知る人ぞ知る、都内某所にあるボッシュ(BOSCH)の特殊施設。一見、何の変哲もない建物ですが、その内部では日夜ボッシュ関係者の特別訓練が行なわれているといいます。ある人はそれを「ボッシュ秘密基地」と呼び、またある人は「秘密結社ボッシュの超人養成施設」と呼ぶっていうか、以上の話は90%くらい筆者の妄想ですが、都内某所にボッシュ特殊施設が存在するのは本当です。また、ソコが「スゴ~い!」らしい。
ということで、その施設を訪れてみました。施設名は日本ボッシュ「PTトレーニングルーム」。
ボッシュは世界最大(売上世界No.1)の自動車部品サプライヤーですが、電動工具メーカーとしても世界的によく知られています。そして、このPTトレーニングルームは、ボッシュ電動工具を知って学ぶための施設。ボッシュ電動工具やその関連製品の販売に携わる人が、製品の使い方や特性についての研修を受けるための場所というわけです。
で、ソコが「スゴ~い!」らしい。どういうふうに凄いのか? 端から端まで見てきましたので、以下、写真と説明文でご紹介していきます!
PTトレーニングルーム内に入ると、イキナリ、ボッシュの電動工具がズラリ。こちらは家庭向け電動工具です。基本的に現行の製品は「全部ある」そうです こちらはプロ向け電動工具。種類がハンパない! 左手前にはグループ会社ドレメル(DREMEL)のロータリーツール(いわゆるルーター/リューター)も揃っています 測ったり調べたりするツール類。これらもプロ向けのものが多く、普段はめったに見られない本格派ツールまで網羅されています PTトレーニングルームは、ボッシュ電動工具が揃っているだけでなく、それら工具を実際に使って学べる施設。なので、コンクリートへの穴あけや斫り(はつり;壊したり削ったりすること)も体験できます いや~、しかし、たくさんあるもんですなぁ。「こんな製品もあったんだ~!」というものまで全部揃っています♪ PTトレーニングルーム内を見物していると、お二人の先生が登場。吉沢さん(右)と阿部さん(左)です。愛称は「よっしー先生」と「アベちゃん先生」とのウワサ。気さくなお二方ですが、ボッシュ電動工具およびその関連品のことなら「何を聞いても全部答えてくれる凄い人たち」なんですっ!! 電動工具好きとして衝撃を受けたのは、ボッシュ電動工具が全部揃っていること! まあ、ボッシュ電動工具の研修施設なので当然ではありますが、もう圧巻。ブレードやビット類も揃っています。そして前述しましたが、それらが展示してあるだけではなく、実際に使うことができちゃう。これはおもしろそう! というわけで、前のめりで取材を進めていきます。
家庭向けボッシュ電動工具がいっぱ~い♪
まずは家庭向けの電動工具カテゴリーから。ホームセンターなどでよく売られているグリーンの電動工具ですね。これも写真と説明文で見ていきましょう。
家庭向け製品(コンシューマ)のエリア。コレ知ってる、アレも知ってる! というお馴染みの製品が多いんですが、中には見たこともない機種が。詳しく聞いてみたいところですが、実はボッシュ電動工具はプロ向けのほうが圧倒的に種類が多く、また非常に興味深い性能・機能性があったりしますので、このエリアはやや駆け足で どれが一番売れていますか? という質問に対して「現在はIXO 5型です」との即答が。写真はそのケースで、最新型となる5型は凹まない樹脂ケースになりました。ちなみにIXO(アイ・エックス・オー)シリーズは、2003年に世界で初めてリチウムイオンバッテリーを搭載して発売されたハンディな電動工具で、シリーズの世界累計販売台数はなんと1,700万台以上(2018年調査)。世界で最も多く販売されている電動工具シリーズです 付属の10本のビット(ドライバー先端部)。プラスは、日本でよく使われるPH(Phillips)の0/1/2と、欧州の組み立て家具などによく使われる※印のようなPZ(Pozidriv)の1と2が含まれます。他には、マイナス、トルクス(Torx)、HEX(六角/ヘックス)のよく使うサイズが揃っています。なお、IXO 5型についての詳しいレビューはコチラに書きました IXOシリーズ(IXO 5型/IXO 4 PLUS型/IXO 4型など)に使えるアダプターも全部ありました。IXOシリーズの先端と交換することで、様々な機能性を追加できるアクセサリーです。「IXO Collection」(PDF)と呼ばれていますが、そのうち「トルクアダプター」が最も売れているとのこと。トルクアダプターはIXO 5型のネジ締め力(トルク)を10段階に調整機能できるアダプターで、IXO 5型でクラッチ機構が使えるようになります これは「バーベキューファン」。IXO 5型が火起こし用の送風機に早変わり~。よっしー先生はこれを「キーボード掃除」に役立てているそうです こちらは「ガーデンバリカン」。植物の剪定、芝部のきわ刈り、もちろん雑草除去にも使えます これは「ペッパーミル」。粒胡椒を自動的に挽くことができます。挽く細かさも調節可能 見る見る間に粒胡椒が挽かれていく~♪ 調子に乗って挽きすぎたら、床に胡椒がこぼれちゃった。掃除掃除! 作業中のこまめな掃除は安全と効率の基本ですっ! ちなみにこの掃除機はボッシュの「アンリミテッド(Unlimited)」。ボッシュ電動工具用のバッテリーで使える最新スティック型掃除機で、吸引力が強く連続使用時間も長いとのこと。使ってみると、確かにスティック型掃除機としては吸引力が強く、床に散らかった粒胡椒や粉胡椒を一発で吸引できました。コレ欲しいかも! 家庭用の電動ツールで興味深かったのが「グラスバック(GlassVAC)」。窓用のバキュームクリーナーで、窓を洗剤で洗って、このクリーナーで吸い取るという使い方をします。窓にも床にも天井にも使えますので、浴室の壁面や床などの水滴除去にも使用可能。冬場の窓の結露を除去するのにも便利ですね。吸い取った水や洗剤は本体内タンクに溜まり、本体を傾けてもタンク内の水などが流出せず、とても実用的。右がグラスバックのセット内容。窓掃除に必要なものが一式揃っています。これも家で使いたいな~。欲しい! 家庭用電動工具のエリアを見ただけでも、いろいろ欲しくなっちゃいます。最新の電動ツールは便利ですね♪ ……ていうか、このPTトレーニングルームは研修施設ではありますが、筆者にとっては激ヤバの物欲センター!! 見れば見るほど欲しいボッシュ製品が増えていく~。
プロ向け電動工具・最新マルチツールに感動!!
いよいよプロ向け電動工具のエリアへ。イマドキ的プロ電動工具ってどんなもの? 興味津々にて入って参ります。以下、写真と説明文で見ていきましょう。
家庭向けと比べると、ラインナップが桁違いという印象のプロ向け電動工具類。この写真以外のエリアにもたくさんのプロ向け機種があります 「X-LOCK コードレスディスクグラインダー GWX 18V-10SC5」は、その名のとおりディスクグラインダーという電動工具。ディスク部を交換することで、金属やコンクリートを切断したり、あるいは研磨できる多目的工具です。一般的なディスクグラインダーの場合、付属の専用工具を使ってディスク部を緩めたり締めたりして交換しますが、この製品の場合はボッシュ独自の「X-LOCKシステム」によりワンタッチでディスク交換が可能です。赤いレバーを引けばディスクが外れる! ディスクは軸に押し込めば一発でハマる! あら便利~♪ こちらは「コードレスマルチツール GMF 18V-28」のブレード部。ボッシュ「スターロック(STARLOCK)」と呼ばれるスナップインシステムで、ブレードの脱着をワンタッチで行なえます。マルチツール界隈では、OISというブレード規格が業界標準になっていますが、スターロックのブレードはOISブレードとしても使えます レバーを引くだけでブレードを外せます。ブレードは押し込めばカチャリと装着完了。これも簡単便利~♪ マルチツールは振動によって対象を切ったりする電動工具です。一般的な電動工具の場合、往復運動(電動ノコギリやジグソーなど)や回転運動(丸ノコやディスクグラインダーなど9で切断などを行ないますので、刃に触れると手を切るとか、キックバック(刃の部分に急に負荷がかかって工具本体が跳ね上がる)が起きるなど危険が伴います。しかしマルチツールの場合は、細かな振動で対象を切ったりしますので、より安全に作業を行なえます。また、マルチツールだとくり抜くように切ったり、キワぎりぎりを切ったりすることもできるなど、従来の電動工具にはなかった様々なメリットがあります。写真はマルチツールを動作させてブレードを、撮影のためにわざと手に当てた様子。場合によっては手が切れてしまうので絶対にマネしないで欲しいのですが、電動ノコギリや丸ノコなどと比べると非常に安全性が高いことがわかります マルチツールのブレードを木材の角に当ててみると、軽い力で角を落とせました。使うブレードによっては仕上がりも非常にキレイになります すぐに貫通! ブレードの厚みのスリットを木材に作れました。こんなコトができるのはマルチツールならではですね 筆者も実際に試してみました。実はファイン(fein)社の古いマルチツールを持っているのですが、ボッシュの最新コードレスマルチツールは凄い性能です! 軽~く押していく程度で木材がすぐに切れていく! 最新マルチツールすげー! このプロ向けのやつ、超欲しい!! 家庭向けのコードレスマルチツールもあるとのことで、試してみました。これは「コードレスマルチツール MLT 118」。これでもシッカリと切っていけますが……プロ向け機種と比べると切れるスピードが違う。やはりプロ向けは効率重視の性能なんですね~ マルチツール用のブレード各種。全部揃っています。そして研修施設なので全部使うことができます これは木材用のブレードで、スターロック対応。素早く広く切断できます こちらはジグソー用のブレード各種。ちなみに、ボッシュのブレード類は、家庭向け電動工具用とプロ向け電動工具用では分かれておらず、共通して使えるそうです あっ、すいません、ちょっと出かけて来ます~、ボッシュのコードレスマルチツール買いに行ってきます~、などと取材を忘れて外出しそうになりました。いや~最新の電動工具、やっぱり凄いですね。実際に体験しちゃうと、もうタイヘンです、物欲が!
ちなみに、この施設ほどではないですが、非常に多彩なボッシュ製電動工具が揃っているショップもあるようです。たとえば、2013年9月4日にジョイフル本田東京瑞穂店内にオープンした電動工具ショップです。最新のボッシュ電動工具が多数揃っており、一部製品は実際に触れて試すことができます。興味のある方は、ぜひ訪れてみてください。
鉄筋コンクリートに穴をあける
続いて、コンクリートの穴あけにチャレンジ。プロ向け電動工具で鉄筋コンクリートに穴をあけてみます。
実は筆者、以前に自宅の鉄筋コンクリートの梁に穴をあけたことがあります。その時に使ったのは「振動ドリル」。ドリルの振動によりコンクリートを徐々に削りつつ、ドリルの回転で穴を掘っていくようなイメージで穴あけをする電動工具です。予想を遥かに超えてタイヘンでした。押す力がかな~り必要で、時間もかかりました。春先でしたが汗だくに。
今回、PTトレーニングルームでコンクリート穴あけをする直前、その話をしたら、よっしー先生がニヤリ。「ハンマードリルを使いますので、たぶんずっとラクだと思います」と。以下、どんなコンクリート穴あけ体験になったのか、写真と説明文で見ていきましょう。
コンクリート穴開け体験コーナー的なスペース。実際に電動工具を使い、コンクリートへの穴あけや斫り(はつり;壊したり削ったりすること)を行なえる場所です ホールソー(丸くて大きな穴をあける筒状ノコギリのようなドリル先端)類も揃っています そしてこれが「穴あけなどを試せるコンクリート板」。既に試した跡がありますね~ まずは、よっしー先生がお手本を。ニコニコしながらスイスイと穴あけ! えっ、なんでなんで? 力が全然いらない雰囲気なんですけど! え~っ! 何コレ、マジで? 軽く押す程度の力でどんどん穴があいていきます! 物凄くラクかつスピーディに穴があいちゃいました♪ 凄いぜ~この電動工具~! ハンマードリルの内部。比較的に長いストロークでビットを前後に移動させ(叩き)つつ、ビットを回転させて穴あけしていくという機構です こちらは振動ドリル。2枚のディスクで起こした振動がビットに伝わって、ビットの細かな振動と回転により穴あけをしていくしくみです。ハンマードリルより、ビットの前後運動のストロークがずっと短いのが振動ドリルです 筆者が以前に使って大汗をかいたドリルは振動ドリル。ビットを振動させてコンクリートなどの対象を細かく砕きつつ、ビットの回転で掘り進めるというイメージです。その機構上、ある程度強い力で電動工具を対象に押し当てるように使う必要がありますので、けっこうな重労働。なので振動ドリルは、どちらかといえば小さな穴をあけたり、レンガなどの柔らかめの素材に使うのに適しています。また、振動が細かいので、表面の穴の周囲が欠け落ちる「ふちかけ」が少ないキレイな穴をあけられます。
一方のハンマードリルは、ビットをハンマーで叩きながら回転させて穴あけを進めます。対象を打撃して破壊しつつ、ビットの回転で掘り進めるイメージです。コンクリートなどの硬い対象に穴あけする場合でも、ビット自体が対象に十分な打撃を与えるため、強く押し付けるような必要もほとんどないそうです。大きな穴をあけるのも得意。ただし、打撃により表面の穴の周囲が欠け落ちる「ふちかけ」が多くなります。
余談ですが、前述の「自宅のコンクリート梁に穴あけ」にて筆者が振動ドリルを使ったのは、ドリル購入時に「家のコンクリート壁に穴を10個くらいあけて細めのアンカーボルトを打ちたいんですが」と店員さんに相談したのがきっかけです。値段も安いし店員さんのオススメだし、コレでいいかなと振動ドリルを購入したのでした。これについて、よっしー先生曰く「店員さんが気を使って、そのくらいのサイズ・数の穴なら、コンクリートなどの穴あけ以外にも使える振動ドリルのほうが汎用的だし、価格的にも安価に抑えられるからと判断して、振動ドリルをオススメしてくれのだと思います」と。
なるほど、なるほど。いろいろ納得したコンクリート穴あけ体験となりました。……にしてもこのハンマードリルの威力すげぇ! コンクリートに穴をあける予定はないけれど、凄いパワーのツールとして、なんかむやみに欲しい気がしてきました!
ボッシュ電動工具のIoT
ボッシュのプロ向け電動工具をアレコレ見ていたら、小さなパッケージが目に止まりました。パッケージにはBluetoothのマークが。電動工具とBluetooth? 何でしょう? 写真と説明文で見てみましょう。
赤矢印の箇所にコネクティビティチップを装着し、スマートデバイス用アプリ「ボッシュToolboxアプリ」を使うと、スマートデバイス(スマートフォンやタブレット)と電動工具がBluetoothで無線接続されます ボッシュToolboxアプリの表示例。電動工具の細かな設定をスマートフォンなどから行なえます 電動工具内のセンサーにより、電動工具の使用履歴など様々な情報が残り、それをボッシュToolboxアプリで読み取ることができます ボッシュのプロ向け電動工具には、様々な安全機能が盛り込まれています。そのうちのひとつがキックバック(回転部に急に負荷がかかり電動工具本体が暴れること)を防止するキックバックコントロール機能があります。これにより、電動工具にキックバックが発生する可能性を探知した場合、瞬時に電動工具のモーターを停止させます。この機能がいつ発動したかのログも残るというわけです。なお、ボッシュ電動工具の安全機能についてはコチラをご参照ください 別のパッケージも発見。「KickBack Control Sensor」とあります。キックバックコントロール機能関係? 聞いてみたら加速度センサーとのこと 2mm程度の極小の加速度センサー(チップ)です。ボッシュの加速度センサーは、スマートフォンにも広く使用されていて、2015年時点で75%ものシェアとなっているそうです。ちなみに、加速度センサーによりスマートフォンの縦横向きを感知したり、あるいはユーザーの歩数を計測したりすることができます 見つけたパッケージは、ボッシュの電動工具のIoTのためのものでした。電動工具をスマートデバイスからワイヤレスで設定できたり、あるいは電動工具の使用ログなどを残せるというわけです。後から電動工具の使用ログなどを見たり解析したりすることで、電動工具使用現場での危険性を見つけたり、安全対策につなげたりすることが可能です。ボッシュはIoTに注力している企業としても知られるところですが、電動工具もIoTしてたんですね~。
にしても、とてもインテリジェントな電動工具です。それに最近の電動工具はけっこう細かな設定を必要とする機種が増えていますが、そういった設定をスマホから行なえるのは便利ですね。個人ユーザーにはログ取得までは必要なさそうですが……でも興味深い。Bluetoothでスマホとつながるボッシュ電動工具、これまたミョーに欲しくなってしまいました!
強烈に欲しいハンドツールセットを発見♪
ひととおりPTトレーニングルーム内を体験し終えて、本日はいろいろとご教示くださりありがとうございましたっ! と帰途に着こうとしたその瞬間です。サイコーにイカシてるボッシュ製ハンドツールセットを発見してしまいました。ナニそれ! 欲しい!! ともあれ、どういうツールセットなのか写真と説明文でチェックしていきましょう♪
ややや! こ、これは! この机の上にある工具箱は! じゃーん! 「1600A016BW」という型番のハンドツールセットでした♪ 2段式で合計40のツールが収められています どのツールも堅牢でイイ感じ。どれもプロ向けのもので、たとえばドライバーは貫通ドライバーになっています 握りものはちょっと大きめですが、日曜大工にもよくマッチするサイズ感です セットに収められたツールのひとつであるナイフ(カッター)。型番は「1600A016BL」。欧米に多い折りたたみ式のカッターで、比較的に頑丈な交換式の刃が装着されています。刃の上からハンマーで叩くような使い方をしてもOK。グリップ感は良好で、開閉時の動作もスムーズ カッターのグリップ部には替刃を2枚まで収納しておけます。このカッターかっこいいし便利そうだし、超欲しい!! こちらもハンドツールセットでした。型番は「1600A016BV」です ツールケース状態。ちょっとカッコよくないですかこのセット! これも欲しいですね~♪ と、最後まで物欲が沸騰するPTトレーニングルームなのでした。それにしても、いいなあ、ボッシュ電動工具。そしてハンドツール。さて、どれを買おうかな♪