シャープ、プラズマクラスターイオン搭載の洗濯乾燥機/掃除機を解説


 シャープは、同社が11月に発売するドラム式洗濯乾燥機「プラズマクラスター洗濯機 ES-V510」と、サイクロン式掃除機「プラズマクラスター掃除機 EC-VX210」について、マスコミ向けの商品説明会を16日、開催した。

ドラム式洗濯乾燥機の「プラズマクラスター洗濯機 ES-V510」サイクロン式掃除機の「プラズマクラスター掃除機 EC-VX210」

スチームで洗浄力アップ、洗濯~乾燥は最短60分――ドラム式洗濯乾燥機「ES-V510」


庫内にスチームを吹き出す「ホットスチーム洗浄」が特徴。なお、写真はデモ機で、実際にはフタを開けた状態でスチームは発生しない
 「プラズマクラスター洗濯機 ES-V510」は、洗濯容量10kg、乾燥容量6kgのドラム式洗濯乾燥機。店頭予想価格は22万円前後で、発売日は11月6日。

 ES-V510では、約60℃の微細な蒸気を洗濯物に直接吹きかける「ホットスチーム洗浄」を新たに搭載した点が特徴。繊維の奥の皮脂汚れも落とし、洗剤中の酵素の働きを促進することで、通常よりも洗浄力が向上。洗濯10kg時における使用水量は「業界No.1の節水」という67L、洗濯時間は「業界最速」という約35分になったという。

 シャープの健康・環境システム事業本部 ランドリーシステム事業部 商品企画部 副参事の森元雄氏は、ホットスチーム洗浄について「本当は温水洗いを目指したが、水温を上げるのに時間がかかり、その分エネルギーもかかる。そこで、スチームを使うことで、温水に浸かっていると同じ状況を作り出した。皮脂・タンパク質汚れは人間が出す汚れなので、体温に近い温度にすると取れやすい」としている。また、「夏はもともと水温が高い」(森氏)ことから、特に冬場に効果が出やすいという。

スチームにより熱を加えることで、皮脂やたんぱく質汚れを落とす効果があるスチームの有無による、洗浄効果の比較。スチーム有りの方が、汚れが良く落ちている
白黒のフィルムを洗剤に浸し、ホットスチームを当てたもの(右)と当てなかったもの(左)で比較。フィルムの裏面はタンパク質のかたまりであるゼラチンを使用しているため、ホットスチーム洗浄の方が色が落ちているシャープの健康・環境システム事業本部 ランドリーシステム事業部 商品企画部 副参事 森元雄氏

10kgの洗濯、6kgの洗濯~乾燥運転のほか、1.5~2kgの少量の洗濯物の場合に、60分の洗濯・乾燥モードが利用できるようになった

 さらに、バッフル板(洗濯中や乾燥中に、衣類がからみつくのを防止する板)や送風ファンを新形状にするなど、内部構造を変更することで、約1時間で洗濯~乾燥運転を行なう「洗乾60分コース」も追加された。洗濯容量は、家族2~3人分の1日分の洗濯物という、約1.5~2kg。

 この新コースを導入した経緯について森氏は、同社の調査において、ドラム式洗乾機の使用者のうち、洗濯から乾燥まで毎回使っている人は1/3しかおらず、ほとんどが洗濯しか使っていないという状況を指摘。「洗濯から乾燥まで2~3時間もかかってしまうのでは、夜・早朝など、時間に追われる時間帯に使用している人が多いのに“使いたくても使えない”状況がある」と、洗濯から乾燥までに時間が掛かりすぎている」(森氏)という。

 そのうえで、洗乾60分コースを「少ない量限定になるが、60分でフィニッシュできるため、家に帰った後でも使いやすい」と評価。ES-V510を“毎日使える洗濯乾燥機”として提案していくという。なお、洗乾60分コースの許容容量以上の洗濯物を投入すると、アラームが鳴って警告する。

いつも「洗濯~乾燥」を使用している人は、運転時間が長いため、全体の約1/3と、とても少なくなっている「1.5~2kg」の洗濯物とは、写真で森氏が手に持っているカゴほどの大きさ
60分の洗濯~乾燥モードに対応するため、バッフル板やファンの形状など、内部構造を最適化した写真は「ES-V510」の送風ファン(手前)と、従来モデルのファン(奥)。金属製になり、また風をまとめるためのガイドが備えられている

 このほか、洗濯機前面部には、プラズマクラスターイオンの吹出口を搭載。設置空間のカビ菌や雑菌も分解・除去できるという。プラズマクラスターイオンは本体のドラム内にも吹き出すことができ、スーツやスカーフなど、洗いにくい衣類に付着したニオイも、水で洗わずに取れるという。同イオンの濃度は、1立方cm当たり7,000個。

 本体サイズは640×713×1,055mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は73kg。標準使用水量は洗濯時で67L、洗濯~乾燥で90L。消費電力量は洗濯で100Wh、洗濯~乾燥で2,050Wh。運転時間は洗濯で約35分、洗濯~乾燥で約145分。運転音は27/36/43dB(洗い/脱水/乾燥)。

プラズマクラスターイオンの発生ユニットも搭載。イオン濃度は1立方cm当たり7,000個水で洗いにくいものも、プラズマクラスターイオンで消臭できるという
洗濯終了後には、プラズマクラスターイオンを室内に自動放出。サニタリー空間のカビの発生を抑制する効果があるという運転音を抑制する構造も採用。最大でも43dBとなっている(乾燥時)

ダストカップ内の細かなチリを除去、ゴミ捨て回数も減少――サイクロン式掃除機「EC-VX210」


サイクロン式の「プラズマクラスター掃除機 EC-VX210」
 「プラズマクラスター掃除機 EC-VX210」は、吸込仕事率450Wのサイクロン式掃除機。店頭予想価格は8万円前後で、発売日は11月2日。

 EC-VX210は、プラズマクラスターイオンをダストカップ内部に放出し、カップ内部に溜まった微細なチリやホコリを除去できる点が最大の特徴となる。サイクロン式掃除機は、ダストカップ内部でゴミが旋回するため静電気が発生し、カップにゴミやホコリが付着するため、ゴミ捨て時にチリやホコリがカップに残り、雑菌が繁殖しやすいという。しかしEC-VX210では、プラズマクラスターイオンがカップ内の静電気を除去するため、ゴミやホコリが取りやすく、カップを清潔に保てるという。

ダストカップ内にプラズマクラスターイオンを送る機能を新搭載。小さなチリやホコリがダストカップに溜まりにくいというダストカップ内のゴミの溜まり具合の比較。サイクロン式掃除機は、ゴミを遠心分離する性質上、ダストカップ内に静電気が発生、ゴミがカップ内に溜まりやすい。EC-VX210では、プラズマクラスターイオンが静電気を除去するため、カップ内のゴミが落ちやすいダストカップにプラズマクラスターイオンを放出するユニットは、ホースに備えられている。交換の必要はないという

 また、綿ゴミを圧縮しゴミ捨ての頻度を減らす、ダストボックス内の「スクリューフィン」を、従来モデル「EC-VX200」の1枚から2枚へと変更。これにより、綿ゴミをEC-VX200の倍となる1/4に圧縮できるようになった。ゴミ捨ての回数は、約1カ月に1回で済むという。

 さらに、「従来製品では、お客様よりヘッドが重たいという意見をいただいた」(森氏)ことから、ヘッドの重量を従来の630gから480gへと軽量化。床の段差を乗り越えやすいようローラーも新搭載している。

ゴミがより圧縮できるようになり、ゴミ捨ての頻度が1カ月に1回で済むというヘッドを軽量化し、さらに床の段差を乗り越えやすいよう、ローラーを新たに採用している

ヘッドの乗り越えやすさの比較。従来モデル→EC-VX210の順で使用している

 このほか、排気のキレイさにもこだわり、本体内部にはULPAフィルターを搭載。従来モデルに引き続き、本体後方からプラズマクラスターイオンを空気中に放つ機能も採用する。

 なお、本製品のプラズマクラスターイオンの発生ユニットは、室内放出用として本体後方に1カ所、ダストカップ内放出用にホース部分も1カ所搭載されている。イオン濃度はいずれも1立方cm当たり7,000個で、ユニットの交換の必要はない。

 EC-VX210の本体サイズは250×420×262mm(幅×奥行き×高さ)。重量は5.4kg。運転音は最大で48dB。最大消費電力は950W。集塵容量は0.4L。

本体後方からプラズマクラスターイオンを発生する機能は継承0.1μm以上の微細なチリも捕集する「ULPAフィルター」も備えている

 下位機種として、本体サイズがコンパクトな「EC-AX110」も同時に発売する。価格は7万円前後。本体サイズは266×343×253mm(幅×奥行き×高さ)。重量は4.2kg。運転音は最大で56dB。最大消費電力は1,000W。集塵容量は0.3L。

 森氏は、両タイプの違いについて「最上位モデルの『VX』シリーズは、静音性が高いため、売り上げの8割がマンションや共働きの家庭となっている。しかし、『AX』シリーズはVXよりもコンパクトなため、一戸建てや高齢の方が多い」と説明。よりコンパクトさが伝わるよう、従来のAXシリーズよりも丸みを帯びたラウンドフォルムを採用したという。

 

下位モデルの「EC-AX110」。基本的な機能はEC-VX210と同じだが、静音性はEC-VX210の方が優れているコンパクトさが伝わるよう、丸みを帯びたラウンドフォルムを採用している


(正藤 慶一)

2009年10月21日 16:52