家電レビュー

ボッシュのプロ用コードレス電動ドライバー「Bosch GO」を家庭で試してみた!!

 2019年12月2日に発売されたボッシュ製コードレス電動ドライバー「Bosch GO」。電源ボタンを押せばドライバー部分が回転する「一般的なコードレスドライバーの動作」に加え、「ドライバー先端でネジを押せばスイッチが入ってネジ回しができる」という独自機構を備えています。さらにメカニカルクラッチも搭載している本格派。機構もサイズ感も興味深いので、実機を試用してみました。

ボッシュの「Bosch GO」。USB充電式のコードレス電動ドライバーで、リチウムイオンバッテリーを内蔵しています。電源ボタンを押しても、ネジに向かって押し込んでも、ドライバーが回転。作業内容に応じた使い方ができます。本体サイズは約4×約19cm(太さ×長さ)、質量は310g。棒状で携帯性も良好
メーカー名ボッシュ
製品名Bosch GO
希望小売価格12,000円(税抜)

 この写真を見て「……あれ? どこかで見たような!?」と思われたかもしれません。実はコレ、以前にご紹介したボッシュ製コードレス電動ドライバー「PUSHDRIVE」の姉妹品という位置づけです。PUSHDRIVEは↓こんなコードレス電動ドライバーで、レビュー記事はコチラに書きました。

ボッシュの「PUSHDRIVE」。USB充電式のコードレス電動ドライバーで、ネジに向かって押し込むようにすればドライバーが回転してネジ締め・緩めを行なえます。本体サイズは約4×約18cm(太さ×長さ)、質量は280g。携帯・保管にも便利な大きさ

 Bosch GOとPUSHDRIVEの違いは、まず本体色がブルーとグリーンで異なります。これは単なるデザイン的なものではなく、ブルー(ボッシュブルー)がプロ向け製品で、グリーン(ボッシュグリーン)が家庭向けDIY製品。ブルーのほうがより本格的な機能性を備えています。

 それと電源ボタンの違い。Bosch GOは電源ボタンを押してもドライバー先端をネジに押し付けても、ドライバーが回転します。一方PUSHDRIVEは、ドライバー先端をネジに押し付ければドライバーが回転するものの、それ以外には回転オンオフの機構はありません。

 もうひとつ、Bosch GOとPUSHDRIVEには用途の違いがあります。「どちらかといえば」というレベルですが、Bosch GOは鉄工ネジ向けで、PUSHDRIVEは木工ネジ向け。筆者はPUSHDRIVEを所有していますが、筆者的な見解を述べれば「Bosch GOは木工ネジも鉄工ネジもイイ感じで締められる」「PUSHDRIVEは木工ネジなら良好に締められるが、鉄工ネジ締めには向かないケースがけっこうある」という使用感の違いがあります。

 ともあれ以降、Bosch GOの使用感などについて見ていきましょう。でも、とりあえずここで筆者的印象を言ってしまうと、Bosch GOのメカニカルクラッチ機構がとても使いやすい。また、ボタンを押しても本体を押し込んでもドライバーが回転するという機構もあるのは何かと便利♪

Bosch GOはどんなコードレスドライバー? 写真でチェック!

 まずはBosch GOの製品概要から。スペックなど詳細はメーカー公式サイトを見ていただくとして、Bosch GOの全体像を写真でチェックしていきましょう。

Bosch GOはこんなキャリングケースに入っています。中身はBosch GO本体、ドライバービット×2本(PH1/PH2)、microUSBケーブル、取扱説明書です。USB-ACアダプターは付属しません
2本のドライバービットはこの位置に固定されます
キャリングケースのフタ部分内側には簡易インストラクション。ケースのトレイを外すと、取扱説明書やmicroUSBケーブルが入っています。ビット類などあまり大きくないものなら追加して収納できます
Bosch GOはスティック型のコードレス電動ドライバー。サイズ感はこんな雰囲気です
対辺6.35mmの六角ビットを装着できます。ただし両頭ビットは使用不可。ビットの装着はマグネット式でロック機構はありません
グリップ部には押すとドライバーが回転する電源ボタンと、ドライバーの回転方向を決めるスライドスイッチがあります。スイッチを中央の安全ロック位置にすると、ボタンなどを押しても本体が動作しなくなるほか、より確実な手締めを行なえます。後端には充電用microUSBポートおよびストラップホールがあります
Bosch GOには本格的な電動ドライバーによく見られるメカニカルクラッチが採用されています。5段階のトルク設定を行なえるほか、MAXに合わせるとBosch GOの最大トルクを発揮できます
メカニカルクラッチで締め付けトルクを5段階に設定できます。また電子ブレーキにより、一定トルク以上になると回転が止まります
ボタンを押して回転開始、あるいはネジに押し付けて回転開始。2タイプの回転オンオフ操作に対応するので、幅広いシチュエーションで効率よくネジを回せます。ボタンによる細やかな回転オンオフが行なえるので、例えば木材などネジ穴位置へのネジの“締め込み始めの位置決め”も繊細に行なえます

使ってみた感じは?

 実際にBosch GOを使ってみた印象ですが、非常に好印象だったのがメカニカルクラッチ機構。前述のとおり、5段階に締め付けトルクを調節でき、設定したトルクに達するとドライバーが「カカカカッ」と空回り(して停止)するという機械式のクラッチです。これを使えば、ネジ締めトルクを弱くしたり強めに設定でき、最適な力でネジ締めができます。

最小のトルク設定で棚の扉の開き止め金具を取り付けている様子。小さな木ネジですが、あまり強い力で回すとネジ穴が削れてしまいます。Bosch GOのトルク設定を最小にしてネジ締めを行なったら、ちょうど良い力でネジ締めできました

 いや~、やっぱりメカニカルクラッチがあるとイロイロ快適&安心♪ 使い方としては、最初は最小くらいのトルクから試して、徐々にトルクを上げて最適トルクでのネジ締めをしていくことになると思います。なので数本のネジ締め時には、便利ではあるもののそーんなに役立たない。ですが、締めるネジの本数が増えると効率がグッと上がります。

 例えば拙宅には時々増し締めが必要な“組立家具の引き出しのネジ”があるんですが、その引き出しが36個あるんです。そして引き出し1個につき、増し締めすべきネジが8本。合計288本もネジ締め箇所があります。って一度に全部は増し締めしませんが、それでも6個くらいの引き出しをまとめて増し締めします。それだと48本。けっこうな本数のネジです。

 そういった数のネジを適切なトルクで締めていきたい場合、最初の数本でメカニカルクラッチの調節をすれば、その後は単純にネジ締めを続けるだけ。非常に効率良くネジ締めを行なえます。ツイデに、一定のトルクに達したらクラッチが切れて空回り状態になるので、“電動ドライバーの回転力で手首を捻られた”というトラブルも起きません。

 これに加え、Bosch GOには“ネジに向かって押し込めばドライバーの回転が始まり、押し込むのをやめると回転が止まる”という動作をするプッシュ&ゴー機能があります。メカニカルクラッチとプッシュ&ゴー機能により、“ただドライバー先端をネジに押し付けていくだけ”で本数の多いネジ締めをスムースに進められます。

 あとこのプッシュ&ゴー機能、電動ドライバーにありがちな“カムアウト”を防いでくれて実用的。カムアウトとは、ネジ締め・緩めの時にドライバー先端がネジから浮いてしまうことですが、これが起きるとネジの十字穴などが削れてしまいます。いわばネジの頭がバカになるという状態。

 プッシュ&ゴー機能を使うと、ネジの締め・緩め始めからドライバー先端をネジに押し当てますので、カムアウトが起きにくい。とりわけ、本数の多いネジをカムアウトなしに締めていくには、このプッシュ&ゴー機能とメカニカルクラッチがとても役立ってくれます。

引き出しのネジの増し締めを行なっている様子。数カ月に一度程度行なう作業ですが、本数がけっこう多い。ので、プッシュ&ゴー機能とメカニカルクラッチがあるBosch GOで行うと、とってもラクチン♪ です
組立家具のネジ締めをしている様子。こちらも増し締めですが、“ドライバーを押し当てれば適切なトルクでカムアウトもなくネジを締められる”ので作業が捗ります

 といった感じのBosch GO。なるほどボッシュブルーのプロ向け製品。快適に使えますし、木工ネジから鉄工ネジまで幅広く使えると思います。

 ただ、2点ほど残念なところが。ひとつはビット保持部がマグネット式で、ビットがけっこう抜けやすいという点。ロック機構がないビット保持部なので、高トルクでネジ締めをすると“ネジとビットが強めに結合”したりして、保持部からビットが抜けがちなんですね。

 もうひとつは、電源ボタンと回転方向を決めるスライドスイッチの位置。これらが本体前方の、例えばメカニカルクラッチ手前あたりにあれば、作業中に本体を握り直すことなく回転方向や手回し時のロック、あるいは指先での回転のオンオフができて、さらに快適に使えるような気がします。

 とは言っても、ある程度の慣れと使い方の工夫で解消できる程度の残念点。コンパクトさや利用幅の広さ、扱いやすさなど総合的に考えると、なかなかコストパフォーマンスが高いコードレス電動ドライバーだと思います。機会があればぜひ触れてみてください♪

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