長期レビュー

シャープ「プラズマクラスター掃除機 EC-VX210」その2

~ゴミ捨ては簡単&清潔、プラズマクラスターも活躍
by 正藤 慶一

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)




シャープの「プラズマクラスター掃除機 EC-VX210」。今回はメンテナンス面と清潔性について注目したい
 シャープの「プラズマクラスター掃除機 EC-VX210」について、3回に渡って紹介するこのレビュー。先週は運転音や吸込能力を中心に取り上げたが、今回はゴミ捨てをはじめとするメンテナンス面、排気の清潔面に注目して見てみたい。

[ →第1回目]

ゴミ捨てはワンタッチでほとんど落とせる。水洗いでより丁寧なケアも


サイクロン式掃除機は、紙パックが不要でコストが掛からない一方、ゴミ捨ての際に粉ゴミが舞い上がるというデメリットもあるが……(写真はEC-VX210のダストカップ)
 さて、サイクロン式の掃除機のメリットのひとつに、紙パックを使わないためランニングコストがかからない、というのがある。本体に付属のダストカップで集塵できるのだから、パックを買いためておく必要もないし、適合しないパックを誤って購入してしまうこともない。

 しかし、サイクロンで問題なのが、ダストカップに溜まったゴミを捨てる時。ゴミがダストカップにこびりついてしまって、なかなかカップから取り出せない、ということがよくある。もっと悪い場合、カップから取り出したゴミがブワッと空中に舞い上がり、せっかく集めたゴミを自分で吸い込んでしまう、なんてこともある。その点、紙パックなら、パックをそのままゴミ箱に入れるだけで済む。ゴミ捨てがキレイにできないからサイクロンはイヤ、という話も聞くほどだ。

 というわけで、高級モデルのサイクロン式掃除機のトレンドとして、ゴミ捨てをカンタンかつ清潔にするための機構が注目されている。

約3週間ほど使った後のダストカップ。スクリュープレスでゴミがぎっしりと圧縮されている
 EC-VX210でも当然ゴミ捨てを容易にする機構が搭載されている。まずは、ダストカップ上部のハンドルを回すだけのゴミ捨て機能。ゴミに直接手を触れることなく、ポイッと簡単に捨てることができる。また、前回紹介したゴミの圧縮機能「スクリュープレス」もそれだ。吸い込んだゴミを圧縮することで粉ゴミをまとめ、ゴミの舞い上がりを抑えることができる。

 ならば、その効果はいかほどのものか。ここで約3週間ほど使い、“ゴミ捨てサイン”が出るまで溜め込んだゴミを捨ててみよう。ちなみにゴミ捨てサインとは、ダストカップの満量までゴミが溜まった時に出るサインで、ビープ音とともに本体のランプが青/緑で点灯する。結構ハデに知らせてくれるので、気付かずにスルーなんてことはないはずだ。

 ゴミ捨てのようすは、以下の動画をご覧いただきたい。

ダストカップ上部のハンドルをひねると、カップ底のフタが開き、手を触れずにゴミを捨てられる。動画では小さいゴミ箱を使っているためフタが完全に開かなかった。大きめのゴミ箱がオススメ

 率直な感想は“ラク”。ハンドルをひねるだけで、プレスされたゴミがそのままドスンと出てくる。もちろん舞い上がりもなく、ゴミが手に触れることも一切なかった。これまではサイクロン式掃除機のゴミ捨てに手間取っていた

 ただし、高い位置からゴミを落とすと、その反動でゴミは舞い上がってしまう。粉ゴミを大量に吸い込んだ際には場合は、舞い上がりを抑えるために、できるだけ低い位置で、ダストカップをゴミ箱の中に入れてからハンドルを回したほうが良い。

高いところからゴミを落とすと、舞い上がりが発生する。特に粉ゴミが多い場合は危険。できればゴミ箱に近い位置でカップを開けたい

 通常のゴミ捨て作業はこれで完了だが、カップには内部には細かい粉ゴミが残っている。よりキレイにしたい人は、ダストカップを水洗いするのもOK。カップの隅には少しだけ溜まったゴミなら、水流で簡単に流し落とすことができる。スクリュー部分やHEPAフィルターも水洗い可能だが、HEPAフィルターはフィルター自動掃除機能が効いているのか、3週間程度では目立った汚れはなかった。

 というわけで、ゴミ捨ては簡単。サイクロンは手入れがしづらいという指摘は、本製品には当てはまらない。

スクリュープレスで圧縮されているため、カップの中のゴミがまとめて一気に落ちる。ほとんどのゴミはこれで落とせてしまう(拡大画像はありません)ゴミ捨て後のダストカップには、隅に粉ゴミが若干残っている。前回大量に片栗粉を吸い込んだせいだろう。この程度なら洗う必要はなさそうだメッシュ部にはホコリが多めに付いているが、付属のブラシを使えばすぐに取れる(拡大画像はありません)
3週間使ったあとのHEPAフィルター部。全体的に粉っぽいが、フィルター自体には塵の付着も少なく、自動掃除機能の効果が出ていると思われるこれらのパーツは、HEPAフィルターを含めほとんどが水洗いに対応。隅に溜まったゴミも、軽く流すだけで簡単に取れる

シャープの独自技術「プラズマクラスターイオン」が、細かいゴミの付着を抑制

 このゴミ捨ての作業の中で、ダストカップに付着するゴミが少ないことに気付いた。

 サイクロン式掃除機は、ダストカップ内部でゴミを旋回させることで、静電気が発生しやすい。そのため、ダストカップ壁面に細かいゴミが貼り付いてしまう、ということが意外とある。しかし、本製品のダストカップを見ると、ダストカップへのゴミの付着がほとんど見られない。一般的なサイクロン式掃除機ならもっと付着が見られるはずだ。

 試しに、EC-VX210と、自宅にあったスティック型サイクロン式掃除機で片栗粉を吸い込んでみると、EC-VX210では粉が底面にしっかりと集まっている。一方後者では、壁面やフィルターにがっつりと粉がこびりついてしまった。

他社のサイクロン式掃除機(スティック型)で片栗粉を吸い込んだところ、ダストカップに粉がこびりついてしまったフィルター部にも粉がびっしり
EC-VX210で片栗粉を吸い込んだところ、凹凸部を除いてカップ壁面に粉の付着は見られない。カップ内部のようす。片栗粉はおとなしく底部に収まっている

ホースに高濃度プラズマクラスターイオンの発生装置を搭載。カップ内部の静電気の発生を防ぐ効果があるという。ちなみにイオン濃度は1立方m当たり7,000個
 この違いの理由として一つ挙げられるのが、シャープ独自のイオン技術「プラズマクラスターイオン」である。

 シャープのプラズマクラスターイオンといえば、空気清浄機などに搭載されているイオン機能。プラスとマイナスのイオンを発生することで、空気中のウイルスや菌などに反応、無力化する、というヤツだ。本製品では、ホース内部に同イオンの発生装置を搭載している。これが、ダストカップ内に発生する静電気を除去するため、カップ内に粉が付着しにくい、という仕組みになっている。

 正直に言うと、購入当初は「こんな機能役に立つの?」と思っていたが、キレイな壁面と底部に溜められた粉ゴミを目の前にすると、確かに効果はあったとビックリしている。

 ただし、ダストカップ壁面の凹凸やスクリューの隅っこといった細かい部分には、プラズマクラスターの効果が及ばないのか、粉ゴミは溜まりやすい。これらの部分の手入れは、前述のような水洗い掃除が必要になるだろう。

 吸い込んだゴミを圧縮するだけでなく、普通ならカップの壁面にくっついてしまう細かな粉ゴミまで集められる。非常に優れた掃除機だ。


排気はきれいで臭わない。ゴミの巻き上がりを気にするなら「弱」で


本体後部の排気の吹出口は3カ所。ちなみに1からは高濃度プラズマクラスターイオンが発生し、3の内部にはULPAフィルターが備えられている
 さて、掃除機の“清潔面”で見落としがちなのが「排気」。古い掃除機だと、ゴミを通ったせいで排気が臭ったり、排気で床面のゴミを巻き上げて空気を汚してしまう、なんてこともある。喘息持ちとしては気になるところだ。


 本製品では、ニオイはほとんど気にならない。顔を本体に近づけると、さすがにモーターのような独特のニオイがするが、立って普通に使用している分には、まったく問題ない。本体後部に搭載した高性能のULPAフィルターや、本体後部に搭載した高濃度プラズマクラスターイオンの発生装置(前項のホース部とは別のもの)が影響しているのだろう。

 しかし、ゴミが溜まってくると、ニオイがややキツめに感じられる。もしかしたら気分的なものかもしれないが……。本製品はゴミをダストカップに溜められるのが売りではあるが、さすがに溜めすぎは良くない。ある程度ゴミが溜まったら早々に捨てる方が良いだろう。

 排気の巻き上がりについては、「強」では床面に一番近いところ(右上の写真で3番の部分)から強い排気が出るため、床のゴミの舞い上がりが発生する危険性がある。「弱」未満では斜め上方向の排気が中心なので、その心配は少なそう。床面のゴミの舞い上がりを最優先で抑えたい場合は、「弱」固定での使用を推奨する。

本体後部にビニールテープを付け、排気の強さを見てみた。運転は「エコ運転→エコ運転の弱モード(自動切り替え)→強→弱」の順で切り換えている。強だと勢いが強く、床のゴミが舞い上がってしまいそうだ



 まとめれば、メンテナンスもラクで、排気もキレイと、高級クラスの掃除機では非常に有用な機能を備えていると評価できそうだ。

 最後の3回目では、付属品やその他気になったことを紹介したい。



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2010年2月17日 00:00