家電製品レビュー

スマホが家の鍵になる、コスパ最強スマートロック「SESAME 3」は買い!

スマートロック「SESAME 3(セサミ スリー)」

筆者は、一人暮らしをしていた20歳代の頃に、すっかり部屋の施錠をする習慣を喪失した。その後、妻と同居するようになり、鍵を締める必要に迫られた。

結局、施錠する癖は取り戻せなかったが、その代わりにオートロック機能搭載のCANDY HOUSEのスマートロック「SESAME(セサミ) mini」を、2018年に導入した。

玄関の鍵に本機をペタっと貼り付けるだけで取り付けられ、スマートフォンと連携させればアプリをワンタップするだけで施錠/解錠が可能。さらに解錠してから数秒後に、自動で施錠する「オートロック」機能を備えている。同機を導入してから、鍵の締め忘れは一切なくなった(導入前は、締め忘れ率が高かった)。

そんな、施錠/解錠をスマートに行なってくれて、我が家の夫婦喧嘩の一因を撲滅してくれたスマートロックに、新モデル「SESAME 3」が2020年12月に発売された。価格は6,380円と、他メーカーの同種の製品と比較するとかなりリーズナブルだ。

アプリをタップするだけで解錠/施錠が可能

SESAME 3の設置は簡単。本機に貼ってある両面テープのシートを剥がし、玄関鍵のサムターン(手で回すツマミのところ)に、SESAME 3の内部の溝が合わさるように取り付けるだけ。

取り付ける前のSESAME 3
電池ボックスのシートを抜き取って通電させる
本機内側の溝の部分が、サムターンを挟むように取り付ける
両面テープで取り付けたところ

あとは、スマートフォンアプリできちんと作動するか確認する。筆者の場合は、最初「Lock(施錠)」と「Unlock(解錠)」を逆に設定してしまったので、設置後にアプリで修正。

解錠/施錠する際には、いくつかの方法があるが、基本的にスマートフォンの専用アプリを起動して、鍵アイコンをタップするだけ。

すると本機からギュイーンとモーター音がして、サムターンを回してくれる。

「SESAME 3」が駆動する様子

筆者には必須となっているオートロック機能は、購入時はオフになっている。必要であれば、アプリで設定する。オートロックといっても、ドアの開閉を、同機が検知するわけではない。あくまで「解錠されてから何秒後に、自動で施錠するのか」という設定を行なう。ちなみに我が家では「10秒後」に設定している。この間隔だと、玄関を出るときに解錠して、約5mほど離れたところにあるエレベーターの前に立ち、待っている間に「ギュイーン」と鍵が締まるのを確認できる。家族3人で出かけるときや帰宅する際には、10秒以内に全員が出入りしている途中でサムターンが回ってしまう。だが、そんな場合は手で回してドアを閉じれば、改めて施錠される。

設定画面で「オートロック」をオンにして、解錠から何秒(分)後に施錠するかを設定する。設定可能時間は3秒〜1時間まで

最新モデル「SESAME 3」で何が変わった?

筆者がスマートロックに期待している機能は、このオートロック機能だけだった。ということで、これまで使用していた「SESAME mini」でも十分に用が足りていた。ただし、今回のSESAME 3は、その他にも大幅にアップデートされているということなので、他の機能も使ってみた。

SESAME mini(写真左)とSESAME 3(写真右)。大きさはほとんど同じ
SESAME mini(写真左)とSESAME 3(写真右)。SESAME 3は、指紋が付着しにくい素材を採用

取り替えて、すぐに気がついた改良点は、レスポンスが早くなったこと。これまでは、玄関前でアプリを起動させてから接続するまでに、4〜5秒くらいの時間がかかった。これが2〜3秒に短縮された。たった1〜2秒と思うかもしれないが、筆者には、この1〜2秒の短縮は大きいと感じる。これまでだと、ズボンのポケットに鍵があれば、その鍵で開けてしまう方が、スマートフォンを出すよりも早くラクに感じる場合が多かったからだ。だが、レスポンスが1〜2秒短縮されたことで、アプリで操作するのと、鍵を使って手で回すのと、手間も時間も同程度になった。

さらに、アプリ自体を起動させなくても、ウィジェットで操作できる。

これまで、アプリで解錠/施錠するには、アプリを起動させる必要があった。ウィジェットを使えるようにしておけば、SESAME 3のアプリを、ホーム画面で探す必要がなくなる。これで非常に解錠しやすくなった。

もはや鍵を使って手で回すよりも、スマートフォンを出して解錠した方がラクなのだ。

Android端末のウィジェットを使えば、画面の上から下にスワイプさせると、SESAME 3のウィジェットが現れる
iOS(iPhone 7)でウィジェットを表示するには、ホーム画面で画面左から右へスワイプする

SESAMEシリーズでは、ほかにも操作方法がある。例えばApple Watchにも対応しているし、別売のWi-Fiモジュールを取り付ければスマートスピーカーにも対応する。

このWi-Fiモジュールを使えば、例えば自宅とは全く異なる場所にいても、ネット経由で鍵の解錠/施錠が可能になる。これだけであれば、民泊やオフィス利用しているわけではない、個人宅では必要性を感じないかもしれない。

ただし、Wi-Fiモジュールを取り付けておけば、どこにいても解錠/施錠ができるようになる。通常はスマートフォンのBluetoothだけで接続しているので、その範囲内に入らないと接続できない。Wi-Fiモジュールを使うことで、常に解錠/施錠できるので、Bluetoothで接続される少し前に、接続できるのだ。

我が家でいえば、本体だけでの連携だと、例えばエレベーター内でアプリを起ち上げても、自宅のドアの前に立っても接続されておらず、数秒間は待たされる。Wi-Fiモジュールを設定しておけば、もっと前の段階で接続できるので、玄関前に着いたタイミングで、すでに解錠されている状態にできる。また、自宅に近づいたら解錠する「手ぶら解錠」機能も利用できる。これなどは、荷物が多くて手がふさがっているときなどに便利だろう。

真ん中にあるのがWi-Fiモジュール。USBアダプタ(USB充電器)などに接続して、玄関に近いコンセントに差しておく

そのほかSESAME 3では、付属のNFCタグを設定しておくことで、スマートフォンをかざすだけで解錠する方法もある。筆者はまだ設定していないが、Android端末またはiOS13以降のiPhone XS以降のユーザーであれば、利用可能だ。

NFCタグ。設定して玄関ドアなどに貼り付けておけば、スマートフォンをかざすだけで解錠できる

スマートロックは防犯の必須アイテム

おそらく世の中には、筆者と同様に施錠できない(習慣が身についていない)人間も多いに違いない。特に一人暮らしが長かったり、住人の少ない地域に住んでいる、または住んでいた人などは、施錠意識の希薄な人が多い気がする。

例えば筆者などは、妻と同居するようになって、突然、施錠する必要性に直面した。それまで気が向いたら施錠するくらいだったのが、いきなり、“必ず”鍵を締めなければいけなくなったのだ。当然、たびたび鍵を締め忘れて出かけてしまった。そのたびに、仕事中などに「鍵が掛かってないぞ!」という怒声まじりの妻からの電話を受けなければならなかった。施錠できない人間には、本当に悪夢のようだった。

筆者からすれば、うちに盗られるようなものは何もない、という気持ちもあった気がする。だが、妻からすれば、窃盗もだが強盗が怖いのだという。筆者が鍵を締め忘れるたびに、犯人が自宅のどこかに潜んでいることを想像していたという。

それは悪いことをしたと、うんざりしながらも大いに反省した。だが、反省する程度では直せない。そこで導入したのが「SESAME mini」だった。導入以降は、施錠を忘れたことは1度もない。当たり前だ……オートロックで、勝手に締めてくれるのだから。

ちなみに警察庁によれば、国内の侵入犯罪は、平成14年(2002年)以降は減少傾向にあるという。そのなかの住宅対象侵入窃盗も、平成16年(2004年)以降は減少。それでも令和元年(2019年)は28,936件で、1日あたり約79件も発生している。

令和元年の資料によれば、全侵入犯罪のうち、43.9%が一戸建住宅で、10.7%が共同住宅の3階以下、4.1%が共同住宅の4階以上。

さらに侵入者の侵入手口を知って驚いた。なんと一戸建てやアパートやマンションなどの共同住宅に限らず、最も多いのが「無締り」つまり犯人は、鍵が締まっていない住宅にスルリと侵入しているのだ。

無締りは、必ずしも玄関ドアに限らないが、資料によれば少なくない割合で表出入口からも侵入している。

侵入窃盗認知件数の推移(出典:警察庁資料)
侵入手口(出典:警察庁資料)
侵入口(出典:警察庁資料)

こうした状況を考えると、やはり戸締まりが習慣化されていない人は、意外に多いといえる。そんな人に、これから戸締まりを習慣づけさせるなどは酷な場合もある。オートロック機能を備えたスマートロックを導入した方が、確実で手っ取り早い。さらに「SESAME 3」は、本体価格が6,380円と非常にリーズナブル。取り付けもユーザー自身が簡単に行なえるので、かなりおすすめの製品だ。家族に一人でも、鍵の施錠ができていない人がいるのなら、必ず導入してほしい。

河原塚 英信