年末特別企画

半年使ってわかった! 防犯ガジェットのおすすめ3選【私の2021】

自転車用スマートロック「セサミ サイクル」

2021年を振り返ると、とにかく家にいる時間が長かったなと思う。その割に、買い替えまたは買い増したものといえば、「外出」に関わるものが多かった。その中から、「買って良かった」または「買い替えて良かった」と思う3つを紹介する。

1つめは自転車用のスマートロック「SESAME(セサミ) サイクル」。2つめは自宅の玄関ドア用のスマートロック「セサミ 3」。そして3つめが忘れ物防止タグである「AirTag」。

いずれもレビュー記事として掲載しているので、使い方や仕様などは各記事を読んでほしい。ここでは、使いはじめて半年が経った現状をまとめていく。

気軽に解錠できるから、気楽に施錠できる

1つめは、CANDY HOUSEの自転車用のスマートロック「セサミ サイクル」

同機は、スマートフォンで解錠できる自転車用ロック。施錠するには、これまで通りに腰をかがめて作業する必要があるが、解錠はスマートフォンの画面をタップするだけ。解錠の手間が大幅にラクになる製品だ。

警察庁の発表資料を見ると、自転車の盗難件数は、年々減少傾向にある。それでも令和元年の件数は168,703件。認知されただけでも、日本では1日に約462台の自転車が盗まれているということだ。

意外に感じるかもしれないが、このなかで、施錠をしていなかった件数は103,094件にのぼる。ちなみに、施錠していたのに盗まれた件数は65,609件だ。

つまり、自転車の施錠をしていれば、盗まれなかった可能性も高いということ。また、多くの人が施錠していないということ。

自転車での移動が多い筆者が、自身を振り返ると、実際に施錠していないことが多かった。施錠していなかった主な理由は「めんどうくさいから」というもの。

例えば、まだ日中で人通りも多いから、盗む人はいないだろう……喫茶店で30分過ごすくらいなら大丈夫だろう……などと考えると、施錠を怠ることも多かった。もしかすると、自宅やマンションの玄関先に停める時には、施錠しなくても良いだろう……そう考える人も多いかもしれない。

なぜ「めんどう」かと言えば、施錠/解錠の時に、腰をかがませて作業するからだろう。

自転車用のスマートロック「セサミ サイクル」

スマートロック「セサミ サイクル」を使用してから、筆者の場合は、施錠する割合が断然増えた。施錠しないのは、マンションの玄関前に停めている時くらいだ(長期で不在にする際には、家の中に入れて保管している)。

同機は、施錠時こそ今までと同じ動作が必要だが、解錠時は、スマートフォンを操作するだけ。アプリの解錠アイコンをタップするとカチッと音が鳴って、数m離れた場所からでも解錠できる。駐輪場などに駐めた自転車に歩み寄りながら、スマートフォンで解錠できるため、自転車の目の前にたどり着いた時には解錠されている。あとは、自転車にまたがり出発するだけなのだ。

スマートフォンで解錠できる

筆者が面倒くさがり屋だからかもしれないが、解錠時のちょっとした動作がなくなるだけで、ものすごくラクになる。

解錠がラクだから、施錠する癖が付いた。今まで「施錠しなくてもいいかなぁ?」と考えていたのが、今は何も考えずに施錠している。

解錠方法について詳細を記すと、iPhoneでウィジェットを設定すれば、専用アプリを起ち上げる必要すらない。解錠の2通りの手順は、下図の通り。

iPhoneのホーム画面で、専用アプリ「セサミ」を起動。「セサミ サイクル」の「ロック(赤)」をタップして解錠する
iPhoneのホーム画面を右にスワイプして「今日の表示」を表示させる。「セサミ サイクル」の「ロック(赤)」をタップして解錠する

そのほかApple Watchにも対応している。筆者は試したことがないが、よりラクになるかもしれない。

使用しはじめて半年が経とうとするが、不具合はほとんどないし、電池残量もアプリで確認した限りでは、ほとんど減っていないようだ。

細かい点を言えば、解錠の際にタイヤのスポークと干渉して、スムーズに解錠しないことがある。その場合は、タイヤをちょっと動かしてから、改めてスマートフォンの「解錠」アイコンをタップすれば、ロックが外れる。

そのほかの不満としては、筆者の真っ黒の自転車に装着すると、白いスマートロックがとにかく目立つこと。本機を黒に塗ろうかとも考えているが、なかなか実行に移せずにいる。

すぐに自宅の玄関を解錠できるスマートキー

自転車用の「セサミ サイクル」と同時期に、自宅の玄関ドア用のスマートロックを、同じCANDY HOUSE製の最新の「セサミ 3」に取り換えた。

これまで使っていた、前モデルの「セサミ mini」と、大きさや見た目はほとんど変わらない。

ただし、スマートフォンアプリを起ち上げてから、Bluetooth接続されて解錠できるまでの時間が、大幅に短縮された。「大幅に」と言っても、1秒か2秒くらいの話なのだが、「早く部屋に入りたい」というときの数秒は「大幅に」と表現しても良いくらいに感じられる。

玄関ドアで使っている「セサミ 3」

また新機種の導入と同時に、Wi-Fiモジュールを取り付けた。これで、スマートフォンのBluetoothが届かない場所からでも、解錠または施錠の操作が可能になった。

これがとても便利だ。

例えば、帰宅時にトイレを我慢していることはよくある話。筆者だけであれば、その頻度は高くないが、7歳の息子は「帰宅=トイレ」と考えているんじゃないか? というほど、帰宅時に「トイレに行きたい!」と叫ぶことが多い。そんな時は、エレベーターに乗っている最中に、自宅玄関の鍵を開けている。エレベーターから降りて、息子がダッシュしても、玄関前に着く頃には解錠済みなのだ。

または、「駐輪場に自転車を駐めなきゃいけないから、先に帰っていて!」と、鍵を持たない息子に言うこともできる。もしくは、息子などと外出する際に、マンションの1階まで降りた時に、「マスクを忘れた!」ということもよくある。そんなときは「自分で取って来て!」と、1人で取りに帰らせる。

そうした時は、筆者がエレベーターの階数表示を1階で見ていて、そろそろ息子が玄関前に到着したなという頃合いを見計らって、玄関の鍵をスマートフォンで解錠する。

スマートロック導入の当初の目的だった「鍵の閉め忘れ」も、皆無だ。解錠後に一定時間が経過すると、自動で施錠されるよう設定しているためだ(筆者は10秒後にオートロックされるよう設定している)。

Wi-Fiモジュールを導入し、外出先からでも解錠/施錠できるようにした

筆者の記事を読んだ知り合いから、「スマートロック導入によるデメリットってないの?」と聞かれた。それ以来、デメリットを考えているが、いまだ思い浮かばない。

筆者の場合は、オートロック機能を使っている。デメリットを強いていえば、締め出される心配だろう。だが、筆者はいまだに締め出されたことはない。スマートフォンか(物理的な)鍵のいずれかを持っていれば、解錠できるからだ。

可能性はかなり低いと思うが、ハックされたら? と考えると、怖いかもしれない。同じようにスマートロック化が進んでいる自動車を例にすれば、リレーアタックという盗難が増えていると聞く。自動車とは仕組みがかなり異なるが、自宅のスマートロックも、絶対に安全とは言えないだろう。とはいえ、「セサミ 3」をハックする方法を思いつき、さらに同品のユーザー宅に、危険を犯して忍び込もうという人がいるだろうか? とも思う。そもそもドアの外側からは、「セサミ 3」を使っているかどうかは、視認できない。

「セサミ 3」はドアの内側に設置するだけ。ドアの外側だけ見ても、設置していることは分からない

自転車と同様に、住居への侵入窃盗件数のうち、多くが施錠されていない家が狙われている。これらへの対策として、「セサミ 3」に限らず、オートロック機能を出入り口につけておくことをおすすめしたい。

子供の居場所が把握できる忘れ物防止タグ「AirTag」

小学生になった息子に、アップルの「AirTag」を持たせ始めた。

AirTagは、カバンなど身の回りの持ち物に取り付ける、忘れ物防止タグの一種だ。スマートフォンとBluetoothで接続する、他メーカーの同種の製品と大きく異なるのは、iPhoneユーザー用だということ。

また、紐付けしている筆者のiPhoneとAirTagが離れた場合でも、知らない誰かのiPhone(iOS 14.5以上)にAirTagが近づくと、その誰かのiPhoneが筆者のAirTagの位置を知らせてくれる。

ちなみに、他メーカーの多くの忘れ物防止タグにも、ユーザー同士で位置を知らせ合う、同様の機能を備えている。ただし、AirTagの場合は、知らせてくれるユーザー数が段違いに多い。そのため、自身から離れたAirTagの位置を、把握しやすいのだ。

アップル「AirTag」

アップルは、「AirTagを、人の追跡には使えない」としている。

そのため「AirTagが持ち主の手から離れてしばらく経っていると、AirTagが動いたときに音を鳴らし、近くにいる人に知らせます」と、同社のサイトにも明記されている。例えばストーカー目的などでの利用を、防止するためだろう。

息子に持たせているAirTagは、平日は毎日、持ち主である筆者(のiPhone)から、9〜10時間、離れている。筆者が息子に持たせはじめて半年以上が経つが、この半年の間でAirTagから音が鳴ったのは3回ほどだったようだ。

ようだ……というのは、息子が認識した回数が3回だったということ。もしかすると気が付かずに鳴っていたかもしれない。

いずれも、筆者(のiPhone)から離れて9〜10時間後くらいだ。小学校の授業が終わり学童の時間も終わる頃に、AirTagが鳴っていることに息子が気づいた。

どんな音が鳴るかと言えば、息子によれば、ユーザーがAirTagの位置を探す時に使う「サウンドを再生」機能を使った時と、同じ音と音量だという。大きな音が鳴るわけではないので、学童のように騒がしい場所では、鳴っていることに気づかないかもしれない。

持ち主の手から、どのくらいの期間離れていると鳴るのかは分からない。この半年間で、毎日同じような離れ方をしているが、規則性は見当たらない。また、ここ3カ月は、鳴っていないようだ。

小さく軽いので、持たせておきやすい。休日は、ズボンのポケットに入れている

AirTagを子供に持たせるか否かは、賛否があるようだ。

一時期、幼児用の「迷子ひも」が、SNSなどで話題になったことがあった。AirTagも、それぞれの親が判断すれば良いことという意味で、同じようなものかなと思う。

息子はたまたま、AirTagがどのようなものかを理解している。そのうえで、AirTagを持たされていることを、今のところ嫌がっていない。嫌がるようになったら、持たせるべきかどうかを、改めて考えたい。

またAirTag自体が、悪用される恐れがある製品であることを、筆者も認識している。悪用といえば、スマートフォンやパソコン、自動車、包丁をはじめ、SNSなどのネットサービスまで、恐れがあるものはいくらでもある。当然、悪用には反対する。それぞれが悪用しないよう、心がけるしかないだろう。

河原塚 英信