年末特別企画

回る“ドラム調理鍋”が料理好きの心をくすぐる【私の2022】

アイリスオーヤマ「CHEFDRUM(シェフドラム) KDAC-IA2-T」。メカメカしいデザインも料理好きおやじの心をくすぐります

2022年を振り返りながら、この1年間で発売された家電についていろいろと考えてみました。今年はマイナーチェンジが多く、家電に関しては比較的地味な1年だったなと思います。

その分、ハズレのない製品が多かったともいえるのですが、面白みという意味ではちょっと物足りないな、なんて思っていました。上半期は。

それが今年の後半になって、面白い家電が突然登場しました。やってくれましたアイリスオーヤマ。たまに変な家電を作ってくれます。僕にとって2022年を代表する家電となったのが、自動かくはん式調理機「CHEFDRUM(シェフドラム) KDAC-IA2-T」です。

業務用自動チャーハン機から着想した回転する調理鍋

発売以降、家電 Watchをはじめ、様々な媒体でレビュー記事が出ているため、すでに知っている人も多いとは思いますが、簡単に紹介しましょう。シェフドラムは内鍋が回転する機構を採用した電気調理鍋です。

食材と調味料を入れてメニューを選び、スタートボタンを押すだけで調理ができます。圧力機能は搭載されておらず、煮込み調理や無水調理などが可能です。そして面白いのが本体を傾けられることと、内鍋が回転する仕組みです。

本体は最大50度まで2段階で傾けられます。傾けた状態で内鍋を回転させて、食材をまんべんなく混ぜ合わせながら炒めることができます。ヒントとなったのは中華料理チェーンなどで使われている業務用の自動チャーハン機。それを家庭で使えるように設計されたものです。

10分ちょっとで作れる回鍋肉。 調理時間は非常に短い

内鍋の回転を見るのが楽しい!

単に回鍋肉やチンジャオロースなどを家電で作るだけなら、実は電子レンジでもできます。最近のオーブンレンジの上位モデルは耐熱ボウルを使った自動メニューが充実しているので、フライパンを使わなくても作れます。また、シャープの電気調理鍋「ヘルシオ ホットクック」にも自動で食材をかき混ぜる機能が搭載されています。

中華料理が自動で作れる、食材を自動的に混ぜ合わせられる、それはもう当たり前。そういうことではなく、シェフドラムで鍋が回転しながら炒めてくれるのは、ただただ、見ていて楽しいものでした。

回鍋肉やチャーハン、カレーなど、いろいろなものを作りました。鍋いっぱいに入っていた白菜やキャベツのカサがすぐに減っていくのは何度見ても飽きません。大量の玉ねぎのみじん切りを延々と炒めて飴色玉ねぎを作ることも可能です。その後そのままカレー作りもできます。さらに、少量の油での揚げ物も作れて、唐揚げもカリッと揚がりました。

300mlの油で唐揚げも揚げられる。回転するので熱い油がしっかりと肉にかかり、カリッと仕上がる

本体サイズが大きく、また、約6万円と決して安くはないため、大ヒットする家電ではないかもしれません。しかし、成熟した製品が多い中で、調理家電の新しい可能性と面白さを改めて教えてくれました。 やっぱり大きな家電は面白いです。2023年も面白い家電の登場を期待したいと思っています。

コヤマタカヒロ

フリーランスライター。1973年生まれ。学生時代より雑誌ライターとして活動を開始。PC、IT関連から家電製品全般までに造詣が深く、製品やビジネスを専門的ではなく一般の方がわかるように解説するスタンスで執筆活動を展開している。近年は、デジタルとアナログ、IT機器と家電が交差、融合するエリアを中心に取材活動を行なっている。雑誌やWebに連載多数。企業のアドバイザー活動なども行なっている。 Twitter: @takh0120