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高級調理家電だからこそ操作を簡単に。日立が使いやすさにこだわるワケ
2017年7月4日 17:52
日立アプライアンスは、7月20日に発売するIHジャー炊飯器「ふっくら御膳 RZ-AW3000M」と、過熱水蒸気オーブンレンジ「ヘルシーシェフ MRO-TW1」の、メディア向け試食会を開催した。いずれも価格はオープンプライス。店頭予想価格は順に、100,000円前後、95,000円前後(税抜)。
「ふっくら御膳 RZ-AW3000M」は、5.5合炊きの高級IHジャー炊飯器。圧力をかけながらスチームで蒸らしてご飯を炊く、独自の「圧力スチーム炊き」が特徴。ふっくら甘く、艶やかなご飯に仕上がるという。
新モデルでは、高い伝熱性で炊きムラを抑える内釜「高伝熱 打込鉄・釜」を新開発。アルミ合金製の内釜底面に、発熱性の高い鉄の粒子を超音速で打ち込む「超音速打込製法」を新たに採用した。同製法により、内釜に厚い層と薄い層を形成できるようになり、底面全体で1,330Wの大火力を引き出すという。釜内の温度上昇のばらつきを低減し、ムラなく炊き上げるとしている。
「ヘルシーシェフ MRO-TW1」は、レンジ・オーブン・グリル・スチーム・過熱水蒸気の5種類の加熱方法を搭載した高機能オーブンレンジ。センサーにより食材の重さと温度を測り、加熱のパワーや時間を自動コントロールする「Wスキャン」が特徴。
両機種ともに実勢価格は約10万円と、同社の炊飯器・オーブンレンジカテゴリにおいて最上位機種にあたる。実際にごはんやブリ大根などを試食し、味は文句なしの絶品だった。
ふっくら御膳で炊いた白米は、しゃっきりとした粒感がありながら、噛めば噛むほど甘みが広がる。ヘルシーシェフで作ったブリ大根も、しっかり味が染みており、ご飯が進む美味しさだった。
高機能だからこそ操作をわかりやすく。「Webレシピ集」を刷新
しかし、さらに印象深かったのは、使いやすさにこだわっている点。家電製品は上位機種になればなるほど機能が多く、操作が複雑になるが、そういった不満点を解消するための工夫が、新モデルでは施されていた。
オーブンレンジでは、「Webレシピ集」を刷新。ウェブ上で閲覧できるレシピ集は2016年より公開していたが、パソコンでの閲覧をメインとしていた。新たに7月中旬より公開されるレシピ集は、スマートフォンからも見やすいデザインとし、外出先や買い物中、調理中でも、材料やレシピを簡単に確認できる。
スマホから閲覧できるようにした経緯には、同社が日立だけでなく全メーカーの高級クラスのオーブンレンジを使っている人を対象に実施した、ユーザー調査が背景にある。
調査の結果、購入時に期待した効果は、“レパートリーが広がる”“調理時間の短縮”といった回答が多く挙がったという。一方、購入後の不満点を聞くと“あたためのムラ”“解凍のムラ”、“取説をわかりやすくしてほしい”“料理集を見て作るのが面倒”という声も多いことが判明した。
あたためや解凍のコツも紹介。レシピ集のQRコードを本体に貼付け
日立アプライアンス 商品戦略本部 冷蔵庫・調理商品企画部 鈴木 康志氏は、こうした意見について、「あたため機能やレシピ集というのは基本的な部分であり、そこが使いづらいとなるとオーブンレンジは広がっていかないと思い、改善を図りました」と話す。
Webレシピ集では、材料を入力してフリーワードで検索できるほか、「焼き」、「煮物」など、調理分類からもレシピを探すことができる。また、本体ドア面にもQRコードを備え、手軽にアクセス可能とした。Webレシピ集には、付属品のクッキングガイドのレシピを全て掲載している。
「ウェブ上では、レシピだけでなく使い方やお手入れのコツも紹介しています。例えば解凍時は、冷凍食材をお皿に乗せて運転すると仕上がりにムラが出やすくなります。解凍時も重さと温度を見ているため、本当は発泡スチロールやオーブンシートを敷いて使うことを推奨しているのです。こうした情報も、スマホから見れるようにすることで、多くの方に知ってもらえればと思います」
このほか、機能面では、レンジ・オーブン・グリル・スチーム・過熱水蒸気の5種類の加熱方法を、メニューに応じて組み合わせる「Wスキャン調理」を新たに搭載。オートメニュー「ローストビーフ」を選択すると、調理工程に合わせてレンジ、過熱水蒸気、オーブン機能を自動で切り替える。表面はじっくり、中はレアに仕上げる、火加減の難しいローストビーフも美味しく調理するという。
「Wスキャン調理」では、主菜1品と副菜2品の計3品を、自動で4人分まで同時調理できる「おかずセット」7メニューを含む、93メニューを採用。食材の重さと温度を見張っているため、分量選択の必要がないのも特徴だ。
本体サイズは、487×449×365mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約17.5kg。庫内容量は30L。レンジ出力は、1,000W、800W、600W、500W、200W相当、100W相当。外して丸洗いできるテーブルプレート、黒皿2枚、焼網、クッキングガイドが付属する。カラーはレッドとホワイトの2色。
内釜はさらに軽量化。玄米も美味しく食べられる炊き分け機能を新搭載
「ふっくら御膳 RZ-AW3000M」では、従来から好評である軽量の内釜をさらに軽くした。約720gを実現し、持ち運びやすいという。水位線の合数文字サイズも、2016年モデル(RZ-YW3000M)の約1.7倍にしており、見やすくしている。
「内釜の水位線は、白米だけでなく無洗米や玄米用、おかゆ用など複数あり、わかりにくいのがデメリットでした。今回、目盛りの文字を1.7倍と思い切り大きくすることで、高齢の方にもわかりやすくしています。また、軽量の内釜を実現するため、蓄熱材は本体側に使用しています。蓄熱性もしっかり保っており、使いやすさと美味しさを両立しました」(鈴木氏)
このほか、玄米の炊き分け機能も搭載。白米だけでなく玄米も、「しゃっきり/ふつう/もちもち」と食感が選べるようになった。玄米は食感によって風味が変わりやすく、初めて玄米を食べる人でも美味しく食べられるようにしたという。炊き分けでは、しゃっきり選択時は浸し時間を少なくし、もちもち選択時は高温浸し時間を30分設けている。
どちらも試食したところ、しゃっきりコースで炊いた玄米は香ばしさが強く、玄人好みといった印象。もちもちコースで炊いた玄米は、クセが少なく白米と同じように食べられた。
炊飯プログラムに浸し時間を設けていることで気になるのは、玄米や麦飯のパッケージに書かれている炊き方とのすり合わせ。玄米を購入すると、「洗米後、30分浸してから運転スタート」と書かれていることもある。
浸し時間について鈴木氏に聞くと、「古い機種では炊飯前に浸し時間を設ける必要がありますが、今回発売するふっくら御膳では、浸し時間も炊飯工程に含まれているので浸す必要はありません。炊飯後も、特に蒸らす必要はなく、すぐにフタを開けていただいて大丈夫です」とコメントした。
このほか、0.5合~2合の少量に合わせて加熱を制御し美味しく炊く「少量炊き」や、炊飯時に蒸気をほとんど排出しない「蒸気カット」、ごはんをしっとり保つ「スチーム40時間保温」などを引き続き採用。
本体サイズは、268×352×237mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約6.6kg。炊飯時の消費電力は1,400W。本体カラーは、メタリックレッドとパールホワイトの2色。