長期レビュー

パナソニック「ラムダッシュ ES-LA92」 その1

~濃いクセヒゲに合うシェーバー選び
by 清水 理史

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



4枚刃への憧れ

パナソニック「ラムダッシュ ES-LA92」

 世の中には、ヒゲがあまり生えないのでヒゲ剃りは楽、なんて羨ましい人もいるようだが、筆者はその正反対。

 朝剃っても夕方にはすでに生え揃ってしまう上、1本1本が太く、しかもクセがありなかなかうまく剃れない。その上、肌が弱く、ヒゲ剃りの後のヒリヒリした感覚に悩まされることも多い。同じような思いをしている人も少なくないと思われるが、筆者も、ことヒゲに関してはこれまでとても苦労してきた一人だ。

 というわけで、シェーバー選びには慎重にならざるを得ないのだが、そろそろ今使っているシェーバーを買い換えようかと考えている。

現在利用している3枚刃のラムダッシュ「ES8238」

 今使っているシェーバーは、ラムダッシュの「ES8238」。2007年に発売された製品で、当時のナショナルブランドとしてはハイエンドに位置する3枚刃のシェーバーだった。当時はシェーバーのトレンドが3枚刃から4枚刃へと移り変わるちょうど境目で、筆者がES8238を購入するときも他社の4枚刃製品にするか、3枚刃のラムダッシュにするか相当に悩んだ。

 結局、ES8238を購入したわけだが、その直後に、ラムダッシュにも4枚刃の新製「ES8259」が初登場し、とても悔しい思いをしたことを記憶している。

 現状のES8238も筆者の濃いヒゲをものともせずに剃ってくれるため、性能には満足しているのだが、さすがに2年使い続けたこともあり、そり味が落ちてきている。もちろん、内刃、外刃を交換すればそり味は戻るはずだが、かつて経験した悔しさと4枚刃への憧れをどうしても捨てきれず、買い換えを検討しているというわけだ。

回転式、往復式、ロータリーの違い

 とは言え、シェーバーは決して安い買い物ではないので、慎重に検討する必要がある。

 というわけで、まずは現状のシェーバーの方式を整理してみることにした。シェーバーには、大きく分けると回転式、往復式、ロータリー式という3種類の方式がある。

・回転式

 回転式は文字通り内刃を回転させてヒゲを剃る方式。昔ながらの円形のヘッドが採用された製品で、方式がシンプルなことから、低価格の製品や持ち運び用のコンパクトな製品で採用されることが多いが、フィリップスの製品のように3つのヘッドでより効率的に剃れる高性能な製品もラインナップしている。

 一般的に回転式は深剃りが苦手なため、ヒゲの薄い人向けの製品とされている。ただし、回転式で振動が少なく、スムーズに剃れることから、肌への負担が軽いのが特徴だ。

・往復式

 いわゆる3枚刃や4枚刃と言われているのが、この往復式だ。幾重にも並べた内刃を左右に振動さるようにして細かく往復させてヒゲを剃る方式となる。パナソニックのラムダッシュ、ブラウン、サンヨーなどのメーカーの製品が採用している。

 往復式のメリットは外刃と内刃の組み合わせによって広い面積でヒゲをとらえられるため早剃りが効くうえ、ヒゲを根元から深く剃ることができるのが特徴だ。

・ロータリー式

 最後のロータリー式は日立のシェーバーで採用されている独自の方式で、筒状の内刃を回転させるようにしてヒゲを剃る方式。言わば、回転式と往復式の中間的な存在で、両方の特徴を併せ持っている。

 というわけで、ヒゲがあまり濃くないのであれば、回転式やロータリー式を選ぶこともできるが、筆者のように濃く、しかもクセがあるヒゲの場合は、やはり往復式を選ぶメリットが高そうだ。

最新型ラムダッシュの魅力

 では、往復式の中でどれを選ぶかという話になるのだが、筆者の場合、実はパナソニック(ナショナル)のシェーバーしか使った経験がないので、他社との比較については何ともいえない。おそらくシェーバーは好みがある製品なので単純な機能では比較できないだろう。

パナソニックの最新型シェーバー「ラムダッシュ ES-LA92」。本体、自動洗浄システムを兼ねた充電器、持ち運び用ケース、お手入れキットなどが付属する

 しかし、4枚刃のしかも国内メーカーの製品となると、選択肢としてはサンヨーやパナソニックなど、ぐっと狭まってくる。その上、自動洗浄システムなどのお手入れの手間が楽な製品となると、やはりいきついてしまうのが筆者にとってはお馴染みのラムダッシュになる。というわけで今回はラムダッシュの最新製品「ES-LA92」を3回に渡ってレビューしていきたいと思う。


メーカーパナソニック
製品名ラムダッシュ ES-LA92
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格26,800円


 このES-LA92は、深く、やさしく、手軽にヒゲを剃ることができるという特徴を持った製品だ。

 まず、「深く」という点では、ラムダッシュシリーズ共通の刃先角度30度の鋭角な内刃、1分間に14,000(従来製品は13,000)ストロークという高速なリニアモータ駆動などに加えて、今回の製品から新たに搭載された「絞り出しソニック」という機能が大きく貢献している。

 これはヘッド内部に搭載された小型モーターによってヘッドを縦方向に微振動させ、ヒゲを根元から絞り出す機能だ。これにより、従来製品よりも、肌への負担を少なくしながら、深剃りが効くようになっている。

 筆者がラムダッシュシリーズを気に入っている理由は、このように単純に「深く」剃れるだけでなく、「やさしく」剃れるという点が重視されているからだ。

 冒頭でも紹介した4枚刃も、このやさしさに大きく貢献しており、従来の3枚刃に比べて剃り面積が広いため、肌に当てたときの圧力が分散されるという効果がある。しかも第4の刃に相当する「フィニッシュ刃」は、最薄部が41μmと非常に薄くなっており、まっすぐに生えていないクセヒゲなども的確に捉えられるようになっている。

 要するに、一度に広い範囲を効率的に剃ることができるため、力を入れて何度も肌にシェーバーを当てる必要がないのだ。濃く、クセがあり、しかも肌が弱いという筆者などには実にありがたいシェーバーだ。

ハイエンド機種となるES-LA92は、金属調仕上げの美しい本体を採用液晶パネルを搭載し、充電レベル、稼働時間、替え刃の交換時期などを知らせてくれる
4枚刃を採用した大型のヘッドを採用。深剃りを実現しつつ肌にもやさしいカバーを取り外したところ。2つの内刃とカバー側の2つの外刃の4枚刃となる

全自動洗浄システム無しは考えられない

 シェーバー選びでは、お手入れが楽かどうかという点も見逃せないポイントとなる。

 最近では、どのメーカーでも自動洗浄システムを搭載した製品がラインナップされているが、この自動洗浄というのは一度使うと、もう以前の状態には戻れないほど快適なものだ。

 シェーバーは長く使っていると、どうしてもヒゲや皮脂のいやなニオイがしてくるものだが、自動洗浄システムに対応した製品なら、使い終わったら充電台にセットするだけ。これで洗浄、除菌、乾燥まで自動的に行なってくれるため、数年使い続けたとしても、毎日、気持ちの良い状態でヒゲを剃ることができる。要するに「手軽」なのだ。

 パナソニックのラムダッシュシリーズのうち、4枚刃の製品を比べてみると、全自動洗浄システムに対応していないES-LA52の実売価格が25,000円前後、同等の機能で全自動洗浄システムに対応した製品の実売価格が31,000円前後と約6,000円の差になっている。さらに上位のモデルと比べれば差は大きくなるが、他社製品も含め、1万円前後の価格差であれば迷わず全自動洗浄システム対応機種を選んでおくことをオススメする。

自動洗浄システムに対応。充電台にセットすれば自動的に洗浄、除菌、乾燥、充電が行なわれる消耗品のカートリッジは従来機種と共通

 なお、パナソニックのラムダッシュシリーズは、3枚刃から4枚刃に進化したことなどもあり、充電台は機種によって異なっている。ただし消耗品となる洗浄用のカートリッジに関しては従来製品と共通なのは良い点だ。

 すでにラムダッシュシリーズを使っている筆者が、同じシリーズへの買い換えを検討したのも、ストックとして購入済みのカートリッジがムダにならずに済むという理由もある。

 というわけで、最終的に手に入れた最新のラムダッシュシリーズの中でも、ハイエンドに位置する「ES-LA92」。従来の3枚刃の製品との比較なども含め、実際の使い心地については、次回以降、詳しく紹介していくことにしよう。






2009年8月7日 00:00