長期レビュー

三洋「GOPAN(ゴパン) SPM-RB1000」 その1

~お米がそのままパンに! 世界初のライスブレッドクッカー
by 片山 治代

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



世界初! 米からパンが作れるライスブレッドクッカー

三洋「GOPAN(ゴパン) SPM-RB1000」

 世界に誇れる美味しいお米を、パンでも味わえたら……三洋電機のライスブレッドクッカー「GOPAN(ゴパン) SPM-RB1000」(以下、GOPAN)はそんな想いから開発が進められたといいます。パンや麺類など食生活の多様化により、日本の米の消費量は年々減少の一途を辿っていますが、米から作った米パンが普及することにより、お米の消費量を増やし、日本の田んぼの風景を未来の子供達にも伝えたい――開発から5年後、GOPANは誕生しました。

 今回から3回にわたってご紹介するのは、発売前から評判になっていた三洋電機「GOPAN」です。パン好きな主人が早くから予約していたため、我が家には発売日翌日には届きました。


メーカー三洋電機
製品名GOPAN(ゴパン) SPM-RB1000
希望小売価格オープンプライス
店頭予想価格5万円前後

 大きさは普通のホームベーカリーより一回り大きく、持ち上げてみるとちょっと重いです。サイズは354×278×387mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは11kgです。

本体上部大きめでわかりやすい操作部中の様子がはっきり見えるガラス窓
本体背面コードの長さは1.25m
本体側面本体とパンケース(米パン用、小麦用、羽根3種、計量スプーン、洗浄ブラシ、生種おこし容器、計量カップ)パン用、麺用と使い分けるため、3種類の羽根が付属する

米粉を使わずに「米パン」が作れる

 GOPANが今までのホームベーカリーとは全く違うのは、大きさや重さだけではありません。まず、製品名はホームベーカリーではなく「ライスブレッドクッカー」です。

 これまでのホームベーカリーでは、米粉を利用して「米粉パン」を作ることはできましたが、「ライスブレッドクッカー」であるGOPANは、米粉ではなく、米そのものを使って米パンをつくることができるのです。

 そのために、お米をミルして米粉にしてくれる「全自動お米ミル機能」(約6,300回転/分のミル用モーターを内蔵)など新しい技術を搭載しています。このミルを使って、まずお米をペースト状にして、それからパン生地を作っていきます。お米はとても固く家庭用の小さな製品で、粉状にするのはとても大変だといいますが、三洋電機では粉ではなくペースト状にすることで、米からパンを作ることを実現しています。

 米粉は、まだ一般的ではないので、どこでも買えるというわけではありませんが、米ならばどこでも買えます。GOPANなら、わざわざ米粉を買わずにお米からお米パンができるのです。

米パン羽根はずっしり重く、保護カバーをはずすと中には米を砕くミル刃が

 また、GOPANでは小麦を全く使わずに米パンを作れる「小麦ゼロお米パン」コースも備えています。これは、小麦アレルギーのある方には朗報ですね。もちろん小麦グルテンを使用して作るお米パンや、普通の小麦パン、ピザ生地、うどんにパスタ、ジャム、おもちまで作れます。

掃除機並みの運転音にびっくり

 さて、我が家(おとな3人家族)ではお米を玄米で購入しています。一度に30kgを購入するのですが、なかなかお米が減らないのです。平均すると、米食は1日1度ぐらいなので、これも仕方ありませんね。

 パンも食べたいけど、お米も食べないと……みたいな我が家にはGOPANはまさにぴったりの製品です。GOPANは、マスコミでも取り上げられることが多く、テレビで試食している人が「おいしい!おいしい!」「もっちもちだぁ」などとニコニコ顔でコメントしていたのを見ていて、期待はどんどん高まりました。

 始めて使うときは、「どんなおいしいパンができるのかしら」とワクワクした気持ちで一杯でした。このあと、悪戦苦闘することになるなどとは、思いもせずに……

 GOPANでは、米パンメニューとして、お米を小麦グルテンを使用する「米パン」と、お米と上新粉を使う「小麦ゼロお米パン」の2種類が搭載されていています。材料は、小麦グルテンを使う米パンの場合は、無塩バターかショートニング、上新粉を使う小麦ゼロ米パンの場合は、オリーブオイルをそれぞれ使います。そのほかに必要なのは、水、塩、砂糖、ドライイーストと、小麦のパンを作る時と変わりません。

基本となる材料は米小麦グルテンを使う米パンを作るときはショートニングか無塩バターを使いますドライイースト、塩、砂糖はそれぞれしっかり分量を量ります

 まずはお米とグルテンを使用してのお米食パンに挑戦しました。普段は大雑把な私ですが、今回は、デジタル表示のキッチンスケールを使って、きちんと材料を量りました。焼きたてを頂きたいので、朝8時に出来るようにタイマーセットして、準備は完了です。

 セットしてしばらくして、びっくり。「がぁーっ、がぁーっ、がぁーっ、がぁーっ」というすごい音が聞こえてきました。これは、お米をミル(粉砕)している音のようです。30秒ぐらいで一旦、音は止み、また5分後ぐらいに同じ音がしてきました。この音は、断続的に50分近く続きます。


お米をミルする音。想像以上に大きい音に驚いてしまいました

 固いお米をペースト状にするので、掃除機程度の音はすると聞いていましたが、結構な音です。音が気になるなら、セットをなるべく早い時間に済ませたほうがよさそうです。

初めての米パンの出来映えは……

カチカチでまったく膨らんでない

 そして、朝8時に完成の電子音。

 待望の米パンのできあがりです。上の蓋は透明になっていて、中の様子は丸見えなんですが、なんだか様子がおかしいのです。開けてびっくり! 全くふくらんでいないのです。

 なにこれ? 完全に失敗です。

 きっとなにか手順を間違えたんだな――そう思い、マニュアルを読み返しましたが、思い当たる節はありません。室温? 水温? それとも材料? ネットでいろいろ調べてみると、既にGOPANでの米パン作りに失敗したブログをいくつか発見しました。

 その記事を読んで見ると、初回の大失敗の原因はたぶん砂糖かなと思い当たりました。GOPANで使用する砂糖は、精白した上白糖かグラニュー糖なのです。我が家では普段、これらの白い砂糖ではなく、茶色いキビ砂糖や三温糖を使っています。今回も、なんの意識もせずにキビ砂糖を使っていました。

 さて、今度は白い砂糖を使って再挑戦です。砂糖をグラニュー糖に変え、他の材料もきちんと計測しました。初回と同様、朝8時にタイマーをセット。今度こそ大丈夫! 自信満々で眠りに就きました。

 翌朝、キッチンからは香ばしいいい香りがしてきました。今回はうまく出来たかな、と期待を胸にフタを開けたところ、やっぱり膨らんでいない。前回よりは、形になっているものの、高さは10cmちょっとで、まだまだ膨らみが足りません。

初回よりはきちんとした形になっているが、やはり膨らみが足りない。

 もう一度、ネットで情報収集したところ、ある注意点が出ていました。それは、「水温をあなどるな!」ということです。たしかにマニュアルにも室温が20℃以下の場合は水温は20℃、室温が20℃以上なら水は10℃でとあります。

 タイマーで作る時は、セットした時の室温と発酵が始まる時の温度差が出るので、さらに注意が必要のようです。

 これらの情報を得て、翌朝セットの予約タイマーで作るのは、一度成功してからにすることにしました。できあがりを見ると、水分が足りていないようなので、水温と水の量を再調整して、作ることにしました。

 我が家では、自宅で玄米を精米機でお米にしているので、おそらく市販の米とは水分量が違うのかもしれません。

 3度目の正直といわんばかりに、今回は以下の点に注意しました。
(1) 使用する水。室温が20℃以上なので、氷を使用して10℃ぐらいまで下げる。
(2) マニュアルに書かれている水分量より増やす。(10cc=10gほど)
(3) タイマーは使わず、セットしたらすぐスタートする。

 これらを守ってリベンジ開始! 水温と材料の計量に注意しながら、スタートボタンを押しました。

すべてセットして、さあスタート

 まずは、お米に水を含ませて砕きやすくする「浸水タイム」が約30分ほど続きます。続いてお米をペースト状にする「米ミル工程」です。30秒のミル音のあと、生地を冷却するために約5分停止。これを約80分間続けます。最初はびっくりしたミル音も、3度目になると、慣れてきたのか、あまり気にならなくなりました。

 ミル段階が終わると、つぎに、小麦グルテンとイーストが自動投入ケースから投入されて、約13分間の「こね工程」に入ります。次に、約65分の「発酵工程」を終えると、羽根が回って「焼き工程」の準備が始まります。羽根が回るのは、米パンが焼き上がったあと、パンから羽根を引き出しやすくするためだといいます。

 ここまで来たらあとは、焼くだけです。焼き時間は約50分。GOPANの周りからは、だんだん香ばしい香りがしてきました。ガラス窓から覗いてみると焼き色がほんのりついて、今度こそ、成功していそうです。

 焼き上がりの「ピピッピピッピピッ」という、お知らせ音がしてから、本体ふたを開けます。とりけしキーを押して、コンセントを抜いてから、米パンを取り出します。この時、パンはかなり熱いので、ミトンなどを使って、網の上に取り出します。

やりました! ふっくら、こんがり、焼き上がっています少し冷ましていきます型崩れを防ぐために、横にして置きます

 3度目で晴れて、成功しました! 外側はこんがり、中はふんわりしてそうで、何よりとってもいい香りです。小麦で作ったパンとは違う、米パンならではの香ばしい香りがキッチン中に広がっていきます。

 網の上に取り出して、15分ほど冷ましてからさっそく食べてみました。外側はカリカリの中側はふっかふかのモチモチで、とてもおいしいです。

羽根をとってみました。ねじるようにして取り出します米パンの底には羽根を取り出した後が残っていますしばらく置いて切ってみました。ちょっと空洞がありますが、断面はきらきらでもちもち

 さてさて、失敗談を含めて、米パンの成功までをご紹介しました。次回は、さらに基本のお米食パンを極めてから、アレンジ例なども一緒にご紹介したいと思います。



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2011年3月22日 00:00