家電トレンドチェッカー

体脂肪やBMIをチェックできる温水洗浄便座など、中国の家電博が面白い

 3月9日から中国・上海で開催された「中国家電博覧会(AWE)」に行ってきた。生活家電を中心とした地域最大級の家電博で、ハイアールや美的(Midea)といった中国メーカーはもちろん、パナソニックや日立など日本メーカーも出展する。

中国・上海で開催された「中国家電博覧会(AWE)」

 同展示会は2002年から開催され、今年で16回目となるが、昨年実績で出展社600社、来場者数18万人という巨大なイベントだ。バイヤーやメーカーの人だけでなく、一般の人にも公開されているイベントだけあって、会場は人で埋め尽くされていた。

昨年実績で出展600社、来場者数18万人という巨大な展示会

パナソニック、体脂肪やBMIをチェックできる温水洗浄便座

 2009年から、毎年出展しているパナソニックのブースも注目度が高かった。パナソニックでは、世帯年収32万元(約532万円)以上の30歳前後、共働き、子供有りの世帯をメインターゲットとして掲げており、「憧れの暮らし」をテーマとした展示を行なっていた。

憧れの暮らしをテーマとした展示を行なっていた。写真は少し先の生活をイメージした「Better Living Tomorrow」の展示。フリースタイルで使えるIHクッキングヒーターや、中の温度を食材やお酒の種類によって変えられる冷蔵庫、超薄型のディスプレイなどが組み込まれている。IFA2016でも同様の展示を行なった

 会場で展示されていたオーブンレンジや、電気圧力鍋、冷蔵庫など、いずれも中国独自で製品開発したもので、日本で発売されているものとは、デザインや仕様が全く異なる。また、中国市場で成功しているドライヤーなど美容家電のブースは、実際に体験できるとあって人が集中していた。

中国で独自開発した冷蔵庫
こちらのオーブンレンジも日本では展開していない
電気圧力鍋も、日本で売っているものとは、デザインや仕様が異なる
多くの人が集中していた美容家電のブース。中国で大きな成功を収めているという

 中でもユニークだったのが、体脂肪やBMIの測定機能を搭載した温水洗浄便座だ。毎日、便座に座るだけで測定できるというもので、測定結果はスマートフォンのアプリで確認できる。4月から実際に中国市場で販売されるという。

体脂肪やBMIの測定機能を搭載した温水洗浄便座
便座部分に体脂肪を測定する電極が配置されている
測定データはアプリで管理できる

100種類の炊き分けが可能!? 美的(Midia)で見つけた炊飯器がすごい

 地元、中国のメーカー、美的(Midia)のブースはとにかく巨大。音声認識や人工知能、クラウドを用いたスマートハウスの展示を中心に行なっていたほか、体重や血糖値、血圧などの管理を行なうヘルスマネジメントの展示にも力をいれていた。

地元、中国のメーカー、美的(Midia)のブース。スペースも広く、訪れる人も多かった
クラウドや人工知能を用いたスマートハウスの展示に力を入れていた
擬人化されたシステムに話しかけると、メニューなどを提案してくれる
調理機器とも連動しており、自動で調理がスタートする仕組み
一方で、ヘルスマネジメントにも注力していた。体重や血糖値などのデータを測定、管理は全てアプリで行なう

 家電 Watchで注目したのは、炊き分け機能を搭載した炊飯器。日本でも数年前から、銘柄によって炊き方を変える炊き分け機能を搭載した炊飯器が注目されてきたが、中国でもそのブームがきているようだ。ただし、さすが中国ともいうべきか、規模が全く違う。

 壁に並べられた米の銘柄はなんと100種類。こんなにたくさんの銘柄をどうやって炊き分けるのか……と思っていたところ、各米の容器に貼られたバーコードをスマートフォンで読み取り、設定を炊飯器に飛ばすという方法を採用しているという。

銘柄炊き分け機能を搭載した炊飯器
中国の銘柄地図。お米の種類が豊富
その数なんと100種類もある
各お米の容器にはバーコードが貼られている
各バーコードをスマートフォンで読み取って、炊飯器本体に設定を飛ばす

日本の展示会では感じられない“熱気”と“可能性”

 取材時間が限られていたということもあり、全部のブースをまわることは到底かなわなかったのだが、会場を回っていて一番感じたのは熱気。一般にも公開されているイベントだということもあって、とにかく人が多いのだが、皆、製品に触り、真剣に吟味している。日本やヨーロッパの展示会では感じられない「消費マインド」が感じられた。

展示会場は広すぎて、全部をまわりきるのは不可能だった
会場は人で埋め尽くされていた

 日本の展示会では見かけないようなユニークな製品が多いのも特徴。パナソニックの温水洗浄便座など、アイディアがあったとしても、日本での製品化は難しいという。「面白い、可能性があると思った製品に関しては、すぐに製品化しようというスピード感が中国の市場にはある」(パナソニック担当者)という。

 日本の家電メーカーの衰退が叫ばれる中、かつての日本がそうだったように、今後は中国が世界の家電市場の中心になっていくのかもしれない。そんな可能性を感じさせる展示会だった。

阿部 夏子