やじうまミニレビュー
カナリアの機嫌で空気の汚れがわかるスマホ連携のPM2.5センサー
2016年8月3日 07:30
生活空間の空気はどれだけ汚れているのだろうか?
アレルギーの原因となる、チリやホコリや花粉(PM10)にとどまらず、カビやバクテリア(PM5.0)、さらに呼吸器系疾患に影響を及ぼすと言われる、工場や車などから排気されるガス(PM2.5)など、いったいどれだけ生活空間に浮遊しているのだろう。いずれの汚れも、単位がマイクロメートル(µm)で表されるほど小さく目に見えないものなので、気になったところで今までは簡単にチェックできるものではなかった。
ところが、それらの目に見えない汚れを計測し、手持ちのスマートフォンやタブレット端末上に可視化してくれるセンサーがあるのだ。それが、ラトックシステムの「PM2.5対応 Bluetoothほこりセンサー」だ。
メーカー名 | ラトックシステム |
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製品名 | PM2.5対応 Bluetoothほこりセンサー |
品番 | REX-BTPM25 |
実売価格 | 17,000円(Amazon) |
ほこりセンサーは、手のひらに乗るほど軽くコンパクト。大きさは109×49×94mm(幅×奥行×高さ)で、重さは228g。容量2,600mAhのバッテリーを内蔵しているので、計測したい家中のどこにでも設置できる。しかも、簡易防滴構造なので、ベランダや軒下など、自宅の外にも気軽に持ち出せるという。
本体内部にシャープ製のPM2.5センサモジュールを搭載。微粒子状物質の「PM2.5」と、それ以上の粒子の大きさを選別して、空気中に浮遊する濃度を別々に計測してくれる。計測結果は専用アプリをインストールしたスマートフォンなどに、数値と6段階のレベルで表示される。
さらに、温度や湿度、照度や気圧のセンサーも搭載しているので、今そこに居る場所の不快指数や気圧の変化も表示してくれる。
設定はとても簡単だった。添付するUSB-ACアダプターとケーブルを本体に接続し、電源を入れる。次に、端末(スマートフォン、またはタブレット)に専用アプリをダウンロードし、端末のBluetoothをオンにする。インストールしたアプリを起動し、本体と端末のペアリングをするだけ。数分で終わる簡単な作業だった。端末に本体を認識させるペアリングは最初だけだ。
表示されるカナリアの機嫌が良ければ空気はキレイ
アプリの表示はわかりやすい。
使い方は、本体を測定したい場所に設置し、アプリの左下にある「今すぐ計測」をタップするだけ。計測が始まると、本体の4つのランプが順に点滅し、内部にあるファンが回転して空気を取り込む。計測時間は約30秒で、すぐにアプリに結果が反映される。
PM2.5とPM10の飛散量は計測値ともに、「とても少ない」・「少ない」・「やや多い」・「とても多い」・「非常に多い」の6段階の濃度で評価される。評価は環境省が定める基準に則って、PM2.5が35µg/m3以下、PM10が54µg/m3以下なら、「とても少ない」と評されるのだ。
わかりやすいのは、画面に描かれるカナリアの存在だ。計測結果に応じてカナリアに表情とコメントが付く。ゆえに、数値をあまり意識せずに、カナリアの表情を見ただけで空気の状態が一目瞭然。数値や評価だけでは得られない「親しみやすさ」がある。
我が家のリビングルームで計測したが、かくしてカナリアは機嫌が良かった。つまり、空気は汚れておらず、不快指数もクリア。何と言っても、見えない空気の状態が可視化される安心感もあった。
Bluetoothの通信距離は見通し30mなので、本体を別の場所に置いて、離れた場所からもワイヤレスでチェックできる。
そこで、玄関や浴室に本体を移動させ、カビの飛散量と湿気をチェック。洗濯物を外干しする際の花粉の飛散量も気になるので、ベランダの外もチェックしてみた。いずれもたいして広くない我が家の場合、リビングルームに居ながらにして計測できた。結果もまったく問題ないのは嬉しかった。
せっかくなので、近所の交通量の多い車道、タバコを本体のそばで燻らせた場合も計測。車道は部屋よりも数値は上がるものの、マスクを持ち歩くほどではないのが分かった。タバコの紫煙はカナリアが可哀想になるぐらい空気が汚れるのもよく分かった。アドバイスも的確だ。
自動計測で空気の状況を常に監視
ここまで、アプリの「今すぐ計測」で各所の空気の状態を計測してきたが、時間を設定した「自動計測」もできる。一度設定すれば、アプリを起動しなくても本体が勝手に作動して空気を監視し、記録を蓄積してくれる便利な機能だ。
この設定も簡単。アプリのメイン画面「ほこりセンサー」の右下にある「自動計測」ボタンをタップし、計測間隔を用途に応じて5分/10分/30分/1時間/3時間/6時間/12時間の中から選択する。次に、計測開始時間を指定し、「計測開始」ボタンをタップすると自動計測がスタートする。
この時心強いのが、パワフルなバッテリーを内蔵している点だ。満充電した本体は、1時間間隔の計測で約100時間も可動できるので、電源が取りにくい場所の空気も約4日間、継続的に計測できる。
計測され、蓄積されたデータの閲覧は、アプリをタップするだけでいとも簡単。アプリを起動するとデータは自動的にスマホへと吸い上げられる。メイン画面下中央の「グラフ」をタップすれば、直前までの計測結果が瞬時に表示される。就寝中や留守中の空気の変化もラクに把握可能だ。
本体で蓄積できるデータ量は、1時間間隔に設定した自動計測なら約60日分できるが、それ以上は古いものから上書きされてしまう。だが、蓄積されたデータはCSV形式に変換して取り出せるので、年間を通したチェックも可能だ。
グラフ画面の下にある「メール送信」をタップすると、データは1つの添付ファイルとして所定のアドレスへ送信できる。PCなど別の場所で保管し、本体もアプリも関係ない所で整理できる。
もう1つ、自動計測には有用な機能がある。自動計測時ならPM2.5とPM10のレベルに応じて、本体のアラートを鳴らしたり、本体から離れた場所のスマホへ警告を通知したりできるのだ。アラートの操作はアプリ側の設定画面で簡単にできる。
付け加えて、スマホと接続していない場合、本体のペアリングボタンを押せば、アプリを使わずに計測可能。計測結果は4つLEDが並ぶうち、右側3個のLEDの組み合わせで表示される。残り1組はバッテリー残量だ。
価格は正直言って高価だ。だが、空気の汚れが可視化され、自分が過ごす身近な場所の空気の状態を、短期的にも長期的にもラクに把握できるのは心強い。空気清浄機や加湿器の導入だけでなく、エアコンの洗浄時期など、勘に頼らずにそれぞれの場所に応じた環境改善に役立てられるだろう。
呼吸器系に心配のある方、花粉症などのアレルギーに悩まされる方はもちろん、手軽に持ち出せるので、お子さんを遊ばせる戸外の環境をチェックしたい方にも大いにオススメしたいアイテムだ。