やじうまロングレビュー

安くて、ちゃんと使えるBICの4枚刃カミソリ

カッコイイ実用品を作るメーカー

 BICは、フランスのメーカーで、ボールペンやライターなどは日本の店頭でもよく見かける。

 特に4色ボールペンはBICを代表する製品で、重厚な万年筆やシルバーに光るボールペンとは別の意味で、その人の人となりを表現するぐらいポップなデザインだ。

 そのBICが、替刃交換式のT字カミソリ(シェーバー)を、日本でも出すという。これまで日本では、使い捨て型のディスポーザブルタイプの製品で3枚刃までだったが、今度は4枚刃の替刃式なので、T字カミソリの主戦場に参入することになる。

BIC FLEX4
BICを代表するアイテムの1つ。4色ボールペン

 ちなみに、私は知らなかったのだけど、ディスポーザブルな製品を含めると、BICは世界でも指折りの大手シェーバーメーカーなのだそうだ。

メーカー名BICジャパン
製品名BIC FLEX4
希望小売価格630円
購入場所ドラッグストア
購入価格630円

本体も替刃も抑えめの値段

 FLEX4の特徴は、次の4つだ。

1)替刃が交換できる
2)国内向けのBICシェーバーとしては珍しい首振りタイプ
3)刃の1枚1枚も個別に動く
4)アロエベラとビタミンEを配合したスムーサーが付いている

替刃は4個入りのみが用意される

 1で良いのが、替刃の値段が安いことだ。パッケージは4個入りだけで735円に設定されている。4個入りで1,000円以上、8個入りで2,000円以上という、5枚刃クラスの替刃の値段に慣れていると、かなり安く感じる。本体の値段も630円と安く、これで値段がこなれてきたらと期待したくなる。

 2は、ディスポーザブルタイプで多い固定ヘッドから、替刃式では一般的なヘッドが動くタイプに変わった。

 3は、替刃の1枚1枚の可動性が高く、シェービングする対象の微妙な凹凸に合わせて動くため、一回の動作でスムーズにそり上げることができるという。

 4は、BICのディスポーザブルタイプでは、おなじみの機能で、肌荒れを防ぐ効果があるという。このスムーサーの減り方を見ていると、替刃の寿命が把握しやすいというメリットもある。

ゴールドとシルバーを基調にした男っぽいパッケージ

金と銀の派手なパッケージ

 パッケージは、ゴールドとシルバーを基調にした男っぽいデザインだ。ライバルメーカーのパッケージにも似ている。替刃式カミソリの世界は、こうでないと売れないのかもしれないが、ちょっとBICっぽくないのが惜しい。

 ブリスターパッケージから取り出した本体は、樹脂製の軽みを活かしたデザインで、実用的だ。BICのディスポーザブルタイプは、グリップの部分が細くて直線基調だったが、FLEX4のグリップは太めで曲線的なデザインだ。グリップには大きく「BIC」のロゴが入っている。

本体色はオレンジとライトグレー
太く曲線的なグリップ
側面から見る
刃は4枚刃で、オレンジ色のスムーサーが付いている
ヘッドの支持部分
替刃の交換は、大きなボタンを押しながら行なう

スムーズで違和感のない剃り味

 いつものように、固形石鹸で泡を立ててからヒゲを剃ってみる。

 グリップの構造は3つの部分に分かれている。表面が平らな部分は滑りにくい柔らかい素材、ザラザラとした部分は少し柔らかい素材、楕円形の部分はすべすべした硬い素材になっている。

 グリップの形が曲線なので、どう持つか、最初は迷うが、指をすべり止め加工された部分に沿わせると良い。そうするとしっかり握れる。また、グリップの形に沿って握ると、刃がどっちを向いているのか分かりやすく、剃っているときに迷うことはない。

横から見るとグリップの複雑な形がわかる
グリップの曲線に人差し指を添わせるようにすると保持しやすい

 ヘッドの動きもスムーズで、アゴの下を剃るときも、ちゃんと追随して剃り残しなく剃れる。さすがに、刃の1枚1枚が動いているかどうかまではわからないが、ヘッド全体の追随性は良い。

 本体は軽い。乾電池が入る振動式のカミソリに慣れている人には、ちょっと軽すぎるように感じるかもしれないが、グリップがしっかり握れるので慣れると思う。全体的に使いやすく、剃り味に不足はない。他社製シェーバーのユーザーが、いきなり使っても戸惑うことなく使えるだろう。

 とりあえず、一緒に買った替刃がなくなるまで試してみる気持ちになった。

もっとBICらしいインパクトがほしい

同じロゴの2製品。ボールペンのデザインの方が“BICらしさ”を感じられる

 FLEX4は、よく出来た製品で、他社のT字カミソリから移行しても、ほとんどの人は不満を抱かないと思う。コスト面では有利なので、高価な替刃を買うたびに負担を感じていた人は、ぜひ試してみると良いとおもう。

 ちょっと残念なのは、パッケージや本体のビジュアル面で、BICらしさがあまり感じられないことだ。BICのロゴを隠してしまうと、他社の製品と違いがわかりにくい。せめて配色だけでも、オレンジとライトグレーだけではなく、イエローとかグリーンのバリエーションが欲しい。

 例えば、BICのディスポーザブルタイプシェーバーで、毎日ヒゲを剃っていると言えば、それが「変わった人だなぁ」という感想であっても、人の評価を変えるインパクトがある。ぜひ、この替刃式シェーバーも、そういう存在に育ってほしいと思う。

伊達 浩二