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後付けできるe-bike専用ライトが快適! BESVとMagicshineを試した

e-bikeが普及し始めるとともに、e-bike向け製品も増えてきました。e-bike用のシューズとか、e-bike用のチェーンとか、e-bike用のオイル(チェーンルブ/チェーンルブリカント)とか、いろいろと。

そんな中で筆者が注目しているのはe-bike専用ライト。e-bikeの車種によっては、ドライブユニット用のバッテリーを電源としているライトが装備されていたりします。e-bikeはせっかく大容量バッテリーを積んでいるんだから、ライトもそれを電源にするのはひとつの正解ですよね。

ともあれ、最近では「e-bikeのバッテリーを電源にできる専用後付けライト」がいくつも出てきています。例えばe-bike専業メーカーBESVからは、同社e-bike向けの後付けライトが複数発売されています。

BESV「TRS2用フロントライト」。e-MTB「TRS2 AM」および「TRS2 XC」への装着を想定した後付けライトで、ドライブユニット用バッテリーを電源としています
ハンドルやステムに後付け可能。また、シマノSTEPS「E8080シリーズ」を搭載したe-bikeに装着することも可能です

汎用の後付けライトもあります。例えばMagicshine(マジックシャイン)からは、自転車のヘッドライトとしてもヘルメットに装着するライトとしても使えるユニークな製品が発売されています。

自転車のハンドルやヘルメットに装着して使えるライトで、電源はe-bikeドライブユニット用バッテリーや付属モバイルバッテリーを使えます

ほかにも以前のミニレビュー「“e-bike専用”ライトを試したら非常に快適!! 知らなかったe-bikeの仕様も発見」でご紹介したBusch & Muller(ブッシュアンドミューラー)後付けライトがあります。「ルモテック IQ エックスエス E」や「ルモテック IQ アイク E」ですね。

けっこう出てきたe-bike用の後付けライト。今回はそんな後付けライトを実際にe-bikeへと装着してみたいと思います。

シマノSTEPS「E8080シリーズ」から電源を取る

まずはBESV「TRS2用フロントライト」から。BESV製e-bike取り扱い店でパーツとして購入できるそうです。価格は8,580円。

ライトからは電源ケーブルとオン/オフ用スイッチが伸びていて、ハンドルにスイッチを取り付ければ手元でライトのオン/オフができます。ライトから伸びる電源ケーブルが短いですが、これはe-MTBのTRS2シリーズは、ハンドル付近まですでにライト用電源ケーブルが伸びてきているからです
ライトおよび付属品一式。TRS2シリーズならステムに取り付けられます。ほか、ハンドルなどにも装着可能

このライトは一応「BESV TRS2シリーズ用」です。BESVのe-MTB「TRS2」シリーズは、ドライブユニットとしてシマノSTEPS「E8080シリーズ」を採用しています。

なので、実はこのライトはシマノSTEPS「E8080シリーズ」採用のe-bikeに装着することができます。筆者の愛車ミヤタ「RIDGE-RUNNER(リッジランナー)」もシマノSTEPS「E8080シリーズ」採用ですから、このライトを装着可能なハズ。

筆者の愛車ミヤタ「リッジランナー」にもシマノSTEPS「E8080シリーズ」が採用されています。BESV「TRS2用フロントライト」はシマノSTEPS「E8080シリーズ」向けの後付けライトとも言えますので、リッジランナーにも装着できそうです

さて、TRS2用フロントライトの電源はシマノSTEPS「E8080シリーズ」から取るわけですが、具体的にどこから取るのか? 場所としてはドライブユニット(DU-E8080)にライト用の電源端子があり、そこにTRS2用フロントライトから伸びる導線をつなげます。

リッジランナーのドライブユニット(DU-E8080)部。この中にライト用電源端子があります
カバーを外した様子
カバーはプラスネジ×3本で固定されています
赤矢印の箇所の2つの端子がライト用電源端子です。シマノ公式スペック表によれば、DU-E8080のライト端子電圧は6Vで、最大電流は2Aとなっています
端子は左が「ー」で右が「+」です(端子部に刻印があります)
端子はプラスドライバーで締められます

このライト用電源端子にTRS2用フロントライトをつなげばOK。ただし、TRS2用フロントライトから伸びる電源ケーブルは短いので、延長する必要があります。今回は↓こんな感じで延長しています。

ライトから伸びる電源ケーブルの端に平型端子(プラグ)を取り付けています。また、片端に平型端子(ジャック)を取り付けた延長ケーブルを用意します。延長ケーブルのもう一端は導線をハンダでコーティングしました

これらを使い、TRS2用フロントライトをリッジランナーのドライブユニットのライト用電源端子につなげました。ただし、それだけでOKというわけでもありません。

というのは、シマノSTEPS「E8080シリーズ」採用e-bikeであっても、ライトの使用を想定していない車体の場合は「TRS2用フロントライトをつなげただけではライトが点灯しない」というケースがあります。その場合はシマノ「E-TUBE PROJECT」を使ってシマノSTEPS「E8080シリーズ」の設定を変更する必要があります。

筆者のリッジランナーはまさにソレ。ディスプレイ部は「SC-E6010」にソックリですが、リッジランナーにはライトアイコンなし仕様(SC-E6010-A)が装着されていて、そのままではディスプレイ部でライトのオン/オフ操作ができませんでした。つまりライトに給電できない状態。

シマノ製サイクルコンピューター「SC-E6010」。ライトアイコンのボタンを押せばヘッドライトのオン/オフができます
こちらはリッジランナーのサイクルコンピューターで、SC-E6010のライトアイコンなし仕様「SC-E6010-A」です。ライトアイコンなしのボタンを押しても何も起きませんが、E-TUBE PROJECTを使ってパソコンと接続し、設定を変更すればこのボタンでライトのオン/オフができるようになります

筆者の場合、E-TUBE PROJECTを使ってリッジランナーのライトボタンを機能するように設定変更を行なっています。が、E-TUBE PROJECT一式はそこそこお値段がしますし、通常は多用するものでもありません。ライト関連の設定を変えたい場合、e-bikeを購入した販売店に依頼して変更してもらうのがいいと思います。

また、ドライブユニットへライトを接続する作業も、多少慣れないと戸惑う箇所があると思います。こういったあたりまで含め、ライトの取り付けはe-bikeを購入した販売店など信頼できるショップに依頼するのが無難だと思います。

BESV「TRS2用フロントライト」は明るいけど眩しくない♪

リッジランナーにTRS2用フロントライトを装着したわけですが、実際の使用感はどうなのか? 写真と説明文で見ていきましょう。

TRS2用フロントライトの形状。ライト自体の重量は約72gです
明るさは400Lumens/50Luxで、照射角度は200度
上部にカットラインがあり、対向車や歩行者が眩しくない配光にしているとのこと。なお6Vで点灯し、最大電流は0.47Aだそうです
BESV TRS2シリーズのステムに取り付けるためのブラケットで、ハンドル中央前方にライトを取り付けることができます
リッジランナーではサイズが適合しなかったので、ハンドル取り付け用ブラケットを使用しました
ライトのオン/オフスイッチ。シマノ製のサイクルコンピューターによっては、ライトのオン/オフがメニュー内にあり、ライト操作がやや煩雑になります。その場合、サイクルコンピューター側ではライトをオンのままにし、この手元スイッチでオン/オフするというわけです。なお、ライト点灯時はスイッチのライトアイコンが青く光ります
リッジランナーのハンドルに装着しました
この位置以外はハンドルの湾曲が強めで、ライトからの光が左右にズレたりします
この位置でもライトからの光がやや傾くので、別途ブラケットなどを用意して光の向きを調節する必要がありそうです
実際に夜道で使った様子。壁にライトからの光を当てた様子ですが、独自のカットラインにより上方へは光がほぼ漏れていません
対向車や歩行者が眩しくないギリギリの範囲まで、広く前方を照らすようにライト向きを調節し、路面を照らした様子。十分に明るいライトです
自転車の前方3m程度までだけを照らした様子。スポットライトのように路面を非常に明るく照らし出します。ゆっくり走るならこのくらいの範囲を照らせばいいかもしれません

TRS2用フロントライトは、ライトとしては非常にシンプルな製品ですが、独自のカットラインが秀逸で、上方への光の漏れがしっかり抑えられています。これなら対向車や歩行者に眩しさを感じさせることが少なそうです。

とりわけ人通りの多いエリアでこういった自転車ライトを使う場合、えてして「対向車や歩行者にとって自転車ライトが眩しく迷惑&危険」だったりします。自転車ライトの眩しさが原因でトラブルや事故が起きる可能性もありますので、そのあたりは十分注意したいところ。

そういう観点からも、このTRS2用フロントライトは秀逸です。相手が眩しくなく、路面はしっかり照らし出す。自転車用ライトのお手本のような製品だと感心しました。

マジックシャイン「MJ-900S」はシマノ/ボッシュ/ヤマハ全対応、優れた機能性も◎

個人的に非常にソソられているのが、マジックシャイン「MJ-900S」です。同社のライトは機能性に優れた製品が多いですが、MJ-900Sはe-bikeでの使用を考慮した設計で、シマノ/ボッシュ/ヤマハ各社のドライブユニットに対応しています(電源電圧6~12Vに対応)。また、マウントがガーミンマウント互換だったり、電源との接続がDCプラグだったりと、汎用性も高い。そんなMJ-900Sを写真と説明文で見ていきましょう。

MJ-900S一式。ライト本体、バッテリーパック、各種ケーブルやバンド、ハンドルマウント、GoPro互換マウントが含まれています。価格は69.99ドル(US)
付属のバッテリーパック。5V/2A出力のモバイルバッテリーとして使えます
付属のアダプターを接続することで、MJ-900Sライト用バッテリー(7.2V/2600mAh)になります
MJ-900Sライトは、海外自転車ライト界隈で多く流通している7.2V系のバッテリーパック(DCジャック式)を電源にすることもできます
MJ-900Sライト本体部。最大1500Lumensで、3段階に明るさを調節でき、2つの点滅モードも使えます
付属バッテリーパックを使った場合、最大光量で約1.5時間、最小光量で25時間使用可能
オン/オフなどの操作はライト上部のボタンにて。IPX6の耐水性があります。ライト部の重さは68g、バッテリー部は245g
別売の「Helmet Mount」(9.49ドル・US)を使えば、ヘルメットの上にライトを装着できます
このマウントもガーミン互換
こんな感じで装着できます
今回は別売りのケーブルを使うことに。こちらは「Shimano Light Connection Cable」
こちらは「Extension cable(80cm)」。どちらのケーブルも価格は9.49ドル(US)
そしてリッジランナーのハンドルにマウントしました
壁を照らした様子。明瞭なカットラインなどはなく、中央を重点的に照らす配光です
なるべく広く路面を照らしつつ、できるだけ対向車や歩行者に光が当たらないように調節して照らした様子。非常に明るいヘッドライトで路面が見やすいのですが、前方上方への光の漏れも大きく、前方の標識なども明るく照らし出してしまいます
前方3m程度までを照らした様子。物凄く明るく路面が鮮明に見えますが、スポットライト的な照射はやや難しいです

MJ-900Sは、とにかく明るい!!! 街灯もないような田舎道を夜の真っ暗闇の中e-bikeで走るなら、物凄く心強いです。試しに真夜中の川沿いサイクリングロードを走ってみましたが、「あぁこれなら真夜中サイクリングもできちゃうな」と思いました。e-MTBで昼間もなお暗い森の中をライドする時にも良さそう。

ただし、都市部で使う場合、その光量の大きさと配光には十分に注意したいところ。前方上方への光の漏れなどを抑えるカットライトなどがないので、前方を幅広く照らしてしまうMJ-900S。すっごく明るいので、対向車や歩行者をダイレクトに照らしてしまうと危険。都市部で使う場合、十分に下を向けるなどして「前方を照らしすぎない」ようにする配慮が必要です。

ところでこのライト、e-bikeで使う時の機能性がちょっと凄い。MJ-900Sには「bicycle light mode」と「e-bike light mode」があり、ボタン8秒押しで切り替えられます。

左の「bicycle light mode(Bike mode)」では、まあよくある自転車ライトの動作となります。右の「e-bike light mode(E-bike mode)」だと、昼間はポジションランプのような補助ライトが常時点灯し、夜になると光センサーが機能してメインのライトを自動点灯してくれます

つまり「e-bike light mode」だと、クルマのAutoライトのような機能性を利用できるというわけです。e-bikeですので、LEDライトでバッテリー切れになることはまずない。じゃあ安全性を考えて補助ライトを常時点灯させよう、というわけですね。

MJ-900Sのライト部。丸く見えるメインのLEDライトと、上部にうっすら見えるポジションライト的な補助ライトがあります
「e-bike light mode」で補助ライトが点灯した様子。多少は路面を照らすという感じですが、あまり明るくも眩しくもなく、自車位置をアピールするための常時点灯ライトです
暗さに光センサーが反応してメインのライトが自動点灯した様子。夜になったりトンネルに入ったりしたら、自動点灯してくれるのは思いのほか便利です

それからMJ-900Sは前述のとおり、シマノ/ボッシュ/ヤマハ各社のドライブユニットに対応しています(電源電圧6~12Vに対応)。ということで、試しにボッシュ製ドライブユニット「Active Line Plus」採用のe-bikeにもMJ-900Sを装着してみました。

corratec(コラテック)の「E-POWER SHAPE PT500」にMJ-900Sを装着してみることに
ボッシュのドライブユニットのライト用電源端子へのライト接続は、専用のコネクターがないと難しいので、今回は「とりあえず」的にMJ-900Sをつないでみました
すると、一応は点灯しました。なお、Active Line Plusのフロントライト電源端子の電圧は12Vです

やった~♪ MJ-900Sはボッシュのドライブユニットでも使える~、と、思ったその時でした。ボッシュのドライブユニットがエラー状態に。いくつか心当たりを探っていくと、どうもMJ-900Sを最大光量で使うと、ボッシュのドライブユニット側ライト電源出力が最大電流をわずかに超えてしまい、そこでエラーが起きて電力供給をストップしてしまったようです。というわけで、ボッシュ製Active Line PlusにMJ-900Sをつないだ場合、MJ-900Sは最大光量で点灯させないように注意が必要です。

なお、ボッシュのドライブユニットの場合も、ライト点灯機能を使用する場合は販売店でのセットアップが必要です。また前述のようにコネクターが専用品となりますので、やはりe-bikeを買った販売店にて取り付けを行なってもらうのが無難だと思います。

以上、最近出始めたe-bike専用ヘッドライトを試してみました。実際に使ってみると、十分明るいヘッドライトを、バッテリー切れをほとんど気にすることなく使えるのは快適。e-bikeにライトを取り付けたいと考えている方のご参考になれば幸いです。

スタパ齋藤