたバーコードをスマートフォンで読み取り、設定を炊飯器に飛ばすという方法を採用しているという。
日本の展示会では感じられない“熱気”と“可能性”
取材時間が限られていたということもあり、全部のブースをまわることは到底かなわなかったのだが、会場を回っていて一番感じたのは熱気。一般にも公開されているイベントだということもあって、とにかく人が多いのだが、皆、製品に触り、真剣に吟味している。日本やヨーロッパの展示会では感じられない「消費マインド」が感じられた。
日本の展示会では見かけないようなユニークな製品が多いのも特徴。パナソニックの温水洗浄便座など、アイディアがあったとしても、日本での製品化は難しいという。「面白い、可能性があると思った製品に関しては、すぐに製品化しようというスピード感が中国の市場にはある」(パナソニック担当者)という。
日本の家電メーカーの衰退が叫ばれる中、かつての日本がそうだったように、今後は中国が世界の家電市場の中心になっていくのかもしれない。そんな可能性を感じさせる展示会だった。